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ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦

2015-05-28 12:05:00 | 

偶然の出会いを装うのは難しい。

如何にも偶然、出会ったふりをして親しくなるチャンスとしたい。色ボケした思春期の若者なら、そんな風に夢想したことはあるだろうと思うし、それを実行したこともあるだろう。

で、結果は?

私自身に関して云えば、ほぼ全敗である。まず予定は未定で、思った通りに事態が推移しない。予期せず同伴者がいたり、それが父親だったりしたら最悪だし、母親はもっと辛辣だ。だいたい、偶然でないことを、当人に見透かされていることは、後年ようやく分かるようになった。

下手な策謀など必要なく、必要なのは素直な勇気であったと今にして分かる。情けないことに、それが分かったのは20代後半であった。まァ、分かってなお、素直に偶然と見做してくれた優しい女性もいたけれど・・・

表題の作品は、そんな勇気のない色ボケした青年と、その青年の想いにはさっぱり気が付かない後輩の女性の物語。よくある二人なのだろうが、周囲に登場する人物が強烈すぎる。

いささか個性的な文体も含めて、好き嫌いが出る作品だと思う。通常ならば、この手の話には興味が湧かない私だが、この作品はタイトルがいい。このタイトルに惹かれてのお買い上げであった。

なおロマンスものを期待した向きには気の毒だが、まったくロマンティックではなく、むしろコメディに近い。つまり面白可笑しい。興味をお持ちの方は是非どうぞ。

コメント
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