風の中の牝鶏 ☆☆
1948.09.17 松竹、白黒、普通サイズ
監督・脚本:小津安二郎、脚本:斎藤良輔
出演:佐野周二、田中絹代、村田知英子、笠智衆
戦争の鉄槌は、
様々な暮らしの中に、
多くの刺を残し、
殺伐たる戦後すぐの東京の風景の中に、
人々が懸命に生きる姿がある。
こんな風景を今撮ろうと思っても。
何処にあるものでも無く、
人々の気分や風情を含めて、
そういうものは今は跡形もない。
あのときに撮影しなければ、
残らなかった風景だ。
建設中なのか、戦争の残骸なのか、
円筒形の骨組みの大きな構造物が、
庶民の家屋の屋根の上に、
空を不気味に覆っている。
冷酷な戦争の悪魔の残骸なのか、
人々を救おうとしている精霊の宿るものなのか。
風は冷たく、社会は寒い。
痛烈で、のこぎりのような人々。
それでも優しい人々が居て、
人情に篤い。
目玉が大きくて、
ギョロリとした表情の村田知英子が印象的。
素朴で純真な田中絹代が総て。
一所懸命な田中絹代。
両手を組み合わせて、
必死に祈る田中絹代。
烈風や強風の中、
子供達を守りながら必死に生き抜いている牝鶏、
足を挫いても、
夫が居なくなっても、
素朴に無心に頑張っている牝鶏。
主人公が牝鶏に見えてしまうのは、
田中絹代の芝居の故であろうか。
主人公が急階段を落ちるシーンがある。当時としては破格にインパクトのある映像だったんではなかろうか。小津さんの映画ではめずらしい。ウェッブによるとスタントをつかったらしく、本人では無いらしい。
素朴で愛らしい映画。表面上はほとんどそれらしく無いが、反戦映画であるようだ。
10.12.11 神保町シアター
1948.09.17 松竹、白黒、普通サイズ
監督・脚本:小津安二郎、脚本:斎藤良輔
出演:佐野周二、田中絹代、村田知英子、笠智衆
戦争の鉄槌は、
様々な暮らしの中に、
多くの刺を残し、
殺伐たる戦後すぐの東京の風景の中に、
人々が懸命に生きる姿がある。
こんな風景を今撮ろうと思っても。
何処にあるものでも無く、
人々の気分や風情を含めて、
そういうものは今は跡形もない。
あのときに撮影しなければ、
残らなかった風景だ。
建設中なのか、戦争の残骸なのか、
円筒形の骨組みの大きな構造物が、
庶民の家屋の屋根の上に、
空を不気味に覆っている。
冷酷な戦争の悪魔の残骸なのか、
人々を救おうとしている精霊の宿るものなのか。
風は冷たく、社会は寒い。
痛烈で、のこぎりのような人々。
それでも優しい人々が居て、
人情に篤い。
目玉が大きくて、
ギョロリとした表情の村田知英子が印象的。
素朴で純真な田中絹代が総て。
一所懸命な田中絹代。
両手を組み合わせて、
必死に祈る田中絹代。
烈風や強風の中、
子供達を守りながら必死に生き抜いている牝鶏、
足を挫いても、
夫が居なくなっても、
素朴に無心に頑張っている牝鶏。
主人公が牝鶏に見えてしまうのは、
田中絹代の芝居の故であろうか。
主人公が急階段を落ちるシーンがある。当時としては破格にインパクトのある映像だったんではなかろうか。小津さんの映画ではめずらしい。ウェッブによるとスタントをつかったらしく、本人では無いらしい。
素朴で愛らしい映画。表面上はほとんどそれらしく無いが、反戦映画であるようだ。
10.12.11 神保町シアター