(1)石破首相の外交政策、戦略、認識の甘さがでたのが、アジア版NATOの提唱だった。米国からは無視されて、国内からも評価、支持されなかった。米国は中国包囲網として軍事対立ではなく自由で開かれた太平洋構想として米日印豪のクアッドを構成しており、今さらアジア版NATOには関心はない。
(2)トランプ次期大統領も1期目には米国のNATOへの出資金の多さからNATOからの撤退も示唆しており、ウクライナ戦争でもNATO各国の間で方針、対応が一致せずにバラバラで露に対して結束しているとはいえない国事情がある。
そうした国際情勢の中で石破首相がアジア版NATOを提唱しても相手にされない外交認識の欠如、甘さが露呈したものだ。
(3)石破首相は今、ASEAN議長国マレーシアと加盟国インドネシアを訪問している。日本がASEANとの関係重視の姿勢を明確にする訪問だが、アジア版NATO構想がダメならASEAN重視では主張に説得力、一貫性がない。
マレーシアではアンワル首相が予定にない(報道)石破首相の車両に同乗して昼食会場に移動するということもあり、「2人だけの会話を楽しんだ」(同行副官房長官談)として個人的な関係構築ができたと評価している。
(4)本来なら1月中旬にはトランプ次期大統領の就任式前の訪米でトランプ次期大統領と会談する強い要望がみられていたが、2月に引き延ばされた。1月24日から通常国会が始まり、その前のトランプ次期大統領との会談では最近のトランプ次期大統領の過激な発言から通常国会冒頭からの野党の厳しい追及が予想されることからトランプ大統領になってからの実質的な話し合いの方が意味がある趣旨の発言で2月に引き延ばすことになった。
(5)野党との大連立の可能性、予算案否決での解散総選挙に言及しておいてその後すぐにあり得る手続論を述べただけだとして、石破首相の主張、話に「落ち着き」がみられず国民、世論から浮き上がっている印象はある。
少数与党として始まる通常国会で野党の追及にかわし、かわしで逃げ回っているだけではは、先の展望はみえない。
(6)自民党内からも参院選を控えて交代論が出てくる。