消費税引き上げのアラカルト。 a-la-carte of raising the consumption tax

　(1)消費税８％引き上げの４月１日がだんだん近づいてきて、スーパーなどでは事前の「まとめ買い」を勧めるビラも目につく。商品棚ではコーヒーやウイスキーでポッカリ空いた場所もある。
　
　４月１日に向けて石油ショックの時のような商品隠し、出し惜しみがあるのか、消費者があまりまとめ買いに前のめりになれば販売業者の思うツボとなり、足元を見られての商品管理操作を招くことになる。
　４月１日からの消費税８％引き上げでは、政府は法制化までして還元セール、サービスを禁止する措置を取って物価上昇（２％上昇）、企業増益を実現するデフレ脱却政策を進めるつもりだ。

　(2)政府はこれまで駆け込み需要によるつくられた高い経済指標データを利用して、経済環境は整ったと消費税８％引き上げの実施を決定したが、４月に入れば反動の買い控えなどにより経済動向、消費、指標データの落ち込みは避けられない。

　４月からの賃金ベースアップ効果が消費者動向にどのような影響を及ぼすのか、まさか法制化して消費を喚起することなど出来ない話なので、４月以降の経済動向、変化、政府の財政金融政策が注目される。
　生産拠点の海外化の輸出低迷による貿易収支赤字増幅など、すでにここえきて経済活動不安データも出始めている。

　(3)しばらくは消費税８％引き上げがさらに経済活動、景気不安感に拍車をかけることは間違いはない。その消費税８％引き上げは４月１日から実施されるが、各業種、企業の実施対応が出揃ってきた。

　コンビニのように２４時間営業では、４月１日の午前０時前に一旦営業を終了して同午前０時以降の準備が整い次第に消費税８％価格営業を始める。
　交通機関のように日にちをまたぐことが避けられない業種では技術的対応として０時を過ぎた終電までは５％価格営業で、朝始発電車から８％価格営業とする。
　銀行手数料は３月中決済のものは５％で４月にずれ込むものは８％となり、エネルギー産業、自治体水道事業はすでに値上げを実施または検討して政府の認可待ちのものもあり、４月時点での８％価格営業切り替えが不可能なところもあってシステム変更整備のために夏以降の８％価格営業を打ち出しているところもあり千差万別だ。

　(4)日ごとに商品の入れ替えのあるものは３１日と１日の価格の相違にそれほど違和感（discrepancy）はないが、書籍、CD、知的財産物などのように内容が普遍的で同じものが相当期間置いてあり一定期間価格変動がないものが、３１日は５％価格で１日に８％価格になりますでは相当違和感はある。

　コンサートチケットでも、４月以降の公演で３月中に購入すれば５％価格で４月以降購入は８％価格では同じ座席でのこの違いにはすんなり納得することはできない（当日券より安い前売り価格での催促販売方法と似た違和感）。
　せいぜい３月中に告知、提供、手続きされたものはそれが４月以降に効力が出るものであっても５％価格で対応するのが善良な管理者（virtuous administrator）の商法というものだ。

　(5)日替わり販売商品も含めて４月１日にあたらしく市場に提供されるものから８％価格を適用するのが消費者心理に叶ったものだ。
　自販自動機器機能、レジ機能ほかの一斉切り替えで当初は混乱も予想されるし、対応も一定していないわかりにくさもある。
　消費税引き上げは、通常従前の消費税価格で仕入れたものを同引き上げ価格で販売する業者有利のシステムで、移行期の還元セールはあってもいいものだ。