院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

この程度で「音楽家」を自称するか!?

2017-07-30 11:57:46 | 音楽

(これぞホンモノ。ルドルフ・ゼルキン。)

私の世代にはピアノを習うことが大流行した。だが本当に上手い人に出会ったことがない。音大出身者でさえ私を驚かすことができなかった。

だいたいベートーベンのピアノソナタ「熱情」を最後までちゃんと弾ける人がいなかった。指が動かないのだ。これは天性だと思う。

芸術的な「耳」がすぐれていても指が動かなくては、どうしようもない。有名ピアニストを除くと、世の大多数のピアノ弾きは超絶技巧をもっていない。だからプロと自称してもアマチュアの域を出られない。(ホンモノとは昨日書いた後藤みどりさんや内村航平のことを言うのだ!)


 ※私の俳句(夏)
    遊船や海にせりだす摩天楼


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2 コメント

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この程度で「音楽家」を自称するか!? (シナモン)
2017-08-02 17:59:25
ピアニストは音痴である。(シナモン)
(1)
四歳の年から、近くの幼稚園のピアノ教室に通い始めた。自分から母親を説得したのだそうだが、残念ながらその記憶は消えてしまっている。言語が未熟な時期の記憶はあいまいである。

母親に言わせると、園長の「ママ先生」が、まずムソルグスキーの「展覧会の絵」という難曲を私と母親の前で演奏され、音楽とはこういうものだ、「プロムナード」「古城」「卵の殻をつけた雛の踊り」といった、各曲の頭に付けられた表題と曲のイメージの関係についてお話をなさった由。これも記憶から剥離して、今やミッシングリンクになってしまっている。

幼児期からピアノを習うことのメリットは、ピアノ的絶対音感がつきやすいこと。複雑な総譜が読めるようになること。それと合わせて交響曲など声部の多い楽曲をパート毎に聞き分ける耳が育つこと。さらに譜面をみて音にして歌うことができるようになること等々があるだろう。また、曲の表情を支持する様々な外国語(イタリア語、ドイツ語など)への親しみが自然と醸成されることも、メリットといえばメリットなのかも知れない。

(2)
しかし、メリットばかりではない。ピアノには根源的な欠陥がある。小さいころから気づき始めたのだが、弦楽器とピアノの音が、所々でずれること。特に階名で言うと、譜面上のドミソの「ミ」の音が、ピアノでは微妙に高く、弦楽器では微妙に低く聞こえるのである。ジャズでも、ピアニストの奏でる音と、ベース奏者の奏でる音のピッチのずれがけっこう気になった。

ピアノ協奏曲のような大規模なものになると、オーケストラのかなでる和声の響きと、ピアニストの和声やメロディが所々で不整合を起こし、例え巨匠が誰であれ、深いところで共鳴しあわない音を平気で発し続ける(KYな)巨匠がマヌケに見えたこともあった(笑)。

(3)
大学に入って、ルネサンスの教会音楽を中心レパートリーとする合唱団に入った。その純正な響きの和声のとりこになった。単純化すると、三度(ド-ミ)四度(ド-ファ)五度(ド-ソ)六度(ド-ラ)などの二声の和音としての響きが、ピアノとはかなり異なった。

少し理論的に言うならば、等分平均律で調律されるピアノの各鍵盤上の音のピッチが、ルネサンスポリフォニーから発せられるピッチとことごとくズレていた。ピアノの場合、オクターブ以外の任意の二つの音を同時に鳴らすと、ことごとく「唸り」が生じる。ルネサンス和声では「唸り」が生じないように、他のパートとの音程関係を演奏しながら、一瞬一瞬、耳できいて調整していく。

(4)
演奏中に、一瞬一瞬、音程を調整していくのは、他の楽器ではあたりまえのことなのだが、楽器の構造上、鍵盤楽器ではそうした「実存的」微調整が出来ない。その原因は等分平均律という調律法に起因している。オクターブの二音関係以外は「唸り」を発生させない二音関係は存在しない楽器がピアノなのである。

ピアニストは、音程に致命的な欠陥を持つ楽器を弾いて世間的名声を博しつつ、一生を送る。アンサンブル仲間や、オーケストラ団員に対して「音程が悪くて申し訳ありません」と謝罪するピアニストはいない。ピアニストは演奏中に自分で音程を作ることができない演奏家なのだ。そう言う意味で「ピアニストは音痴」と題名をつけたのである。
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別の音階かも (管理人)
2017-08-02 20:17:38
シナモンさん、いつも詳しいコメントをありがとうございます。

平均律はいつも問題になりますね。とくに「ミ」の扱いが大変なようです。
そちらの方面に詳しいわけではありませんが、先日「放送大学」の音楽の時間に
純正調と平均律の違いを演奏して今いた。両者はまったく別の音階と言っても
いいくらいですね。

こんごも奥深いコメントをお願いいたします。
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