昨年の12月に降った突然の大雪で、群馬県内の関越自動車道で3000台近い車が立ち往生した。
あまりに急なことで、除雪に手間取り、結局全ての車を動かすのに二日間もかかった。これはニュースなどで知った人も多いと思う。
同じ12月のことだが、政府が2030年までにガソリン車の新車販売を禁止するとか言い出した。少し前にEUでもガソリン車の販売禁止の報道があったから、世界的な流れなのだろう。
脱炭素社会とかいっているし、温暖化防止なんて報もあるが、おそらくは原油の枯渇問題と水面下で深くリンクしていると私は邪推している。証拠はないが、1970年代のオイル・ショックの二の舞を防ぐための方便だと思う。
燃料である原油が有限の資源である以上、私もある程度ガソリン車の販売禁止はやむを得ないと考えている。しかし、冒頭の大雪による大渋滞と、多数の車の雪中での立ち往生の報道を読み返すと、このままではまずいと考えている。
ガソリン車が販売禁止されるなら、必然的に電気自動車、いわゆるEV車への移行が主流になると考えられる。既にアメリカでも欧州でもEV車は走っているし、日本でも少数ながらEV車は走り出している。
しかしご存じだろうか。日本の所謂雪国と呼ばれる地方では、ほとんどEV車は売れていない。
現在販売されているEV車は、電気で走るだけでなく、音楽やエアコンも電気で賄われる。特にエアコンは驚くほど電気を費消する。走行していれば、ある程度は充電されるが、問題は大雪などで立ち往生した時だ。あっという間にバッテリーを空にするくらい暖房は電気を食う。
ガソリン車やHV車ならば立ち往生しても、ガソリンを補給すれば暖房はエアコンで間に合う。しかしEV車は同じように補給が出来ない。現時点では、立ち往生しているEV車に電力を補給することが出来ない。
つまり氷点下の夜を暖房無しで過ごさねばならない。まァ普通に考えれば凍死するね。
日本は先進国の中でも指折りの豪雪地帯を抱えている。一晩で一メートル以上積もることも、決して珍しいことではない。ちなみにヨーロッパでは気温こそ日本よりも低いが、これほど豪雪が降り積もることはない。だからEV車でも問題がない。
しかし、日本は違う。雪国の人たちは豪雪の怖さを知っている。だからこそ、EV車を買おうとはしない。政府はお気軽にガソリン車販売禁止などと軽く言うが、地方の実情を把握しているのか?
私は大いに疑問です。
欧米などと歩調を合わせてのガソリン車販売禁止を打ち上げたのだろうが、日本の特殊な実情を勘案しないとまずいと思う。もっとも霞が関のエリート官僚も、永田町の先生方も最近は地方の現場視察を厭う傾向が強い。
そして地方の生の声を聞かないのは新聞、TVも同じだ。世界屈指の豪雪地帯を抱える群馬県での自動車立ち往生で、なぜに地元民はEV車に乗らないのか、その点を取材して報じたマスコミはいたのか?
最近はTVも新聞も読まないことが多いので、私が知らないだけかもしれない。でも、現時点で日本の事情を勘案してのガソリン車販売禁止の再考を求めたマスコミの声を私は知らない。
化石燃料の枯渇に対応した政策は必要でしょう。でも社会の実情に応じて変えていかないと、結局後で混乱し、迷惑を被るのは我々一般の庶民です。
私自身は、この先車を買うとしたらEV車は、やはり避けます。電気スタンドの普及と整備も含めて、まだまだ早過ぎると思うのです。