東京物語
2011-01-07 | 邦画
東京物語 ☆☆☆
1953.11.03 松竹、白黒、普通サイズ
監督・脚本:小津安二郎、脚本:野田高梧
出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聡
香川京子、三宅邦子
貞節を求める戦前の倫理観と、
自由を求める戦後の倫理観と、
その間に挟まれて、
身動きもならない紀子にとって、
義理の母の「再婚して欲しい」と言う言葉が救いだった。
戦後の倫理観の中へ一歩押してくれる一言だったから。
戦前の倫理観を代表する尾道から、
戦後の倫理観を代表する東京へ、
帰るには踏ん切りが必要で、
だから、じっと義理の母の形見を握り締めている。
形見は時計。
自分を「ずるい」と言う紀子にも苦しみがある。
そんな風には見えないけれど。
義理の両親につくしていることで救いがあるけれど、
でも、それは嘘をついていることになるのではないかと、
そこに後ろめたさがある。
貞節を守り、義理の両親につくすことで、
再婚したいという気持ちを覆い隠すことに
うしろめたさがある。
ゆったりした尾道の風、日差し、
夕焼け、
気さくな隣のおばさん。
末娘の京子ちゃん。
すべてがゆっくりして、
のどかだ。
騒音と、機械音にあふれ、
煙がもくもくあがる東京の煙突、
時間に追われている人々。
殺伐とした空気。
いそがしい。
いそがしい。
尾道から東京に向かう夜汽車は
ゴーと号泣しているかのごとく、
音を立てて走り去って行く。
体力も気力も落ちて来た親、
生活に追われて親の面倒どころでは無い子供達、
わがままで能天気な孫達。
優しい義理の娘。
さまざまな立場、
さまざまな時代、
いろいろな思い、
家族の写真集。
それぞれのキャラクターを演ずる俳優たちがすばらしい。脚本は俳優を当てて書いているのだろうか?原節子の「年はとらないことに決めてます」という趣旨のセリフが面白かった。
10.12.25 神保町シアター
1953.11.03 松竹、白黒、普通サイズ
監督・脚本:小津安二郎、脚本:野田高梧
出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聡
香川京子、三宅邦子
貞節を求める戦前の倫理観と、
自由を求める戦後の倫理観と、
その間に挟まれて、
身動きもならない紀子にとって、
義理の母の「再婚して欲しい」と言う言葉が救いだった。
戦後の倫理観の中へ一歩押してくれる一言だったから。
戦前の倫理観を代表する尾道から、
戦後の倫理観を代表する東京へ、
帰るには踏ん切りが必要で、
だから、じっと義理の母の形見を握り締めている。
形見は時計。
自分を「ずるい」と言う紀子にも苦しみがある。
そんな風には見えないけれど。
義理の両親につくしていることで救いがあるけれど、
でも、それは嘘をついていることになるのではないかと、
そこに後ろめたさがある。
貞節を守り、義理の両親につくすことで、
再婚したいという気持ちを覆い隠すことに
うしろめたさがある。
ゆったりした尾道の風、日差し、
夕焼け、
気さくな隣のおばさん。
末娘の京子ちゃん。
すべてがゆっくりして、
のどかだ。
騒音と、機械音にあふれ、
煙がもくもくあがる東京の煙突、
時間に追われている人々。
殺伐とした空気。
いそがしい。
いそがしい。
尾道から東京に向かう夜汽車は
ゴーと号泣しているかのごとく、
音を立てて走り去って行く。
体力も気力も落ちて来た親、
生活に追われて親の面倒どころでは無い子供達、
わがままで能天気な孫達。
優しい義理の娘。
さまざまな立場、
さまざまな時代、
いろいろな思い、
家族の写真集。
それぞれのキャラクターを演ずる俳優たちがすばらしい。脚本は俳優を当てて書いているのだろうか?原節子の「年はとらないことに決めてます」という趣旨のセリフが面白かった。
10.12.25 神保町シアター