前巻では、もと許嫁の奈緒と前田屋内蔵助の難儀を救うべく江戸を旅立った磐音らが、紅花利権をめぐる出羽山形・秋元藩の内部紛争を鎮めました。佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙』シリーズ第27巻、『石榴ノ蝿』は、佐々木磐音らの江戸帰着を前にした場面から始まります。
第1章「紅板」。磐音と園八・千次の一行が、出羽山形から千住掃部宿まで戻り、雨宿りをしているところへ、若侍を追って武士の一団が追走して来ます。斬り合いにはならずにすみましたが、若侍を助けたのがどう出るのか。おこんさん、奈緒にちょいと焼き餅を焼いてみますが、お二人には仲直りの過程もまた、嬉しいもののようで(^o^)/
第2章「利次郎の迷い」。佐々木玲圓から、勝ち抜き戦で好成績をあげている重富利次郎が勝ちを急いでいると指摘され、磐音は利次郎をコテンパンにしてしまいます。利次郎は過信をくずされて、スランプ状態に。竹村武左衛門の行く末も懸案ではありますが、笹塚孫一と木下一郎太の依頼も、何やら大金がらみのよう。
それはそうと、地蔵そばの竹蔵親分への社交辞令とはいえ、出羽山形と比較して江戸のそばの方が「はるかに」うまいとか、主人公(作者?)の味覚に疑問を持たせる記述もあるようで。地元出羽山形に在住のそば好きといたしましては、一言指摘しておく必要があるでしょう(^o^)/
第3章「霧子の存在」。この章では、霧子さんがいい役柄です。重富利次郎の迷いを吹っ切らせ、西の丸の家基さんからの伝言を持参して尚武館に来た桂川国端が磐音と相談する間に、桜子の木立の相手を勤め、刀を研ぎに鵜飼百助をたずねたときには、路上の狼藉をたしなめます。さらには、弥助とともに常陸麻生藩の内紛を探り、深川鰻処宮戸川でも活躍するという具合。先のテレビドラマ「陽炎の辻3」では、霧子さんは磐音に片思いという想定でしたが、本編ではどうも霧子の意中の人は重富利次郎ではないかと見ました。
第4章「二寸二分の見切り」。この章で初めて明らかになるのが、南町奉行所の同心・木下一郎太の秘めた想いです。八丁堀で幼なじみの瀬上菊乃が婚家を離縁されて実家に戻って来ているとのこと。ふーむ、柳次郎・お有に続く、新たなカップル誕生の予感です。鐘四郎は警護で宮戸川と船宿川清との打ち合わせも終え、西の丸の世嗣家基の江戸市中お忍び遠足の手配りが進みます。
その間にも、佐渡相川金山を抜け出した無宿者一味を捕え、溜め込んだ金子を押収して、笹塚孫一殿はホクホクの様子。出羽山形の秋元永友さんが佐々木道場に挨拶に来るなど、速水左近の交際範囲の広さはさすがと言うべきか。それにしては度々の訪れ、多忙で暇はあんまりなさそうなのですが(^o^)/
第5章「お忍び船行」。弥助に監視されているとも知らず、夜分に桂川家から忍び出た見習い医の若者。色仕掛けに欺かれたのは可哀想ですが、いわば内部のスパイ役。情報が漏洩していたわけですね。鵜飼百助に研ぎを依頼した愛刀包平も出来上がり、磐音は鐘四郎を通じて西の丸に秘策を伝えます。秘策とは、「予定一日繰り上げ実施」という荒技でした(^o^)/
速水左近のアイデアでおこんが接待役になり、家基さんは大喜びで、「なかなか美形よのう」。バカ殿とは違い、「夜伽をいたせ」とは言わなかったようです。のどかな船遊びから、桜餅屋経由宮戸川までの徒歩遠足です。船中での茶がゆ、宮戸川では鰻割きの体験学習(?)と続き、お城育ちには、その後の蒲焼きはさぞや美味かったことでしょう。鉄五郎親方にかけた「また参るぞ」の一言が、果たして叶うものやら。歴史を知る者には名残惜しいシーンです。最後の闘争は、定番の幕切れではあるのですが。
ちなみに、写真は出羽山形、最上郡金山町の谷口がっこそば。予約が必要ですが、ここのそばもおいしいです。
第1章「紅板」。磐音と園八・千次の一行が、出羽山形から千住掃部宿まで戻り、雨宿りをしているところへ、若侍を追って武士の一団が追走して来ます。斬り合いにはならずにすみましたが、若侍を助けたのがどう出るのか。おこんさん、奈緒にちょいと焼き餅を焼いてみますが、お二人には仲直りの過程もまた、嬉しいもののようで(^o^)/
第2章「利次郎の迷い」。佐々木玲圓から、勝ち抜き戦で好成績をあげている重富利次郎が勝ちを急いでいると指摘され、磐音は利次郎をコテンパンにしてしまいます。利次郎は過信をくずされて、スランプ状態に。竹村武左衛門の行く末も懸案ではありますが、笹塚孫一と木下一郎太の依頼も、何やら大金がらみのよう。
それはそうと、地蔵そばの竹蔵親分への社交辞令とはいえ、出羽山形と比較して江戸のそばの方が「はるかに」うまいとか、主人公(作者?)の味覚に疑問を持たせる記述もあるようで。地元出羽山形に在住のそば好きといたしましては、一言指摘しておく必要があるでしょう(^o^)/
第3章「霧子の存在」。この章では、霧子さんがいい役柄です。重富利次郎の迷いを吹っ切らせ、西の丸の家基さんからの伝言を持参して尚武館に来た桂川国端が磐音と相談する間に、桜子の木立の相手を勤め、刀を研ぎに鵜飼百助をたずねたときには、路上の狼藉をたしなめます。さらには、弥助とともに常陸麻生藩の内紛を探り、深川鰻処宮戸川でも活躍するという具合。先のテレビドラマ「陽炎の辻3」では、霧子さんは磐音に片思いという想定でしたが、本編ではどうも霧子の意中の人は重富利次郎ではないかと見ました。
第4章「二寸二分の見切り」。この章で初めて明らかになるのが、南町奉行所の同心・木下一郎太の秘めた想いです。八丁堀で幼なじみの瀬上菊乃が婚家を離縁されて実家に戻って来ているとのこと。ふーむ、柳次郎・お有に続く、新たなカップル誕生の予感です。鐘四郎は警護で宮戸川と船宿川清との打ち合わせも終え、西の丸の世嗣家基の江戸市中お忍び遠足の手配りが進みます。
その間にも、佐渡相川金山を抜け出した無宿者一味を捕え、溜め込んだ金子を押収して、笹塚孫一殿はホクホクの様子。出羽山形の秋元永友さんが佐々木道場に挨拶に来るなど、速水左近の交際範囲の広さはさすがと言うべきか。それにしては度々の訪れ、多忙で暇はあんまりなさそうなのですが(^o^)/
第5章「お忍び船行」。弥助に監視されているとも知らず、夜分に桂川家から忍び出た見習い医の若者。色仕掛けに欺かれたのは可哀想ですが、いわば内部のスパイ役。情報が漏洩していたわけですね。鵜飼百助に研ぎを依頼した愛刀包平も出来上がり、磐音は鐘四郎を通じて西の丸に秘策を伝えます。秘策とは、「予定一日繰り上げ実施」という荒技でした(^o^)/
速水左近のアイデアでおこんが接待役になり、家基さんは大喜びで、「なかなか美形よのう」。バカ殿とは違い、「夜伽をいたせ」とは言わなかったようです。のどかな船遊びから、桜餅屋経由宮戸川までの徒歩遠足です。船中での茶がゆ、宮戸川では鰻割きの体験学習(?)と続き、お城育ちには、その後の蒲焼きはさぞや美味かったことでしょう。鉄五郎親方にかけた「また参るぞ」の一言が、果たして叶うものやら。歴史を知る者には名残惜しいシーンです。最後の闘争は、定番の幕切れではあるのですが。
ちなみに、写真は出羽山形、最上郡金山町の谷口がっこそば。予約が必要ですが、ここのそばもおいしいです。