平成28年12月22日 10:30
新潟・糸魚川市の大規模火災、140棟焼き鎮圧
TBS系(JNN) 12/22(木) 21:30配信
新潟県糸魚川市で起きた大規模な火災は、少なくとも140棟を焼き、消防によりますと、午後9時前に鎮圧したということです。
JR糸魚川駅のすぐ近くでは、雨が降りそして非常に風が強いですが、繁華街は白煙に覆われています。本来であれば、この煙の向こうに家々や商店が見えていますが、非常に見えにくくなっています。出火から11時間が経過しようとしていますが、今も懸命の消火活動が続いています。
火事があったのは、JR糸魚川駅にほど近い商店街です。22日午前10時半ごろ、中華料理店から出火し、強い風にあおられ住宅や商店に次々と延焼し、午後8時現在、少なくとも140棟が焼け、現在も燃え広がっています。
糸魚川市は、363世帯744人に対して避難勧告を出しました。新潟県からの要請を受け、自衛隊155人も加わり、今も消火活動が続いています。すぐ近くの北陸新幹線の糸魚川駅にもこの煙が届いています
新潟・糸魚川市の火災発生から、ちょうど半日、12時間がたったが、いまだに煙は色濃く立ち上っていた。
暗闇の中で続いていた消火活動。
新潟・糸魚川市で起きた大規模な火災は、22日午後9時前に、ようやく鎮圧状態になった。
発生からは、10時間半が経過していた。
およそ150棟が燃え、地震や津波によるものを除くと、過去20年で最悪の規模となった今回の火災。
火の手が上がったのは、午前10時半ごろ。
出火元は、商店街のラーメン店の厨房(ちゅうぼう)だった。
出火した直後の様子をとらえた写真には、2階の窓から噴き出す黒煙が映っていた。
一方で、すでに消火活動も行われていた。
写真を撮影した岩崎雅則さんは、「すぐ消えるだろうと思っていた」と話した。
しかし、火の勢いは瞬く間に拡大。
電線まで燃えているのがわかった。
FNNの複数のカメラは、炎が広範囲に広がっていく様子をとらえていた。
出火元の店から、80メートルほど北側の場所では、消防隊員がホースを移動したその時、ぱちぱちと音を立てながら、火は、その勢いを増していった。
そして、火災は、さらに北側へと拡大。
街を東西方向に横切る、2車線の大通りでも、火を食い止めることができなかった。
分単位で激しさを増す炎。
住民は、事態を見守ることしかできなかった。
飲食店が全焼した人は、「道で(炎が)止まってたから、うちの店には来ないなと思ってたんですけど、火が大きかったもんだから、ぐるっと回って」と話した。
さらに、北上を続けた炎は、日本海に面した一番北の地域まで到達。
大量の煙が、日本海へと流れ込んでいった。
救急車は、その煙の中へと突っ込んでいった。
一方、出火元の店より南側、火の手が回っていない地域では、周辺には、風向きが変わることをおそれ、避難する人たちの姿があった。
火元の南側に会社がある人は、「会社なので、会社関係の大事な物を(運んでいる)。まだ遠いんですけど、ここから北風になると、かなりおっかないので」、「何を出していいかわからない」、「とりあえずデータだけあれば...」、「風が、こっち来なきゃいいんだけどさ」などと話した。
カメラは、消火活動が難航する様子をとらえていた。
当初、消火活動にあたることができた消防車は、6台だけだったとの情報もある。
瓦屋根の上には、家庭用のホースで水をまく人の姿もあった。
午後3時ごろになると、近隣の自治体から次々と応援が入り、消火活動は加速。
一方で、水不足という問題が発生した。
消火栓からの水は、ストップ。
貯水槽にためられていた水を使い切ってしまった。
この事態を打開するため、午後5時ごろから、生コンクリートを運ぶために使われるタンクローリー車が次々と到着した。
関係者は、「今、生コン工場から、市の消防から要請があって、全社挙げて水を運んでいる」と話した。
マンホールのふたが開けられ、直接流し込まれる水。
水不足が解決に向かうと、ほぼ時を同じくして、新潟県の応援要請を受けた、自衛隊員150人も現場入り。
夜を徹しての作業を見越してか、現場に照明車も到着していた。
夕闇の中、激しく燃え上がる炎。
夜になっても、火の勢いは、衰えを見せなかった。
強風にあおられ、舞い散る火の粉、そして、もうもうと流れる煙。
炎は、どのように街をのみ込んだのか、取材班は、風下へとカメラを進めた。
道路を挟んで、明暗を分けた現場。
日本海を臨む海岸近くまで来てみると、黒く焼け焦げた木の柱、全焼したのは200年近い歴史を持つ、糸魚川有数の純日本料理店「鶴来家」。
糸魚川で起きた過去2回の大火にも、延焼を免れた建物が、無残にも炎にのまれた。
少し離れた公園から、ぼう然と見つめる鶴来家の店主・青木孝夫さん。
青木さんは、「全焼。全然出せなかった。お客さんから随分予約もらってますから、迷惑かかるなという気持ちでいっぱいです」と話した。
新潟県の最西端に位置する糸魚川市は、人口およそ4万5,000人。
ひすいの産地として古くから栄え、由緒ある木造建築も数多く残っていた。
午後1時半すぎ、火災現場をとらえた映像には、黒い煙が、海側に向かって流れていくのがわかる。
周りの建物と比較してみると、煙の高さは50メートルを超えるとみられ、上空から撮影した映像を見てみると、煙は海上まで届き、その長さは1km以上にも及んでいる。
糸魚川では、強い南風が吹いていて、火災が発生した午前10時半ごろには、風速10メートル以上を示し、正午すぎには、最大瞬間風速24.2メートルを記録。
糸魚川では、湿った空気が山を越える時に雨を降らせ、その後、山を吹き降りて乾燥し、気温が高くなる「フェーン現象」が起きていたと考えられる。
しかし、フェーン現象だけでは、ここまでの大規模火災には結びつかない。
なぜこれだけ広範囲に被害が広がったのか。
上空からの映像に、そのヒントはあった。
画面左下の炎、そして中央に見える炎。
火は、住宅の間を飛び越え、あちらこちらに飛び火しているのが見て取れた。
専門家に火災の映像を解析してもらうと、あるキーワードが浮かび上がってきた。
ベルアソシエィツの鈴木弘昭代表は、「これは明らかに飛んでますね」と話した。
鈴木代表が指さしたのは、屋根の一部が飛んでいる映像だった。
大きさは、およそ30cmぐらいに見えた。
鈴木代表は、「盛んに燃えているところから、火の塊がどんどん飛んでいって、落ちて、そこから燃え上がっている」と話した。
鈴木代表が挙げるキーワードは、火の粉ならぬ「火の塊」。
鈴木代表によると、この日、風が強かったため、火の粉だけではなく、「火の塊」が飛んだことが、これだけ大規模な火災になったとみている。
この「火の塊」、正体は何なのか。
鈴木代表は、「瓦の下に使われている木や板。部屋の中だと、障子やふすまの枠が小さくなって、火がついたまま飛ぶことがあると思う」と話した。
消火している現場の映像を見てみると、瓦が落ちたあとに残された木枠や、今にも風に吹き飛ばされそうな壁枠が見て取れた。
こうしたものが、火の塊となって、風にあおられ、火災が拡大したのか。
あまりにも想定外の延焼、多くの人は、あわただしく避難してきた。
避難してきた住民は、「急いでみんなに声をかけて」、「まさか、ここ(自分の家付近)まで火が来るとは思わなかったもんね」、「(自宅が無事かどうか?)近所がやられてるから」などと話した。
追われるように避難してきた住民は、被害の状況もわからぬまま、不安な一夜を過ごすことになる。
避難してきた住民は、「自宅はたぶん無事なんですけど、周りが燃えてしまって、立ち入り禁止になってしまったので」と話した。
火災は、午後8時50分ごろに、ほぼ消し止められたが、まだまだ予断を許さない状況だという。
対策本部長である糸魚川市の米田 徹市長は、「鎮圧状態ではあるが、普段と違い、風が強いので、いつ火がまた出てくるかわからないので、緊張して対応しないといけない」と述べた。
師走の糸魚川を襲った未曽有の大火災。
およそ150棟、7万5,000平方メートルが焼け、周辺の363世帯、744人に避難勧告が出されている。.
新潟・糸魚川市の大規模火災、140棟焼き鎮圧
TBS系(JNN) 12/22(木) 21:30配信
新潟県糸魚川市で起きた大規模な火災は、少なくとも140棟を焼き、消防によりますと、午後9時前に鎮圧したということです。
JR糸魚川駅のすぐ近くでは、雨が降りそして非常に風が強いですが、繁華街は白煙に覆われています。本来であれば、この煙の向こうに家々や商店が見えていますが、非常に見えにくくなっています。出火から11時間が経過しようとしていますが、今も懸命の消火活動が続いています。
火事があったのは、JR糸魚川駅にほど近い商店街です。22日午前10時半ごろ、中華料理店から出火し、強い風にあおられ住宅や商店に次々と延焼し、午後8時現在、少なくとも140棟が焼け、現在も燃え広がっています。
糸魚川市は、363世帯744人に対して避難勧告を出しました。新潟県からの要請を受け、自衛隊155人も加わり、今も消火活動が続いています。すぐ近くの北陸新幹線の糸魚川駅にもこの煙が届いています
新潟・糸魚川市の火災発生から、ちょうど半日、12時間がたったが、いまだに煙は色濃く立ち上っていた。
暗闇の中で続いていた消火活動。
新潟・糸魚川市で起きた大規模な火災は、22日午後9時前に、ようやく鎮圧状態になった。
発生からは、10時間半が経過していた。
およそ150棟が燃え、地震や津波によるものを除くと、過去20年で最悪の規模となった今回の火災。
火の手が上がったのは、午前10時半ごろ。
出火元は、商店街のラーメン店の厨房(ちゅうぼう)だった。
出火した直後の様子をとらえた写真には、2階の窓から噴き出す黒煙が映っていた。
一方で、すでに消火活動も行われていた。
写真を撮影した岩崎雅則さんは、「すぐ消えるだろうと思っていた」と話した。
しかし、火の勢いは瞬く間に拡大。
電線まで燃えているのがわかった。
FNNの複数のカメラは、炎が広範囲に広がっていく様子をとらえていた。
出火元の店から、80メートルほど北側の場所では、消防隊員がホースを移動したその時、ぱちぱちと音を立てながら、火は、その勢いを増していった。
そして、火災は、さらに北側へと拡大。
街を東西方向に横切る、2車線の大通りでも、火を食い止めることができなかった。
分単位で激しさを増す炎。
住民は、事態を見守ることしかできなかった。
飲食店が全焼した人は、「道で(炎が)止まってたから、うちの店には来ないなと思ってたんですけど、火が大きかったもんだから、ぐるっと回って」と話した。
さらに、北上を続けた炎は、日本海に面した一番北の地域まで到達。
大量の煙が、日本海へと流れ込んでいった。
救急車は、その煙の中へと突っ込んでいった。
一方、出火元の店より南側、火の手が回っていない地域では、周辺には、風向きが変わることをおそれ、避難する人たちの姿があった。
火元の南側に会社がある人は、「会社なので、会社関係の大事な物を(運んでいる)。まだ遠いんですけど、ここから北風になると、かなりおっかないので」、「何を出していいかわからない」、「とりあえずデータだけあれば...」、「風が、こっち来なきゃいいんだけどさ」などと話した。
カメラは、消火活動が難航する様子をとらえていた。
当初、消火活動にあたることができた消防車は、6台だけだったとの情報もある。
瓦屋根の上には、家庭用のホースで水をまく人の姿もあった。
午後3時ごろになると、近隣の自治体から次々と応援が入り、消火活動は加速。
一方で、水不足という問題が発生した。
消火栓からの水は、ストップ。
貯水槽にためられていた水を使い切ってしまった。
この事態を打開するため、午後5時ごろから、生コンクリートを運ぶために使われるタンクローリー車が次々と到着した。
関係者は、「今、生コン工場から、市の消防から要請があって、全社挙げて水を運んでいる」と話した。
マンホールのふたが開けられ、直接流し込まれる水。
水不足が解決に向かうと、ほぼ時を同じくして、新潟県の応援要請を受けた、自衛隊員150人も現場入り。
夜を徹しての作業を見越してか、現場に照明車も到着していた。
夕闇の中、激しく燃え上がる炎。
夜になっても、火の勢いは、衰えを見せなかった。
強風にあおられ、舞い散る火の粉、そして、もうもうと流れる煙。
炎は、どのように街をのみ込んだのか、取材班は、風下へとカメラを進めた。
道路を挟んで、明暗を分けた現場。
日本海を臨む海岸近くまで来てみると、黒く焼け焦げた木の柱、全焼したのは200年近い歴史を持つ、糸魚川有数の純日本料理店「鶴来家」。
糸魚川で起きた過去2回の大火にも、延焼を免れた建物が、無残にも炎にのまれた。
少し離れた公園から、ぼう然と見つめる鶴来家の店主・青木孝夫さん。
青木さんは、「全焼。全然出せなかった。お客さんから随分予約もらってますから、迷惑かかるなという気持ちでいっぱいです」と話した。
新潟県の最西端に位置する糸魚川市は、人口およそ4万5,000人。
ひすいの産地として古くから栄え、由緒ある木造建築も数多く残っていた。
午後1時半すぎ、火災現場をとらえた映像には、黒い煙が、海側に向かって流れていくのがわかる。
周りの建物と比較してみると、煙の高さは50メートルを超えるとみられ、上空から撮影した映像を見てみると、煙は海上まで届き、その長さは1km以上にも及んでいる。
糸魚川では、強い南風が吹いていて、火災が発生した午前10時半ごろには、風速10メートル以上を示し、正午すぎには、最大瞬間風速24.2メートルを記録。
糸魚川では、湿った空気が山を越える時に雨を降らせ、その後、山を吹き降りて乾燥し、気温が高くなる「フェーン現象」が起きていたと考えられる。
しかし、フェーン現象だけでは、ここまでの大規模火災には結びつかない。
なぜこれだけ広範囲に被害が広がったのか。
上空からの映像に、そのヒントはあった。
画面左下の炎、そして中央に見える炎。
火は、住宅の間を飛び越え、あちらこちらに飛び火しているのが見て取れた。
専門家に火災の映像を解析してもらうと、あるキーワードが浮かび上がってきた。
ベルアソシエィツの鈴木弘昭代表は、「これは明らかに飛んでますね」と話した。
鈴木代表が指さしたのは、屋根の一部が飛んでいる映像だった。
大きさは、およそ30cmぐらいに見えた。
鈴木代表は、「盛んに燃えているところから、火の塊がどんどん飛んでいって、落ちて、そこから燃え上がっている」と話した。
鈴木代表が挙げるキーワードは、火の粉ならぬ「火の塊」。
鈴木代表によると、この日、風が強かったため、火の粉だけではなく、「火の塊」が飛んだことが、これだけ大規模な火災になったとみている。
この「火の塊」、正体は何なのか。
鈴木代表は、「瓦の下に使われている木や板。部屋の中だと、障子やふすまの枠が小さくなって、火がついたまま飛ぶことがあると思う」と話した。
消火している現場の映像を見てみると、瓦が落ちたあとに残された木枠や、今にも風に吹き飛ばされそうな壁枠が見て取れた。
こうしたものが、火の塊となって、風にあおられ、火災が拡大したのか。
あまりにも想定外の延焼、多くの人は、あわただしく避難してきた。
避難してきた住民は、「急いでみんなに声をかけて」、「まさか、ここ(自分の家付近)まで火が来るとは思わなかったもんね」、「(自宅が無事かどうか?)近所がやられてるから」などと話した。
追われるように避難してきた住民は、被害の状況もわからぬまま、不安な一夜を過ごすことになる。
避難してきた住民は、「自宅はたぶん無事なんですけど、周りが燃えてしまって、立ち入り禁止になってしまったので」と話した。
火災は、午後8時50分ごろに、ほぼ消し止められたが、まだまだ予断を許さない状況だという。
対策本部長である糸魚川市の米田 徹市長は、「鎮圧状態ではあるが、普段と違い、風が強いので、いつ火がまた出てくるかわからないので、緊張して対応しないといけない」と述べた。
師走の糸魚川を襲った未曽有の大火災。
およそ150棟、7万5,000平方メートルが焼け、周辺の363世帯、744人に避難勧告が出されている。.