稲妻

稲妻　　☆☆☆☆
1952.10.09　大映、白黒、普通サイズ
監督：成瀬巳喜男、脚本：田中澄江、原作：林芙美子
出演：高峰秀子、三浦光子、村田知英子、浦辺粂子、中北千枝子
　　　小沢栄、香川京子、根上淳、小沢栄

キヨ子は何もかにも気に入りません。

母さんはそれぞれ父が違う４人の子供を生みました。
キヨ子は、そのだらしのない母が気に入りません。
上の姉は旦那をほったらかしで、パン屋のおやじとつるんでいます。
その夫は投機・投資に失敗しまくりで、借金ばかり。
酒におぼれてグダグダです。
下の姉は夫の浮気に気付かぬまま、死なれ、
泣いてばかり。あげくにパン屋のおやじの世話になっています。
その死んだ夫の浮気相手は、
夫の子を背負って、生活資金が欲しいと言ってくる。図々しい。
弟は仕事が見つからなくてブラブラ。
パン屋のおやじはキヨ子をしつこく狙っている。
けがらわしい。さわるな。

大嫌い、大嫌い、大嫌い。

くりくりの目、きらきらした瞳、
けがれなく、よごれなく、
根上淳と香川京子の兄妹は美しい。
世の中にこんなにも清らかな兄妹があるのかしら。

夕立のにわか雨。
すべて、けがれが、よごれが流されます。
かすかな稲妻の光によって、すべての害悪が焼き尽くされます。
きれい。さっぱり。

母と２人で歩く夜道、
落ちているビール瓶のふたを硬貨と間違える母、
キヨ子はやっぱり母が好きなんです。

映画の最初の他、あちこちの箇所で使われるピアノ曲が印象に残りました。リストのカンパネラという曲ではないかと思われるのですが、良く分かりません。
06.03.18 パルテノン多摩、05.10.15 ＮＦＣ