えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

こまった

2008年12月15日 | 読書
移転したブックオフに今日に限り寄ってしまいました。
6冊本を抱えてまた「ああ」とため息です。

私はいわゆる「中国古典もの」が好きなのですが、
高校生の頃、とあるライトノベルを見て驚愕(そこまで驚いては
いないか)した覚えがあります。

第八回電撃ゲーム小説大賞〈大賞)受賞作
『大唐風雲録』(田村登正著・メディアワークス)

簡単に説明すると、唐の時代、玄宗皇帝の御世の後半、
長安を舞台に繰り広げられる歴史SFです。(簡略すぎるわ)
これ6年前の本なのですが、続編2冊を未読、それがまるごと
ブックオフの棚においてありまして。

「(あ、こりゃ買えってことか……)」

古本は往々にして買うタイミングと言うものがあると思います。
物欲に負けました。あさっても本が来るのに。ああ。

それはともかく、当時驚いたのはライトノベルにも関わらず、
歴史史料を上手く使いこなしている点でした。
何より作者の顔写真。40代後半のおっさん。わお。
果敢にも挑戦して見事大賞を射止めました。
自分でも、本作がライトノベルというジャンルでは異色作だという
想いがあったことはあとがきで述べていますが、
でもこの作品はライトノベルです。

文字通り「軽い」筆致なのですが内容が濃く、児童文学と言うには
対象年齢が高すぎて、歴史小説と言うにはやわらかすぎます。
ですが、やはり人生経験を積んだ方が書く物語、他の作品とは
決定的に異なるのが、人物一人ひとり、おっさんから少年少女の
人格の書き分けをかなりしっかり描いていること。
ただ少年の個性がちょっとだけ薄口なのがひっかかりますけど、
会話のテンポが良いのであまり気にならないかもしれません。

この作家はふんわりしたユーモアの持ち主だと思います。
児童文学のようなあったかい筆致に事柄を載せながら、
話の荒唐さと歴史事実からきちんと距離をとって、
必要以上の感情移入無しに面白くかける人です。
『大唐~』シリーズ以後2作品は現代を舞台にしたもので、未読なのですが、
個人的にはもっと歴史モノが見たいと思います。
ライトノベルと言う市場には、ちょっぴりもったいない気がするので。

で、なにがこまったかというと、
やることがあるのに手をつけちゃって、
手につかなくなったといいますか……
(自業自得じゃ)
コメント
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