最初、本来上演されるはずだった2020年版キャストに比べたら年齢が…、イメージが…、これミスキャストちゃうの??と思っていたら…
めちゃくちゃナイスキャスティングでした!
2020年版と今回を比較して、しのぶさんとユリちゃん、華ちゃんと峯村さん、生瀬さんと荒川良々さん、池谷のぶえさんの役は杉咲花ちゃんだと思ったら、2020年版は西尾まりさんだったのかな?2020年版のアーニャが花ちゃんだった。
いずれにせよ、2020版には、りえちゃんも、今回たまきさんが演じた役で出演予定だったのに、コロナで全公演中止。これ、大阪公演はなかったはず。いずれにせよ、チケットは取れなかった。
復活上演を期待していたら、まさかのユリちゃんがラネーフスカヤ夫人!
しのぶさんと比較して申し訳ないですが、ま、どっちに申し訳ないかはさておき、ラネーフスカヤ夫人を演じるには若くないか?と思ってしまいましたが、
いやいやいやいやいやいやいやいや、
身長があるユリちゃんだからこそ、ラストの衣装がめちゃくちゃ映える!まるで銀河鉄道999のメーテルみたいだった!
オーラスに関係なく、
ミスキャストでは?と思っていた方々の演技力・表現力があまりにも素晴らしくて、2020年版キャストとのキャップが逆に役者陣の素晴らしい芝居力を引き出していたのではないかと思えたほど!
ぶっちゃけ、池谷のぶえさんが登場した時からもう掴みオッケー!藁
ぶっちゃけ、この役は、2020年版では花ちゃんが演じると思って観ていたから、あまりにも年齢差のキャップがあったのに(もちろん私の空想上)、それ以上に、池谷さんの若作り演技がめちゃくちゃ素晴らしくて大好き!!(笑)
「グッドバイ」の少女役を軽く越えてきたよ!
めちゃくちゃ良いアクセントになっていたと思う。
ぶっちゃけ、峯村さんが演じたワーリャ役がりえちゃん、大原櫻子ちゃんが演じたアーニャ役が華ちゃんだと勝手に想像して観ていたから、
櫻子ちゃんは等身大だったので全く違和感はありませんでしたが、私の中では違和感ありありだった池谷さんと峯村さんがめちゃくちゃ良かった!女優魂を感じた!
峯村さんがユリちゃんの娘だよ!ちなみに養女ね。
峯村さんもユリちゃんの娘に、池谷さんが少女に見えたよ!
池谷さんの、鈴木浩介さん演じるヤーシャに対して乙女度100%で演じていてめちゃくちゃ最高だった!
峯村さん演じるワーリャは、荒川さん演じるロパーヒンとお互い恋心があるのに、素直にも正直にもなれず、歯痒い関係性。桜の園に関してラネフースカヤとロパーヒンの関係性が良くないから、ラネーフスカヤに対して申し訳なさもあり、余計ロパーヒンに素直になれない。峯村さんは、そんなワーリャを純度100%で演じられていました。
いつも天然な役が多い荒川良々さんが、めちゃくちゃ普通に演じていて、こちらもギャップ萌え!
むしろ、井上君が演じたトロフィーモフの方がイメージに近い。
荒川さんが演じたロパーヒン役の方が宝塚2番手的な役柄で出番も多いから、ミュージカル界のトップスターである井上君の方が役付きとしては相応しいと思った。でも、荒川さんの真剣な演技も新鮮でめちゃくちゃ素晴らしかった!
それこそ、荒川さんの方がイメージに近いと思っていたトロフィーモフを演じた井上君の、とてもクリスチャンを演じた同じ人物だとは思えないくらいキャラ設定や、とてもミュージカル界のプリンスだとは思えない見た目、井上君の役者魂を感じる素晴らしい演技と覚悟を感じました。
このトロフィーモフという役は、30歳に近いのにまだ大学生。世の中が貴族社会から労働者中心の社会へと変貌すること、働かざる者食うべからざるの時代が到来することも予見している。
大学生だからまだ労働者の一員ではないが、考え方的には、農奴の息子から労働者として立派に財を成したロパーヒンと同類に思えたが、
実は、トロフィーモフの台詞にチェーホフのスピリチュアルメッセージがあってビックリした!
この物語は、貴族社会の世の中から労働者中心の社会、社会主義経済へと変貌、貴族社会の没落を予見させる物語だと思っていたら、
いやいやいやいやいやいやいやいや、
まさか、トロフィーモフが、社会主義経済でも資本主義経済でもない、更に進んだ社会、まさにスピリチュアルな社会を理想としている台詞に、
やはり、チェーホフはスピリチュアリストであると確信しました。
チェーホフ、社会主義経済が到来しても長続きしないことを分かってたんや!?と思ったら、
チェーホフ、恐ろしい子!←久々の月影先生(笑)
今、戯曲で確認したけど、ちゃんとあった!
マジで感動!!
ということで、
KERA meets CHEKHOVシリーズ、四作品コンプリートしてきました!!
今思えば、しのぶさん、斗真君、蒼井優ちゃんの「かもめ」に出会っていなければ、チェーホフがスピリチュアリストなんて絶対に気づくことはなかった。
ぶっちゃけ、あの公演って、チケットぴあで普通にチケットが取れる演目じゃなかったんよ。香取慎吾君の「オーシャンズ11」もしかり、ファンクラブじゃないと取れない演目だった。
どちらも、たまたま、戻りチケットがあったのか、電話受付での販売か抽選があって、ファンクラブに入っていない一般ピーポーでも早い者勝ちで取ることができたんよ。
今思えば、「かもめ」を観てなかったら、わざわざ東京まで「ワーニャおじさん」も観に行ってなかったよ!大阪公演がなかったから。
とても喜劇だとは思えないチェーホフ四大戯曲が、どれもスピリチュアルメッセージがあってマジで驚きが隠せない!!
ケラさん、チェーホフ作品を上演してくれてありがとうございます!
若い頃に戯曲を読んだときは、人が死ぬ物語を喜劇と言ってるチェーホフに対して人間性を疑っていたが、
こうやって、ケラさんが上演してくれたお陰でチェーホフがスピリチュアリストであることを知れて、ケラさんに感謝です!
そして、KERA meets CHEKHOVシリーズの最終章である「桜の園」を観させてもらって、
一番、ケラさんらしい演出であったことに驚いた!
場面転換に、派手ではないプロジェクトマッピングと小野寺修二さんのステージング。わざと笑わせようとしない、役者陣による役作りによって自然に生み出される笑いが最高に心地良かった!
ぶっちゃけ、「かもめ」の時はあざとい笑いが鼻についたが、その次の「三人姉妹」が、ケラ色がないめちゃくちゃ正当な演出で、めちゃくちゃ素晴らしく、「ワーニャおじさん」も更にケラ色がない正当な演出で、
今回の「桜の園」も正当な演出でくるのかと思ったら、池谷さんの登場からケラ色満載!
役者陣の演技が素晴らしくて、KERA meets CHEKHOVシリーズ最終章にして傑作が誕生した感じ。
正当な「三人姉妹」も良かったけど、「桜の園」は、キャスティングと絶妙な配役、ケラさんらしい最終章に相応しい素晴らしい演出でした。
もし、しのぶさんがラネーフスカヤ夫人を演じていたら、いつものがなり声で笑いを取っていたかも…と想像してしまった。m(__)m
やはり、ユリちゃんは元々低い声だから多少男役声が出ても違和感がない。
そう、ユリちゃんにしては珍しく、心に闇を抱えた大人しげな役だったのも新鮮だった。
ラネーフスカヤのピュアさ、我が子を失った悲しみと贖罪の気持ちが、お金を僅かばかりしか所持していなくても、誰にでも分け隔てなくお金を恵んであげようとしているんだと思った。
桜の園は、ラネーフスカヤにとっては、風と共に去るぬのスカーレットのタラと同じなんよね。
スカーレットは、タラを守るために北軍とも商売をし働きまくり稼ぎまくっていたが、ラネーフスカヤはロパーヒンの助言も聞き入れられなかったもんね。ただ時を待つのみ。
いずれにせよ、桜の木々が伐採されることは、ラネーフスカヤにとっては身を削られる思いであったことには変わらない。スカーレットと違って、息子を失くした心の闇から全く開放されていないからね。スカーレットの方がよほど前向き。
たとえ、土地を失っても、まだ生いていける場所や術があるなら決して悲劇ではないと思った。
では、上記で述べていない他のキャストに関しては、
ケラ版チェーホフ作品の常連の山崎一さん演じる、ラネーフスカヤの兄ガーエフ役の安定ぶりの存在感。ラネーフスカヤ同様、貴族社会のしがらみから逃れられない。いや、現実を受け入れられない役どころ。
貴族社会においては、召し使いがいて執事がいて、農奴がいるのが当たり前で、そんな中、老僕フィールスを演じた浅野和之さんもめちゃくちゃ素晴らしかった!
明らかに認知症があり、歩き方もしかり、もう立派な大人であるガーエフに対して子供扱いしている様が、池谷さん同様、なんとも言えないチャーミングさと癒しがあって、ラストは本当に切ない。
フィールスは、ひとつの時代が終焉を迎える、正に象徴的人物なだけに、浅野さんのアプローチは本当に素晴らしかった!
最初は、池谷さん演じるドゥニャーシャといい感じだったのに、ラネーフスカヤと共にフランスから戻ってきた従僕のヤーシャにドゥニャーシャが一目惚れしてからは、ずっと振られっぱなし…、ひょっとしたらピストル自殺するのでは?と見ていて危なげな雰囲気しかないエピホードフを演じた山中崇さんも良い味を出してました。
エピホードフにとっては恋敵であるヤーシャを演じた鈴木浩介さんも、癖のある髪型で登場し、山中さんも鈴木さんもドラマではよく拝見している俳優さんなので生で拝見できて嬉しかったです。鈴木さんは初めてだよね??←誰に聞いとるねん!?藁
登場する度にラネーフスカヤにお金を無心するピーシチク役の藤田秀世さんも良い味出してた。正直、登場する度にウザくて仕方ない役ではあるけど、人生は明日何が起こるか分からない、良いこともあれば悪いこともある。を象徴したかのような人物でしたね。貧乏神みたいな存在だったのが、実は福の神みたいな。福の神は良く言い過ぎか…藁
そして、最後はりえちゃんが演じる予定だった、アーニャの家庭教師シャルロッタ役のたまきさん。ぶっちゃけ、りえちゃんが演じる役だった割には重要な人物には思えなかったけども…m(__)m
手品を披露したりと要所要所で登場する。
そうそう、ドイツ語でカウントする台詞があって、何でドイツ語なん?と思ったら、戯曲もドイツ語だった。「人はいいが、音感は下手」のドイツ語の台詞もあった!
てっきり、ワタクシのためにサービスでドイツ語を使ってくださってるのかと思ってました!←めちゃくちゃ自意識過剰!
(笑)
たまきさんの独特な透明感がある声が好きなので、もっと登場して欲しかった。
たまきさんのピュアな役も好きだけど、「祈りと怪物」の次女役みたいな刺のある役も好き。シャルロッタは、どちらかというと刺がある方なので、もっと出てきて欲しかった!
そうそう、感想は書いてませんが、たまきが出てた「三人吉三」も良かったです!!
ということで、いつもの如く支離滅裂な文章になっておりますが、
KERA meets CHEKHOVシリーズ最終章としては、大変後味が良い仕上がりでございました!
ほんま、キャスト陣皆さんキャラ立ちしまくり!その演技力に惚れ惚れしました!
本当に最高でした!!