ノイバラ山荘

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眼鏡

2009-10-23 23:20:55 | 短歌
昨日は体中が痛んで、起き上がれなかった。
熱が出たのだった。

悔しいけれど勉強会をお休みして、1日眠った。
幼稚園のときのお泊り会、お布団まで送って、
熱を出して欠席したのを思い出した。
3年前も同じように10月の歌会の司会を休んだ。

唸りながら眠っていた、と家人が教えてくれた。
夢は見なかった。

* * *

古今の「眼鏡」の歌を探しているときに、このような歌を発見した。

・処刑する前に眼鏡は外されむ机の上にうすきかげ曳く 吉川宏志

1首前に次の歌が置かれているので、
近い日の絞首刑にヒントを得てのことに違いない。

・えのき茸壜の口から垂れており昨日終わりし処刑を聞きぬ

昨日の絞首刑とは誰のものなのだろう?
直接の歌の鑑賞には必要ないかもしれないし、
有名な人物のものではない可能性もあるが、調べてみた。

歌の作られた2008年よりさかのぼって検索し、
サダム・フセインではないかと思い――彼は眼鏡をかけていただろうか――
その絞首刑の投稿映像を観た。
携帯で撮影されたものらしく、はっきりしない上に激しくぶれる。

眼鏡をかけているのか、まじまじと観察する。
さらに死後の映像まで観察したので、目に焼きついてしまった。

どちらも眼鏡はかけていなかった。
綱が首にかけられたとき、彼は落ち着いた態度であった。
すとんと画面から彼は消えた。

普段なら、観ないと思う。
ましてやまじまじと見たりはしない。
「昨日終わりし処刑」もこの映像のように行われたのだろう、
「眼鏡を外され」て。

おそらく未来の処刑も。