院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

天才手塚治虫氏・その1

2009-03-11 11:57:28 | Weblog
 今年は手塚治虫氏の生誕80周年だそうである。だからTVでも手塚治虫氏の特集は多いし、いまさらここで手塚氏の天才性について語ろうとは思わない。

 その代わり、私と手塚氏(の作品)との初対面のことを語ろう。

 私が小学校2年生のころだったろうか、祖母が「鉄腕アトム」のハードカバーの単行本を買ってくれた。私は夢中になって読んだ。

 場面はエジプトのピラミッドである。ピラミッドが正確な(滑らかな)四角錐ではなく、四角い石の積み重ねであることを、手塚氏の絵によって私は初めて知った。

 ピラミッドには穴が開いており、王の棺は「玄室」という部屋にあることも知った。手塚氏の漫画はかなりの教育効果を私に及ぼした。

 「玄室」には水が溜まっており、そこに悪者でクラブマンという蟹の形をしたロボットが棲息していた。そこで私は「クラブ」というのはクラブ活動のクラブではなく、蟹のこともクラブというのだと知った(スペリングが違うことは後に学んだ)。

 クラブマンは鉄腕アトムにピラミッドの石のかたまりを投げてきた。鉄腕アトムは、ことごとく石をよけてクラブマンを破壊するのであるが、クラブマンは外側だけでできていて、中身は中空なのである。

 外骨格生物を模写したクラブマンの印象は鮮烈だった。蟹は外骨格だけ硬く中身はふにゃふにゃではないか。子供の私にはクラブマンの描写が腑に落ちた。

 「ジャングル大帝」の時代は知らないが、私にとっての「手塚体験」は鉄腕アトムが初めてだった。