130年ぶり、4年にわたる修復を終えた
鳥獣人物戯画を展示している
「国宝 鳥獣戯画と高野山」@京都国立博物館。
その修復の様子などをNHK「日曜美術館」
"奇想の絵巻"誕生のなぞ~鳥獣戯画~で見ました。
絵巻の甲乙丙丁4巻のうち、
丙丁巻には人物が描かれていることは
皆さんご存知でしょう。
注目すべき丙巻で、前半10枚は人物、
後半10枚には鳥獣が描かれており、
甲乙から続く流れとしては不自然な感じです。
これは別々に描かれたものを
合成したのだとされてきました。
この丙巻成立の謎が
修復によって明らかになったのです。
「あい剥ぎ」という技法によって、
元は表に人物画、裏に鳥獣画を描いた
1枚だった和紙を薄く2枚にはがし
繋ぎ合わせて絵巻物に仕立て直したものだと
分かったのだそうです。
修復士が修復の過程で、
鳥獣の部分に烏帽子のような墨の跡を見つけ
裏返しにして貼り合わせてみると
ぴったりだということを発見したのです。
じかに作品に触れ、さまざまな技法を知っている
専門家であるからこそ発見できたことです。
その「あい剥ぎ」の映像を見て驚嘆しました。
薄い和紙を表裏2枚に分けるという
デリケートな技を私たちの先祖はもっていたのです。
リサイクルした和紙に楽しんで描かれたという鳥獣戯画。
間違えてもいいや、がのびのびとした線を生み、
裏にも描いちゃえと描いたものも
どういう経緯か分かりませんけれど、
おもしろいからとっておこうということになったのでしょうね。
「日曜美術館」は11月2日夜8時に再放送されますので、
興味がおありの方は是非ご覧になってください。
* * *
この発見は修復士さんのお手柄でしたが、
自分も励まされたように思いました。
佐佐木信綱『思草』に続く『新月』語彙作成も
非常に地道な仕事ではありますが、
仔細に一語一語見ていくことによって、
論じることからだけでは見えてこない何かが
見えてくるかもしれない・・。
さらに第3歌集『常盤木』を比較することによって
明らかになることがあるかもしれない。
もしそうであれば嬉しいと思いました。
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