電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ネット上で聴く音楽~いい音で聴きたい

2009年09月29日 05時32分21秒 | クラシック音楽
最近は、ネット上で提供される音楽が、著作権の切れた歴史的なものだけでなく、素晴らしいものが増えてきました。特に、MP3 形式で入手できるものについては、嬉しい限りです。先の、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の記念年の際には、最新の高音質録音で10曲も提供され、喜んだものです。
これらを聴く際に、できればいい音で、というわけで、携帯型音楽プレイヤーでなくパソコンで再生した音を、アンプを経由しスピーカで聴いてみたくなります。一つの方法は、USB オーディオ・アダプタを経由して、ラジカセやミニコンポの外部入力(Line)端子に接続することです。こうすれば、パソコン本体の安物オーディオ回路を経由せず、USB 経由でデジタル信号が運搬され、そこで音声信号に変えられますので、あとはアンプで増幅すればよい、というわけです。おそらく、ネットワーク時代のオーディオ装置は、今のミニコンポのような形ではなくなるのか、あるいはミニコンポやテレビがネットワークに接続されるようになるのでしょう。

では、やがてステレオ録音初期のものの著作権が切れ、公共の財産として利用できるようになり、かつての大家の演奏が無償で広く聴かれるようになったとき、若い演奏家の録音がビジネスとして成り立ちうるのか。これは、なかなか難しい問題です。

かつて、作曲家の時代がありました。当時の演奏家の名前は、音楽史上有名な一部の例外をのぞきほとんど知られていませんが、作曲家が新しい曲を作り、出版されることが世の中の話題になった時代です。このとき、商業的には音楽出版社が大きな力を持っていたのでしょう。その後、大演奏家の時代がやってきて、過去の作品をどのように演奏したかが話題になるように変化します。演奏会だけでなく、LPやCDなどの録音メディアが商業的な力を持つようになりました。巨匠の時代、残念ながら作曲家は後ろのほうに退いてしまい、商業的にはレコード会社が大きな力を持ちました。では、巨匠たちのステレオ録音がネットで無償で公開される時代には、どうなるのだろうか。

おそらく、グローバルに活躍する演奏家の映像がネットを通じて有料で国際的に配信されるのと、地方に拠点を持つ演奏家が地元で親しまれ、その活躍ぶりに共感する人たちが応援する形の地産地消型の配信とに、二極分解するのではないかと想像します。商業的には、某りんごマークの会社等のように、たぶん音楽や映像のネットワーク配信する企業が、大きな力を持つようになるのでしょう。昔のLP棚を見ると、そういう時代がやがてくるのだなあと、思わずにはいられません。
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