リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

訃報相次ぐ

2014年05月14日 14時54分21秒 | 音楽系
リュート関連の訃報が相次いでいます。

イギリスの製作家、スティーブン・ゴットリープ氏とスイスの演奏家、教育家、オイゲン・ミュラー・ドンボワ氏の訃報をイギリスのリュート協会から、あと個人的にも連絡を頂きました。

ゴットリープ氏は4月25日に亡くなられ、5月12日に葬儀が行われたとのことです。彼とは直接の面識はありませんが、彼の楽器は何度か弾いたことはあり、とてもいい楽器でした。そのうちに注文しようかと思っていましたが、かなわなくなりました。

ドンボワ氏は5月9日に亡くなられ6月4日が葬儀とのことです。彼は70年代古楽復興期のパイオニアのひとりで、多くの弟子を育てました。私が10代の終わり頃に聴いた2枚のレコード「天使のメロディ<バロック音楽とその周辺>シリーズ、ルネサンス時代とリュート音楽」と「同シリーズバロック音楽へのお誘い」特に印象に残っています。特に後者のレコードは彼の演奏はヴァイスのファンタジア1曲だけでしたが、初めて聴くバロック・リュートの演奏は衝撃的でした。

1979年にスイスに行ったときに、幸いにも彼のレッスンをスコラで受けることができました。


バーゼル・スコラ・カントルムでドンボワ氏のレッスンを受ける筆者(さすがに若いです)(*^-^*)

社交的な意味合いだった思いますが、レッスン後に「今日はとてもいい音楽を聴かせてもらったよ」とおっしゃったそのことばがとても嬉しく今も心に残っています。その何年か前に彼は右手が腱鞘炎になり、手術をしたそうですがうまくいかず、右指が上がらなくなっていました。その時のレッスンも実際に楽器が弾けないので、クラヴィコードでレッスンをして頂きました。右手は鍵盤楽器の動作には問題がなかったようです。

お二方のご冥福を謹んでお祈り致します。