(大阪国立文楽劇場。ウィキペディアより引用。)
幼い私が文楽のホールの通路を走り回ったのは、飲み物食べ物が出なかったせいである。
もうひとつは人形遣いが姿を隠さなかったことである。とくに人間国宝は黒子の衣装を着ることもなく、裃袴で出演した。子供用の人形劇では人形遣いは絶対に姿を見せない。白けるからだ。
文楽では人間国宝並みの人は姿をかくさないどころか、逆に裃袴で存在を主張する。子供にとってはそれが邪魔だった。
こうして幼い私は、まったく文楽を楽しむことができなかった。
※私の俳句(秋)
雨降れど声を消さざる虫少し