院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

天才手塚治虫氏・その2

2009-03-12 08:47:54 | Weblog
 大人になって読んだ作品に「ブラックジャック」がある。

 それなりに面白かったが、鉄腕アトムほどの鮮烈さはなかった。手塚が稀代のストリーテラーだということが、「ブラックジャック」からはよく分かる。

 でも、すでに私は医者になっていたから、ストーリーの無理も分かってしまった。「ブラックジャック」は子供向けではない。夢が膨らまない。しいて言えば、さいとうたかお氏の「ゴルゴ13」に似ている。

 次に出てきて未完の大作となった「アドルフに告ぐ」も青年漫画である。私はこの作品を詳しく読んでいない。幼かったころの私の心を躍らせた鉄腕アトムの雰囲気がまったくなくなってしまった。

 これは手塚氏にとっては自然のなりゆきっだったのだろう。どんどん作風を変えていくのは、モダンジャズで言えばマイルス・デビスみたいなものだ。一流芸術家の宿命なのかもしれない。

 手塚治虫氏は60歳で胃がんで亡くなった。早すぎる死だった。かく言う私も、もうじき手塚氏の歳になる。