先ずは、
アーサ、雪組次期トップおめでとうございます!
順当でトップになってくれて安心した。
アーサで、ポーの一族をお願いします!!今の雪組なら絶対可能!
では、本題。
とても斬新で素晴らしいアプローチだった!
アウシュヴィッツ強制収容所の塀の外の物語。
塀の中の出来事は一切描かれていないのに、たったこの1文だけで、悲惨な状況が想像できるという見事な演出でした。
塀の外の幸せと裏腹に、塀の中から聞こえてくる不況和音。列車の音、銃声、叫び声、鳴き声、怒鳴り声…。
煙突から吹き上がる煙や炎。
観客には一切伝わってこない臭い。
ホロコーストの悲惨な現場は一切描かれていないのに、胸がざわつく。
それにしても、「関心領域」のタイトルは素晴らしい。
誰が?どれだけ?ホロコーストに関心を持っているのか?いや、無関心なのか?
この作品において、ホロコーストに無関心なのは間違いなく主人公の奥さん。
実のお母さんですら、逃げ出す有り様なのに…。
奥さんが関心を持っているのは、家と、プールや温室がある広い庭。塀の反対側には都会にはない豊かな自然。ここには奥さんの理想がある。
だから、夫が転身になっても一緒に付いていこうとしない。むしろ、今の生活を維持するために夫に単身赴任することを勧める有り様。
ユダヤ人から搾取した毛皮や化粧品に興じる姿は、もはやナチスの加担者に他ならない。
塀の外の平和な日常を延々と見せられ、どういったラストになるのか、そもそもオチがあるのか、と想像していたら、
この奥さん、夫が戻ってくると連絡を聞いても、全く喜ぶ様子なし。夫に対しても無関心、関心領域狭狭だった。
そこがピカ一だった!
小さな伏線が生きる演出になっていて、主人公は愛妻家と思わせておいて実はそうでなかったり、
妻もまた召使い?と良い仲になっているのでは?と想像させるような演出になっていたり、
塀の内と外の温度差の見せ方が本当に斬新だった。
ユダヤ人は皆強制収容所送りになって虐殺されているだけではなく、労働力として使われている。
そして、主人公の家庭においても召使いとして雇われている。
最初は全く説明がないのでモヤモヤさせられたが、徐々に登場人物の関係性が分かる見せ方も上手かった。全て台詞だけどね。
一つだけどうしても分からない演出があって、夜中少女が、まるで蛍光塗料でも塗られていたのか白光りするシーンがあって、ずっと何をしてるのか分からなかった。
ついついパンフレットを購入して読んだら、ちゃんと説明されていて、めちゃくちゃスッキリした。と同時に、気付けなかったことにショックだった…。凄く重要なシーン。
あと、主人公が子供たちにヘンゼルとグレーテルを読み聞かせるシーンにおいても、物語がまるどホロコーストを正当化してるようにも見受けられたが、逆もしかりで、戦後処理の正当化にも思えた。これは上手く掛けてると思った。
映画の序盤はまだ焼却炉がなった(と思われる)が、後半に焼却炉建設の説明をするシーンがあって、台詞だけだけど、状況を想像させる演出になっていて、「オッペンハイマー」もそうだったけど、映像になっていないシーンを連想させる演出はお見事としか言いようがない。
グロいシーンもエロいシーンも一切ないのに想像を掻き立てる見せ方はマジ秀逸!
ラスト、主人公側の視点で、ついさっきまでパーティーで賑やかだった建物が何も無い虚無感漂う空間に様変わりしたり、その途中、戦後を表現してか今は博物館となっているかつての強制収容所を挿入シーンとして加えていたり、
まるで観客に、今起こっている戦争に関心ありますか?と問われているようにも思えた。
今だに終わることがないロシアとウクライナの戦争。そして、イスラエル戦争。戦争が終わる気配なんて一切なし!
最初イスラエルがテロ攻撃で被害者側で、イスラエルは悪くないとイスラエルの人たちは言っていたのに、今では加害者側になっている。第二次世界大戦では、ユダヤ人はホロコーストの犠牲者だったのに、今はガザ地区のパレスチナ人に対して虐殺を行っている。
ネタニアフ首相もハマスも、指導者が陣頭に立たない戦争なんて本当に馬鹿馬鹿しくて仕方ない!なんでお前らのために無関係な人間が死ななあかんねん!?
ぶっちゃけ、世界情勢に無関心の平和ボケも悪いことだと私は思っていない。
だが、巻き込まれてしまうなら話は別。巻き込まれてしまったら元も子もない。
そもそも、武器を製造するから使いたいなるねん!
親が子供にゲームをするなと叱っても、目の前にゲームがあったら、友達がゲームを持っていたら、子供はやりたくなるねん!と同じ。
目の前に人参をぶら下げたら、馬だって走りたくなるねん!ホンマかどうかは知らんけど…。
名だたる鉄鋼メーカーや企業よ、武器を製造するなよ!国も製造させるなよ!と言いたい。
かつて、政治家が、日本が外国に攻められたらどうする?とテレビの討論会で自衛隊を軍隊にするべきだと言っていたが、
だったら、お前が陣頭に立って戦ってくれ!と言いたくなった。
それよりも先ずは平和外交に努めろよ!外国の言いなりになるなよ!
かつて先進国が行った植民地政策に日本も便乗して真似し、結果、戦争が始まった。挙句の果ては原爆投下されて敗戦したやん。
また同じことの繰り返すんか!?
日本は、原発攻撃されたら終わりやねん。
やられる前にやり返すってか??
やられた者はいつか報復してくる。その繰り返し。イタチごっこや!
政治家より国民の方が平和外交しとるっちゅうねん!
って思うと、兵隊よ、武器を持つなよ、放棄してくれ!
と切に願いたくなる。
だが、目の前にあったら使いたいなる…。
これだと、悪循環は永久に終わらない。
色々想像と思考が働く素晴らしい作品でした。
そうそう、日本語字幕が松浦美奈さんたった!
言語はドイツ語だったので、英語翻訳からの日本語字幕だと推察しますが、まさか美奈さんだとは思わなかった!
途中、文字も台詞もないピアノを弾いているシーンで、字幕があった。まるでユダヤ人の教えのような。音楽には言葉はないが、メロディーには歌い継がれた歌詞がある、埋められたリンゴと同じように、ユダヤ人への哀歌かメッセージだと推察。
叢を間違いなくユダヤ人が連行されるシーンは、脱走して捕まったと推察。
説明がないから推察でしかないが、あの夜中の少女の行動の意味が分かると一つ一つの点が線になる。めちゃくちゃ良く出来てる!