葉っぱの不思議な力
鷲谷いづみ・文 埴沙萌・写真
山と渓谷社 2005年
入院中の読書には、感情を刺激するものが少し気持ちを苦しめるときがあると感じたので、私の本棚の中で、まだ途中までしか読んでなかった、植物学系の本を取り出してみました。
植物学といっても、そう難しくはなく、乱読気味にさあっと読んでしまいました。植物たちが生きていくためにどんな仕事をしているか、読んでいるうちには、はああ、ふううん、へええええ、とうなずきながら読んでいました。
葉っぱの裏に生えているあの毛の一本一本や、茎を折ると出てくる粘液などにも、外敵から身を守る秘密がしっかりあるのです。植物はただそこに生えてるだけじゃない。ちゃんと不思議な知恵と力を使って、たくましく生きている。
光合成をして栄養を作るには、少しでも多く光を得るために上に伸びる。その伸びるための茎にどこまで投資するか。葉は光を受けるために、お互いに重ならないようにつける。光合成で栄養を作るに必要なミネラルや水分を得るために根はどこまで伸ばすか。植物はちゃんとやっている。りっぱに生きているんだなあ。
写真も美しく、文章もそれほど長くはないので、堅苦しく思うことなく、読むことができます。うすい本ですし、これを読んだ後で、花はきれいなだけではないのだと、深く思い知った次第です。美しいものほど、高い努力をしているものなのだなあ。植物は美しい、という思いを、いっそう強くした次第です。それにしても。
精読すればそれはおもしろい植物たちの世界が広がるようにうまく説明できるのでしょうが、今は入院中の自分を助けるための読書なので、これくらいしか紹介できません。お恥ずかしい。
気持ちに済まなさが残るなあ。よい本です。一度読んでみてください。
オオオニバスの写真など絶品ですよ。美しい。