いささか早過ぎたキャッツアイだった。
ただし、怪盗キャッツアイとは異なり、この作品の主人公は犯罪組織と戦う側の人間である。当初は「クライム・スイーパー」といったタイトルであったと思う。
掲載誌は週刊少年ジャンプであった。1970年代前半の時期に連載されていた。私はこれが読みたくて、好きでもない散髪を我慢して毎月、床屋に通っていた。
週刊少年ジャンプは、良識ある世間様から評判の悪い漫画雑誌であったので、公民館や図書室には置いてなかった。私の近所では、唯一床屋さんだけが、週刊少年ジャンプを待合席に置いていた。
主人公は容姿端麗、頭脳明晰、運動能力抜群の女子高生犯罪捜査官(苦笑~)である。なんといっても最大の魅力は「ハレンチ学園」のヒロイン十兵衛も霞むほどのお色気シーンである。
ただし、下着を見せても、その中身までは絶対に見せない。でも、アクション・シーンでのパンちら場面は、十代の少年を惹きつけて止まない魅力があった。
私の基準だと、永井豪より控えめで、石ノ森章太郎より肉感的、でもなによりも魅力だったのは、このヒロイン、自身の性的な魅力には無頓着なお転婆ぶりであったと思う。
そんな場面ばかり覚えているスケベな少年読者だったので、肝心のストーリーはあまり覚えていない。
ちなみに「ドーベルマン刑事」や「北斗の拳」などの原作者としられる武論尊の初のヒット作である。同時に、逆井五郎という漫画家の最大のヒット作ではないかと私は思っている。
武論尊氏はともかく、漫画家逆井五郎はその後も漫画を描き続けているが、この作品ほど輝いたものはなかったと思っています。こんな可愛らしいヒロインを描けるのに、なぜにその後ヒット作を出せなかったのだろうかと不思議に思っていた作家なのです。
いや、そこそこヒットした作品はあるのですが、本作ほどではなかったのです。押し入れの奥を聡怩オた時に出てきた本作を読み返しながら思ったのは、この
漫画、セクシーな場面がとことん寸止めなのです。
あの時代は、それが普通でした。良識あるPTAの淑女の方々も、本作ならばかろうじて容認できる程度のセクシー場面でありましたから、お色気に頼った漫画に堕していないことが、この作品の良さであったのだと再読してみて感じたのです。
実際、アクション場面はけっこう迫力ありますしね。ただ、可愛らしく、しかもセクシーな主人公を前面に出すには、いささか早過ぎた。キューティハニーぐらいぶっ飛んでいれば、良かったのですが、それだと少年誌での連載は厳しかったはず。
今どきの若者ならば、物足りない寸止めセクシー・ガールなのでしょうけど、あの時代では十分輝いていたヒロインでした。まっ、男性限定でしょうけどね。