あの二人、
「明治は、どうなんだい」
「まあー、成功したかな」
「『まあー』が気になるね」
「アジアで最初の工業国になった、横浜の関内に日本で初めての鉄橋がある、鉄の大量生産こどが、近代社会の必要条件だろう、それを、やりとげた」
ずばりと、
「明治の社会の本質は、祭政かな」
「立憲君主制ということになっている、このケースの君主は、天皇陛下かな」
「たしか、政治は統治権で軍隊は統帥権、このふたつを統べるのが天皇陛下、抜群の能力が要請される」
「それだ、権力構造が、二つに分かれていた、政府は統治権だが、軍隊は統帥権による、したがって政府は、本質的には、軍隊を統御できない」
「警察と軍隊が仲が悪かった、大阪の交差点で一歩も引かない事件があった」
「二匹のヘビがからまっている、ただ、明治天皇という大力量人によってのみコントロールできたということかな」
「そうだったね、203高地の責任を取ろうとした乃木に、
『死んではならぬ』 」
「馬上の乃木が、皇居を振り返る写真がある、大恩を受けた今上陛下を思っていたんだろう」
「殉死を決意していたんだ」
「凛(りん)とした明治の空気が伝わってくる」
「その英邁な資質を受け継いだのが秩父の宮、ここにこそ昭和の悲劇いや無念がある・・・ 」
「今日は、それは、やめよう」
「政治の支配下にない軍隊は、やがて、暴走する、それと、軍人の無教養と横暴がひどかった」