プーチンとゼレンスキー、どちらかが死なない限りウクライナ戦争は終わらない気がしてきた。
まず大前提としていえば、ウクライナの地はロシアにとって絶対防衛線である。それを承知でウクライナをNATO軍側に引き込もうとしたのは他ならぬEUとアメリカだ。いわばロシアからすれば、先に手を出してきたのは西側である。
一方、ウクライナからすればロシアは、ほぼ同族ではあるが過去散々に酷いことを強要してきた憎い相手でもある。しかしマルクスレーニン主義という金看板があった時は我慢できた。崇高な理想を実現する努力を共有できた。
しかしペレストロイカによりソ連邦内部の事実上の崩壊が明らかになると混乱が生じた。ウクライナは地理的にもロシアに近く、また民族的にもかなりの融合が進んでいたため、そうそう割り切れなかった。実際、ソ連分裂以降、親ロシア派が主要部門を牛耳る一方、西側の支援を期待してのウクライナ独立派が力をつけてきた。
ロシアにとっては白ロシア(ベラルーシ)とウクライナは絶対防御線であり、断じて離反することを許せなかった。しかし、その割に支援を十分にすることが出来なかった。そこをEU及びアメリカが付け込んだ。
まともに考えれば、ロシアはウクライナ全土を掌握するだけに足る十分な戦力を持っていた。しかし、欧米からの支援がロシアの目論見を狂わせた。困ったことにウクライナは旧ソ連邦のワルシャワ条約機構軍として、ロシアの軍制度を熟知していた。
ロシア軍の特徴は下級兵士を信用していないことだ。何故なら戦場で最前線に送り込まれる兵士たちの多くは、広大なロシア各地に散在する少数民族出身者であるからだ。彼らを信頼しきれないが故に、ロシア軍は本来最前線には出てこないはずの上級将校が実戦の指揮を執る。
その上級将校を狙い撃ちにしてロシア軍を混乱させたのがウクライナ軍の狙撃兵だ。マスコミ向けの広報では、ドローン兵器の活躍が大きく取り上げられているが、実際に戦果を挙げているのは、歩兵である。狙撃だけでなく、西側から供給された歩兵が携行できるミサイル兵器を使っての攻撃も多大な戦火を挙げている。
この西側からの援助の一部は、間違いなくウクライナ政府及び軍関係者の懐を潤しているはずだ。なんといってもロシアン・マフィアの本拠地として知られるウクライナである。中抜きするのはお手の物である。ゼレンスキー大統領がしばしば外遊して、ひたすらに援助を求めるのも当然である。
一方、ユーラシア大陸の火薬庫である中央アジアを力で制圧しているロシアは、その面子に賭けて敗北を認めることは出来ない。この問題は中国で弾圧を受けるイスラム教徒たちとも関連している。トルコやイランにとっては、中央アジアは機会さえあれば取り戻したい地下資源の宝庫でもある。だからこそロシアは、この地を安定化を重視する。そして現在その安定化をもたらしているのはロシアの軍事力であり、それゆえロシアは軍事的敗北を認めがたい。
いわばロシアもウクライナも引くに引けない状況に陥っている。この状況を変えるには、プーチンかゼレンスキーかどちらかの政治的退出以外に手はないと思う。これがまっとうな民主主義国家ならば、選挙による政権交代が機能する。しかし、両国ともまっとうではない。だから選挙も当てにならない。
そうなると、残されるのは強制的な指導者の排除である。ただ伝統的にクーデターに対する警戒感は、両国ともに強く対応策も十分であるはずだ。すると残された道は、政権トップを狙ったテロである。
テロリズムを肯定的に捉えるのは抵抗感が強いが、このウクライナ戦争を終結させる最も手っ取り早い手段だと予測しています。