ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プロレスってさ 北尾光司の死

2019-04-15 12:06:00 | スポーツ

元・横綱、双羽黒として知られた北尾光司氏が亡くなった。

角界を追放後、スポーツ冒険家とかプロレスラー、あるいは総合格闘家などを名乗っていたが、呆れることにどの分野でも一流たりえなかった。

肉体的素質ならば、これほどの才能の持ち主は稀有だと断言できる。2メートル近い長身であり、手足も長く、運動神経も並以上。だが最大の問題は、精神面の未熟さであった。

稽古嫌いで、痛みに対して弱く、すぐに休むというかサボる悪癖は生涯治らなかった。また人望がなく、付き人から嫌われること甚だしく、同志と呼べるような仲間とも無縁であった。

舌禍も多く、そのせいでトラブルをよく起こしていた問題児でもあった。当然に信用がなく、大きな事業を起こすこともままならぬ不遇の人でもあった。

巨体でありながら俊敏さもあり、怪力ぶりも有名であったから、その肉体的才幹に比して、精神面での未熟さがあまりに残念な人でもあった。

ここ十年以上、ほとんど名前を聞かなかったが、糖尿病とそこから派生した腎疾患に悩む闘病生活を送っていたらしい。いささか早過ぎる死であったと思う。

相撲好き、プロレス好きを自認する私であるが、北尾に関しては、ほとんど語るべき試合はない。以前、書いた高田伸彦との試合ぐらいで、後はお粗末なものが多かった。

随分と酷評してしまったが、おそらく人としては善人寄りであったとも思っている。

相撲やプロレスなどの経験がある大男が、その世界から去ると、時として裏社会に落ちることは良くある。その巨体と腕っぷしの強さは、裏社会でも通用する特殊技能であるからだ。

大物の用心棒から出世して、顔役にまで出世した御仁もいるが、多くの場合は裏社会にどっぷりと染まって堕落する。酒と女に溺れ、もめ事を腕っぷしで解決する癖が抜けず、年老いてから家族に見捨てられる惨めな人生を送ることもある。

だが、北尾はそうならなかった。さんざんとトラブルを起こした人だが、どこか人の良さというか、本質的に悪いことが出来ない人であった気がする。病苦に苦しんだ晩年も、家族に寄り添われてであったようだから、きっと身内には優しいお父さんでいられたのだろう。

その類いまれな才能を活かすことは出来なかったが故に、私としては辛口の評に為らざるを得ない。でも、人としては案外と真っ当な生き方が出来たのだと信じたい。

その早過ぎる死に、謹んでご冥福をお祈りします。

コメント (2)
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