未だかつて、地震の予測に成功した学者はいない。
せいぜい、100年以内に地震が起きると、曖昧に予測する程度がせいぜいだった。その程度なら、誰にだって言える。学者が予測する以上、それは第三者が検証して納得しうるものであるべきだ。
そして、現在の科学では、そこまで客観的で検証可能な証明はできない。これが現実だ。別に馬鹿にしているわけではない。地震に関する学問はそのくらい難しい分野であり、まだまだこれからの学問である現実を冷静にみているだけだ。
だから、先月ぐらいに東大のお偉いさんが、首都を四年以内に70%の確率で大地震が襲うなどと発表した際も、私はそれを真に受けることはなかった。
これは研究者たちの反抗の烽火だと思う。もっといえば、予算獲得のための示威行動だ。小泉政権下で構造改革が打ち出され、大学は独立行政法人となり、国からの予算は減る一方だ。
大学や研究所で働く人たちには、この予算削減は研究活動を阻害するばかりか、彼等研究者の生活そのものを脅かしてきた。
おまけに民主党が政権の座に就くと、事業仕訳の名の下に、ますます研究予算は減らされる。そこにきて天の恵みか、東日本大震災である。これで堂々、予算請求が出来る。これまで予算削減の苦杯を舐めさせられた恨み、晴らさんでおくべきか。
そんな訳で、思いっ切り誇張して、首都に直下型地震が来ると大声をあげてみた。
意地の悪い邪推かもしれないが、私はそんなところであろうと思っている。ただ、このネタを週刊誌などが大騒ぎしたのは予想以上であったのだろう。
数人の真面目な学者さんたちが、慌てて火消しにかかっているが、とき既に遅し。とにかく人々の視線を集めるネタさえあれば、マスコミは飛びつく。未だ震災の悪夢がよぎる人々の不安心理に付け込んで、あることないこと記事を垂れ流す。
おかげで、不安心理が増幅して、冷え込んだ消費に、更に氷水をかける結果となっている。もう一度、繰り返します。現在の科学で、第三者が客観的に検証可能な地震予測なんて出来ません。
まァ、予算獲得のための過剰アピールだと思いますが、信じる人は勝手に怯えて下さい。地震列島の日本です。小さい地震なら、いくらでもあります。まったくの嘘ではないでしょうが、いささか人騒がせに過ぎる、と私は辟易しています。