新しいデジカメ君にも、だいぶ慣れてきました。この写真は、遠くに見えるムクゲの花を、20倍ズームで撮ってみたものです。さすがに高いだけのことはあるなあ。よくわからないんだけど、とても面白いです。一眼レフっていうことばも覚えたし。で、レフってなんですか?
アップで撮った写真もあるのですが、どうして遠くからの写真を取り上げたのかというと、ムクゲの花は、近くから撮ろうとすると、いつも顔を背けたり、ぼやけたりして、きれいに撮らせてくれないのです。どうしてかと尋ねてみると、あまり撮らないでほしい、というのです。
かわいい花なのに、どうやら、かわいく写してほしくない、みたいなのです。同じアオイ科でも、ハイビスカスはそんなことはないのです。カメラを向けると、それはそれは美しい顔で写ってくれる。けれどムクゲは、カメラを向けると、どうしても顔をそむけて逃げてしまう。そんなにかわいいのに、どうして?というと、とてもつらいから、というのです。
彼女たちは、みんなが、自分の美しさを強く押し出して、きついことをするのが、苦手なようです。だからかな、ほんとにかわいいのに、どこか田舎っぽく、ださっぽく見えるのです。ほら、なんとなくわかるでしょう。
どうしてそんなにつらいの? 自分の花が気に入らないの?て聞くと、そうではないようなのです。ムクゲはムクゲであることが好き。ただムクゲは、その花を美しく見せようとすることがつらいだけなのです。半分くらいにくすめているほうが、ほっとするのです。あまりに美しくすると、つらいのだそうですよ。
近くから撮ろうとすると、すごくかたい表情で、あまりきれいには写らないのに、こうして遠くから撮ると、のびのびといる彼女たちの美しさが見えます。だれも見ていないところでは、ほっとして、ほんとうのかわいらしさを出せるみたいですね。
こんな花もいるのです。
ムクゲの花は、強情で、意地っ張りで、押し出しが強くて、自己主張の激しすぎる人には、いいことをしてくれますよ。そんなに、威張らないで、抑え気味にしたほうがいいんだよと、教えてくれます。ムクゲの花があると、人間は少し、大人しくなるみたいですよ。自我を主張しすぎることが、なんとなく恥ずかしくなってくるのです。
時々、激情的に、自分ばっかりになってしまう人は、ムクゲの花に親しむといいかもしれません。今は、たくさん咲いていますから、なんとなく身に覚えのある人は、ムクゲに話しかけてみてはどうでしょう。