二銭銅貨

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氷壁

2006-04-19 | 邦画
氷壁  ☆☆
1958.03.18 大映(東京撮影所)、カラー、横長サイズ
監督:増村保造、脚本:新藤兼人、原作:井上靖
出演:菅原謙二、山本富士子、野添ひとみ、川崎敬三、山茶花究
   上原謙

白い山岳、猛吹雪の厳寒。
苦しくなる呼吸、凍りつく空気。冬の山、冬の登山。
美しき頂上、突き刺さる岩壁、拒絶する氷結、白い誘惑。
危険すぎる冬の登山。
滑落、転落、雪崩、凍死。
遭難多し。

それでも何でも、挑みます。
山が好きだから?山を愛してるから?
山に吸い寄せられるから?
それとも下界の人達が嫌いだから?

前に進めば野添ひとみ、後ろに戻れば山本富士子。
どちらにも進めない。どちらにも動けない。迷う。
でも、結局、彼を一番愛していたのは、
目の前の雪山なのでした。
06.04.17 NFC
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娘・妻・母

2006-04-18 | 成瀬映画
娘・妻・母  ☆☆
1960.05.21 東宝、カラー、横長サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:井手俊郎、松山善三
出演:三益愛子、森雅之、高峰秀子、原節子、仲代達矢
   草笛光子、小泉博、宝田明、淡路恵子、団令子
   杉村春子、上原謙、加東大介、中北千枝子、笠智衆

三益愛子が母親で、
森雅之、原節子、草笛光子、宝田明、団令子がその娘と息子。
高峰秀子は森雅之の嫁さんで、加東大介がその親戚。
小泉博は草笛光子の旦那で、杉村春子がその母さん。
淡路恵子は宝田明の嫁さん、
中北千枝子は保険屋のおばさんで、原節子の友達。
上原謙は原節子の見合い相手のおじさんで、
仲代達矢が原節子に一目ぼれ。切羽詰った眼で見つめて迫ります。
笠智衆は最後にちょっと出てくる近所の爺さん。

とかく、世の中は、カネ、カネ、カネ。
家族の中も、カネ、カネ、カネ。
人がいい原節子、「いや」とは言えない性格。
家族それぞれが、それぞれの思い。
みんなカネが必要で、みんなカネが欲しい。
カネ、カネ、カネって、原節子はやるせない気持ちです。
05.10.21 NFC
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早春

2006-04-17 | 洋画
早春  ☆☆
Das Madchen Irene
1936 ドイツ、白黒、無声、普通サイズ
監督・脚本:ラインホルト・シュンツェル、脚本:エファ・ライトマン
原作:エファ・ライトマン
出演:リル・ダゴファー、ザビーネ・ペータース
   ゲラルディーネ・カッツ、ヘドウィッヒ・ブライプトロイ

夫を亡くした母と、高校生くらいの2人の姉妹、
上の娘はまじめ。
下の娘は元気でおしゃま。
いつも仲が悪くて、けんかしています。
下の娘がちょっかいを出して、上の娘が怒る。

上の娘は母の恋人を許せない。
下の娘は母の恋人に興味津々。
思春期の気持ち、
女子高生の気持ちって難しいんです。
06.01.29 NFC(メガネ忘れて、映像がボケボケだった)
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晩菊

2006-04-13 | 成瀬映画
晩菊  ☆☆☆☆
1954.06.15 東宝、白黒、普通サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:田中澄江、井手俊郎、原作:林芙美子
出演:杉村春子、細川ちか子、望月優子、上原謙、小泉博、有馬稲子
   加東大介、鏑木ハルナ

小刻みな歩調で歩く杉村春子、拍子木のような音、
はぎれ良いリズム、
何かを探しているような、何かを追いかけているような、
杉村春子は一人身。
一緒に住む口のきけない、耳の聞こえない若い女中。
その健気で静粛な姿が背景です。
金勘定をする杉村春子。不動産屋らしき加東大介がお友達。

水仙のように細くしなやかな細川ちか子。
一人息子にママさんと呼ばせてる。
その息子に北海道に行くと言われて、寂しい気持ち。

タンポポのように太く明るく元気な望月優子。
一人娘に結婚すると言われて、こちらは、やけ酒。

何かを失う気持ち。
何か大事なものを無くしてしまう寂しい気持ち。

細くてしなやかな線、
太くて明るい線、
はぎれ良い短い刻みのリズム。
その3つがよじり合わさり、
粘りのある、強い、しぶとい気持ちが現れます。

出口の改札で切符を探す杉村春子。
あれ、どこへやったのかしら。
無くしちゃったのかしら。
やーねぇ。
大事なものを無くしてしまったのかしら。

ああ、あらあら、あったあった。
良かった良かった。
杉村春子と加東大介は不動産を見に連れ添って歩いて行きます。

いえ、誰も何も失っていませんよ。

この映画は林芙美子の短編「晩菊」「黒水仙」「白鷺」をベースに、そのエピソードを混ぜ合わせて新しい1つの物語としたものです。原作に無いエピソードもかなりあって、雰囲気や主題も原作とは異なっています。
06.03.18 パルテノン多摩、05.10.28 NFC
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乱れる

2006-04-12 | 成瀬映画
乱れる  ☆☆☆☆
1964.01.15 東宝、白黒、横長サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:松山善三
出演:高峰秀子、加山雄三、三益愛子、草笛光子、白川由美

「ねえさん、ぼかー幸せだなー」
なんていうセリフはありませんが、
いつもは若大将の加山雄三が、高峰秀子の弟役です。

高峰秀子は義理の姉役で、
「男はつらいよ」の倍賞千恵子みたいに、健気なねーさんです。

スーパーの進出に押される小店主たちの苦悩を描く社会派ドラマ、
商店を経営する家族の葛藤を描くホームドラマ。
淡々と、その2つが混ざった前半の展開から、
後半は、一気に、
鉄道列車と銀山温泉を舞台にしたメロドラマに展開していきます。

最後に、呆然と前を見つめる高峰秀子の表情は、
姉のそれではなく、
倍賞千恵子のそれではなく、
一人の女性の表情になっていました。
06.03.17 パルテノン多摩、05.10.29 NFC
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