ばら
楼閣のように
巨大な ばらが
大空に 描かれるように
それは
何度消しても 消しても
くりかえし
描かれるように
わたしの中で
それは
叫ぶのです
ちきゅうが
かわいらしくて ならない
ひとびとが
いとおしくて ならない
ああ
どうすれば いいのか
わたしの 奥の 奥深く
光る きわみから
つるされる 無数の
存在の
すべてをかけて
それは 叫ぶのです
のうみつな 光の汁を
まるめて つくった
山ほども 大きな
赤ん坊が
わたしの中に
打ち捨てられて いるように
それは いつまでも
叫びつづけるのです
(2002年、種野思束詩集「種まく人」より)