ぶっちゃけ書くけど、この作品、ミュージカル界の主役級の名だたる方々だから成立するんであって、私に限って言うと、全く存じ上げない方々だったら脳内カオス状態になってたと思うよ。
名前で呼び合ってくれなかったら、誰を演じているのかさっぱり分からなかったよ。それくらい
役替りが激しい!!
主役級の方々だからこそ、その個性とスター性が生かされた、椅子だけで場面転換を行うだけで観客に想像力を働かせる、これぞ究極のエンターテイメント作品だと言えると思う。
この作品は、まるで、都会の夜空みたいにネオンと排気ガスで汚れた空気の中では限られた星や星座しか見えない世界観ではなく、車も走らない自然豊かで空気が澄み切った、私の知る限りでは、白山の山頂から望む夜空一面を埋め尽くす数多の星々の中から星座を見つけ出すような世界観を感じた。
一人一人は、シリウスやベカ、アルタイル、ポルックス、アンタレス…といった名前を持つ一等星ではある。でも、名前のない数多の星々の中ではその輝きは紛れてしまうけども、輝きは一等級。
名前がない無数の星々も演じながらも名前がある一等星を演じ、メッセージという星座を作っているようなイメージ。
主役級で実力とスター性がある方々だからこそアンサンブルでもキャラが立つが、メインを演じると更に個性と輝きが増す。
誰もが主役で誰もがアンサンブル。人生と一緒。
本来なら2時間半で上演してもおかしくないような内容を100分に凝縮し、1分1秒、1分じゃ遅すぎるな、秒単位で狂いが許されない緻密に練られたステージングとスピード感。
舞台装置がド派手演出のスペキュタクルなエンタメ作品とは違う、12人の主役級の役者の方々が、椅子だけで場面転換を表現しながら、100分という短い時間の中で、メインの役柄とアンサンブルの役柄合わせて100人以上の登場人物をノンストップで演じ分け、歌い動き回るなんて!
マジ凄ごすぎる!
1階席だったので舞台の床が見えなかったけども、もし2階席から観たら、バミリの数がどれくらいなのか気になって気になって仕方なかった。それくらい椅子移動が激しかった。しかも盆が回る回る!
スポットライトが当たっている方についつい意識を向けていたら、いつの間にか気付いたら椅子の位置が変わって次から次へと場面チェンジしているので、ステージングの抜かり無さと1秒でも狂ったら流れがストップするんじゃないかくらいのスピード感があった。
100分だからこそ、必要とされる緊張感と集中力。キャスト陣の集中力とイメージ力、そして表現力が試される前代未聞のミュージカル作品でしたね。
マジ圧巻!
ということで、梅田日新しく出来たSKYシアターMBSに行ってきました!
こんなこと書いたら申し訳ないですが、新宿の某劇場に比べたら見易いわ、座席もいいわで設計者のセンスが本当に素晴らしい!この客席なら六平さんも文句言わないと思う。藁
日生劇場のゲネ?初日?ダイジェストをYouTubeで観たときに、キャスト陣の呼吸が合った統一感と秒単位の瞬時の切り替えに魅了され、なにより、浦井氏と万里生氏の2度目?の共演がまさかのゲイカップルということで、興味倍増、増し増しに惹きつけられたので(笑)観てきました。
最初に視覚的な感想しか書いていませんでしたが、この作品のメッセージは、100人いたらきっと100通りのメッセージを受け取るであろうと言ってもいいくらい、12人のキャストが演じる100人の登場人物の人生観のどれかに琴線が触れるのではないかと思った。
間接的ではあるが、9.11同時多発テロに関わった方々の、我々日本人には知る由もないテレビでは報道されていない(多分…)裏側。
9.11を題材にした作品ということで、犠牲者とその家族の物語と勝手に思い込んでいましたが、
ハイジャックされた飛行機ではなく、アメリカ着陸を拒否された飛行機とその乗客トータル約7000人が着陸したカナダのニューファンドランド島にあるガンダーという国際空港がある町。
ガンダーの地に導かれ降り立った者達の運命の出会いと別れが描かれている。
ハイジャックされた以外の飛行機がアメリカ上陸封鎖のためカナダに着陸を余儀なくされていたなんて今まで知らなかった。上陸封鎖=欠航だと思っていたからね。確かに、ハイジャックされた飛行機以外も同じ時間帯にアメリカに向かってたはずだからね。
それはさておき、
スピード感があるから台詞やシーンを咀嚼する時間がない中で、最後まで印象に残ったのは、瞳子さん演じるダイアンの台詞と万里生氏演じるイスラム教徒、そしてモリクミさん演じるお母さんの息子を想う気持ちでしたね。
さすがに浦井氏と万里生氏のゲイカップルは…、それより、加藤君が一瞬でかっさらっていった感があるけどね(笑)
瞳子さん演じるダイアンの台詞にあるように、9.11があったからこその皮肉?運命の出会い。そして、モリクミさん演じるお母さんと息子との悲しき別れ。浦井氏と万里生氏演じるWケビンの必然的な別れ。
万里生氏演じるイスラム教徒の人種と宗教故にテロ組織と同一視されてしまう憤り。
濱めぐさん演じる女性パイロット役は、仲間のパイロットがハイジャックの犠牲者ということもあって、自分もパイロットとして、また1人の人間として職務を全うする信念がある。
飛行機に乗っているのは人間だけでなく、猫や犬そして猿などのペットも同様である。シルビアさん演じる動物愛護団体の厚い保護精神も描いている。
いつまでガンダーに居座らないといけないのか?いつになったらアメリカに戻れるのか?乗客の不安以前に、なぜガンダーに到着しなくてはならないのか、乗客はその理由も分からないままガンダー空港に到着する。これに関しては電話ができる携帯を持ってるのになぜなのか疑問なんだけどね。情報を知ったらすぐに噂が広まると思うんだけどな…。
それはさておき、様々な感情が交差しながら、アメリカに帰れる日を待つ乗客と町の人々との交流が描かれている。
正直なところ、もう少し時間をかけて描いてくれたらもっと一人一人を理解して、感情移入もできたと思うんだけどね…。
それにしても、こんなにも脳みそをフル回転して観た作品は久々かもね。
目まぐるしく展開して、キャスト陣は本当に大変だったと思う。
本当に贅沢なキャスティング。
超久々に拝見する方々や、お馴染みの方々だけども、
皆さん、主役級でスター揃い!
ちえちゃんも加藤君も、モリクミさんも濱めぐさんも、禅さんも吉原さんもコロナ前以来かも。
ちえちゃんの、たまに聞こえてくる関西訛(あえて関西弁とは書かない)がツボだった(笑)
瞳子さんは宝塚OG関連でお見かしますが、演技は超久々。
去年は、浦井氏、ゆうみちゃん、シルビアさんはストレートプレイで、さとしさんは「ムーラン・ルージュ」、万里生氏は「GUYS&DOLLS」以来か。
それにしても、万里生氏の自己アピールというか芸達者ぶりが凄まじいな。最初の頃は優等生のイメージしかなかったのに、フランツもNNジョンソンも優等生キャラをぶっ壊す破壊力が凄かったしな。いやー、紳士なフェルセン役が懐かしいわ(笑)
逆に浦井氏は、珍しく正統派2枚目だったね。声の出し方は新国立の時と同じで野太い声だったし。キャラ設定は圧倒的に正統派だった。バートラムは完全にたらしやったからな。
「GUYS〜」では、浦井氏と万里生氏はそんなに絡みはなかったと思うが、今回はまさかのカップルだとはね!ま、それほど濃いカップルではなかったけどね(笑)万里生氏に関しては、圧倒的にイスラム教徒の役が良い。
いやー、ホンマ、めちゃくちゃ豪華キャスト陣!それだけでも眼福眼福!歌も素晴らしいから耳福耳福!
皆さん、ミュージカル俳優さんではあるけど、やっぱりストレートプレイもできる俳優さん方でもあるのでお芝居も表現力も自然で上手い!何よりスターオーラが半端ない!
だからこそ成立する作品だと思うよ、やっぱり。何度も書きますが、見ず知らずの方々だったら、同じ顔にしか見えなかったと思う。完全に脳内カオス状態になっていたと思う。少なくとも私は。それこそ、目まぐるしくただ時間が過ぎていくだけか、置いてけぼり感を食らって寝てしまうかのどちらかだと思う。ワタクシ、爆音でも寝られるので(笑)
場面転換も自分たちで行わないといけないし、観客にとってはたった100分だけど、演者にとっては息つく暇もない、それこそ脳内フル回転で大忙しの100分だと思う。
でも、すでに東京公演も終えて何十回とやってきただけあって、滴る汗も焦りも微塵もなかったように感じた。手際良くこなれた印象。実際は本当に大変だとは思うけどね。
これだけのメンバーが揃うなら、王道のミュージカル作品も観たいね!
たとえば…