林芙美子・宮本百合子/平林たい子
講談社、文芸文庫
林芙美子と宮本百合子の生涯を、できるだけ客観的に事実に基づいて記述していますが、両名ともその生涯は自分が書いた小説よりも波乱万丈で面白いため、この本も小説のように面白いです。解説等によると、平林たい子自身、林芙美子タイプの人生を送った人で、やはり波乱万丈で面白いらしい。
林芙美子については「芙美子さん」と「さん」付けで記述してあり、できるだけベタベタしないようにしているけれど、同類の芙美子さんに対する優しさが感じ取れる文章です。昔、一緒の住んでいた事のある仲良しでしたから。普通の伝記とは違って、林芙美子の生活の実体感がすごくあります。
宮本(中条)百合子は林芙美子の正反対で、良家の子女で箱入り娘。母はいわゆるステージママで教育熱心。百合子はその期待に答えて才能を伸ばし、大作家の道を歩み始めます。しかしながら箱の中に密閉されることに対する強い反発力で、やがて百合子は箱から飛び出してしまいます。そして母とは正反対の方にふっ飛んで行ってしまいます。その母の落胆を思うと、世の中は非情だと思いました。
平林たい子の説で、私小説を書いている作家が客観的な小説を書くのは難しいというのがあります。宮本百合子の私小説は良いが客観小説は失敗が多い、という事に関連して述べられたもの。私小説と客観小説とは、まるで違うものであるという事を感じた。
06.04.06
講談社、文芸文庫
林芙美子と宮本百合子の生涯を、できるだけ客観的に事実に基づいて記述していますが、両名ともその生涯は自分が書いた小説よりも波乱万丈で面白いため、この本も小説のように面白いです。解説等によると、平林たい子自身、林芙美子タイプの人生を送った人で、やはり波乱万丈で面白いらしい。
林芙美子については「芙美子さん」と「さん」付けで記述してあり、できるだけベタベタしないようにしているけれど、同類の芙美子さんに対する優しさが感じ取れる文章です。昔、一緒の住んでいた事のある仲良しでしたから。普通の伝記とは違って、林芙美子の生活の実体感がすごくあります。
宮本(中条)百合子は林芙美子の正反対で、良家の子女で箱入り娘。母はいわゆるステージママで教育熱心。百合子はその期待に答えて才能を伸ばし、大作家の道を歩み始めます。しかしながら箱の中に密閉されることに対する強い反発力で、やがて百合子は箱から飛び出してしまいます。そして母とは正反対の方にふっ飛んで行ってしまいます。その母の落胆を思うと、世の中は非情だと思いました。
平林たい子の説で、私小説を書いている作家が客観的な小説を書くのは難しいというのがあります。宮本百合子の私小説は良いが客観小説は失敗が多い、という事に関連して述べられたもの。私小説と客観小説とは、まるで違うものであるという事を感じた。
06.04.06