上の病院の精神科病棟をデザインした20年前、50床のうち5床しか個室が取れなかった。本当は全室個室にしたかったのだが、床面積の制限があって残りの45床は相部屋となった。
やむなく、相部屋にはベッドごとにカーテンを付けた。プライバシーを守ろうとするせめてもの努力だった。
じつはカーテンを付けることには反対意見があった。ベッドが個室化してしまうと、入院患者の自殺未遂の発見が遅れるというのだ。(精神科病棟にカーテンを付けるのは、この病院始まって以来のことだった。)
私は「入院患者の管理に、他の入院患者の目をアテにしてはならない」との理屈で押し切ったが、自殺未遂を見逃すリスクが増えたのは確かだった。
数日前、中日新聞愛知県版の投書欄に「相部屋のカーテンは、入院患者同士のコミュニケーションを妨げる」という意見が載った。せっかく相部屋になったのに、隣の人との挨拶さえやりにくい、というのだ。(投書者は年配者ではなく40歳代だった。)
みなさまは、どう思われるだろうか?医療側から言えば、入院患者にはおむつ交換が必要な人もいて、カーテンはとても便利だったのだが・・。
参考:病院食