(1)国会の衆参憲法審査会が始まった。今夏の参院選をはさんで休会中であったが、その参院選で改憲勢力が3分の2議席を獲得して国会での改憲発議が可能になった中で再開された同審査会で、自民党は9条改正について言及した。
「自衛隊の位置付けが明確でなく、自衛権の否定ともとられかねない」(報道)というのが趣旨だ。
(2)安倍首相、自民党は自衛隊を国防軍として明記することを草案としてすでに示しており、その地ならしとしての自衛隊の役割の憲法明文化ということができる。
政府の方針として自衛隊の海外での集団的自衛権の行使に駆け付け警護を行使することが決まっており、戦力不保持で交戦権を有しない現行憲法9条に違反することは論理的にはあきらかであり、これを推し進めようとする政府、自民党にとっては憲法9条を改正して名実ともに自衛隊の「海外派兵」を正当化させる意味がある。
(3)そうしておいての自衛隊の国防軍への変更であり、国防政策の強化方針だ。今回の南スーダンのPKO参加派遣自衛隊に駆け付け警護のあらたな任務を付与したのは、人道上の救助活動としては当たり前の正当行為であるが、これが海外の紛争地域に自衛隊を派遣することとなればそれ自体が国際紛争を解決するための戦力を保持せずに交戦権を有しない憲法9条に抵触することはあきらかであり、そのジレンマは本ブログでも書いたが、自衛隊の役割を憲法規定で明文化することにより名実ともに正当化しようというもので、いたしかゆしのところではある。
(4)将来の自衛隊の国防軍化に向けて歯止めが効かなくなることがない大局的、総括的、慎重な論議が求められる。さらに自民党は憲法24条の家族制度パラダイム(paradigm)までも改正の意図を示している。
憲法24条は個人の尊厳と男女、夫婦の本質的平等を規定した自由な家族形態を保障する規範であるが、自民党草案では「家族は社会の基礎的単位」(報道)として「互いに助け合わなければならない」(同)と戦前の封建主義社会、家父長(priority of fatherhood)制度の復活を思わせる社会思想的改革を目指している。
(5)安倍首相が目指す女性が輝く社会との競合はどうなるのか、両立はむずかしいのではないのか。
昨今の家族関係の崩壊社会現象の中で自民党の保守派思想が古い封建的家族制度を持ち出すものだが、国防軍と重なればまさしく戦前の軍国主義国家連帯思想の再現にもつながる忌まわしい記憶をよみがえらせるものだ。
日本全国の改憲運動を民間組織として進める日本会議は、神社の氏子を動員しての国民的運動の広がりを進めており、自民党の保守的な改憲色彩を強めているのと符合する。
(6)直近の世論調査でも改憲に賛成と反対がともに半数値近くで同数という結果もあり、世界的な保護主義、孤立主義の台頭の中で日本においても保護主義的な保守的、封建的思想主義の復活、回帰への憲法改正が国民的広がりをみせることも十分考えられる。
直近の改憲を目指す安倍内閣支持率も55%と過半数を占めて上昇して高いのも後押ししそうだ。
「自衛隊の位置付けが明確でなく、自衛権の否定ともとられかねない」(報道)というのが趣旨だ。
(2)安倍首相、自民党は自衛隊を国防軍として明記することを草案としてすでに示しており、その地ならしとしての自衛隊の役割の憲法明文化ということができる。
政府の方針として自衛隊の海外での集団的自衛権の行使に駆け付け警護を行使することが決まっており、戦力不保持で交戦権を有しない現行憲法9条に違反することは論理的にはあきらかであり、これを推し進めようとする政府、自民党にとっては憲法9条を改正して名実ともに自衛隊の「海外派兵」を正当化させる意味がある。
(3)そうしておいての自衛隊の国防軍への変更であり、国防政策の強化方針だ。今回の南スーダンのPKO参加派遣自衛隊に駆け付け警護のあらたな任務を付与したのは、人道上の救助活動としては当たり前の正当行為であるが、これが海外の紛争地域に自衛隊を派遣することとなればそれ自体が国際紛争を解決するための戦力を保持せずに交戦権を有しない憲法9条に抵触することはあきらかであり、そのジレンマは本ブログでも書いたが、自衛隊の役割を憲法規定で明文化することにより名実ともに正当化しようというもので、いたしかゆしのところではある。
(4)将来の自衛隊の国防軍化に向けて歯止めが効かなくなることがない大局的、総括的、慎重な論議が求められる。さらに自民党は憲法24条の家族制度パラダイム(paradigm)までも改正の意図を示している。
憲法24条は個人の尊厳と男女、夫婦の本質的平等を規定した自由な家族形態を保障する規範であるが、自民党草案では「家族は社会の基礎的単位」(報道)として「互いに助け合わなければならない」(同)と戦前の封建主義社会、家父長(priority of fatherhood)制度の復活を思わせる社会思想的改革を目指している。
(5)安倍首相が目指す女性が輝く社会との競合はどうなるのか、両立はむずかしいのではないのか。
昨今の家族関係の崩壊社会現象の中で自民党の保守派思想が古い封建的家族制度を持ち出すものだが、国防軍と重なればまさしく戦前の軍国主義国家連帯思想の再現にもつながる忌まわしい記憶をよみがえらせるものだ。
日本全国の改憲運動を民間組織として進める日本会議は、神社の氏子を動員しての国民的運動の広がりを進めており、自民党の保守的な改憲色彩を強めているのと符合する。
(6)直近の世論調査でも改憲に賛成と反対がともに半数値近くで同数という結果もあり、世界的な保護主義、孤立主義の台頭の中で日本においても保護主義的な保守的、封建的思想主義の復活、回帰への憲法改正が国民的広がりをみせることも十分考えられる。
直近の改憲を目指す安倍内閣支持率も55%と過半数を占めて上昇して高いのも後押ししそうだ。