「ヨーロッパ文明を創った五人の偉人は、みなユダヤ人だ、モーセ‣キリスト‣マルクス‣フロイド‣アインシュタイン、モーセとキリストは疑いようがないが、マルクスはどうだろう、ポンペイの近くに、やはり火山灰に埋もれた町があるのだが、マルクスという名前が多い」
「なるほど」
「地中海文明では奴隷を虐待しなかった、親密で暖かな人間関係が構築されていた、ゲルマン民族と、その分派のアングロ‣サクソンの方が、冷酷で残忍だ」
「地中海の諸都市では、奴隷は資格を拾得すると自由人なになれた、そして、なんと主人の名前を名乗ったという、だから、その町には、数十名のマルクスがいた」
「いいねえ」
「実に洒落ている」」
「おおらかだねえ」
「すくわれる、明るい人間肯定のよろこびが伝わってくるじゃあないか」
「ふふふ、ポンペイの赤の秘密が解ける、ね」
「とにかく、何十人ものマルクスがいた、そうそう、皇帝のひとりに、マルクス‣アウレリウスがいたなあー」
「マルクスの出自は、ともかくとして、問題はフロイドとアインシュタインだな、彼らは、アシュケナージ‣ユダヤだろう」
「そこに来たか」
「東ヨーロッパに小さな国があり、カトリックとギリシャ正教にはさまれ、なんと、ユダヤ教を国教とする、それが、アシュケナージだ、彼らの白人的容貌は、これによる」
「本来のユダヤ人は」
「スファラデだな、あのキリストはスファラデだろう、これはセム語族に属している、ちなみにエジプトはハム語族、白人的なペルシャとは違う、血をたらした青白い顔のイエスは、ゲルマン的なイメージだ」
「たしか、君は、世界最古のキリストの肖像画を見ていたね」