ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

先祖帰り

2025-02-21 14:17:17 | 社会・政治・一般

トランプ大統領は先祖帰りしたのかもしれない。

誰もが歴史で習うとおりアメリカはイングランドの新教徒たちが信教の自由を求めて海をわたり、新大陸アメリカの原住民を実力で追い払った結果作られた国である。

太平洋側まで進撃し、アラスカはロシアから買い取り、南部はメキシコから奪って建国された。ちなみにこの事に対する侵略者としての自覚はない。なぜならば、これは神に認められた啓蒙活動であり明白な運命(マニフェスト・ディスティニィ)だと確信しているからだ。

要は蒙昧な原住民に対してキリスト教の恩恵を知らしめ、文明開化をしてやったのだと胸を張って言い張った。保護地と称する金網の中に閉じ込め、食料と酒を無償で与えてアル中患者を増やしたことが文明化なのかと問い質したいところだが、白人種優越主義者に力(武力)なき言葉なんざ届きはしない。

実際、20世紀初頭まではアメリカは野心満々の侵略者としての性格を持っていた。太平洋沿岸までたどり着くとハワイ王国を侵略し、スペインからフィリピンを奪いグアム、サイパンといった島々にも野心をたぎらせた。

ただシナ及び日本には軍事的侵略を諦めた。シナは眠れるトラとして警戒すべき巨大な帝国であり、日本はイギリスやフランスを追い払うほどの軍事国家であったからだ。ここで軍事的手段は止めて、市場経済への転換、キリスト教の布教と民主主義の理想を振りかざした。決して諦めた訳ではない。

その後、シナの市場を独占しようとした大日本帝国を叩き潰し、日本列島を最前線基地として活用した。しかしシナは共産主義に奪われてしまい、ユーラシア大陸の東端の市場を失った。仕方なく軍事拠点としての日本を経済成長させたが、朝鮮半島が共産化の危機に曝されると、大慌てで日本に軍隊の編成を命じて米軍の防衛の一端を担わせた。

これは認めなければいけないが、アメリカは覇権国としては不思議なほど領土的野心の少ない侵略者であった。一旦アメリカ領とした沖縄を日本に返還するなんて前代未聞のことまでやっている。もっともこれは来るべくシナ、ロシアとの戦争に日本を巻き込むための手段ではあるが、平和的に領土を返還したという美名は残った。

だが19世紀までは領土的野心を持つ普通の覇権国であったことを思い出したのだろうか。トランプは二度目の大統領となると「アイスランドの領有」「パレスチナのガザ地区の管理」と続けざまに領土的野心を露わにした。

私はアメリカが領土拡大欲を出すとしたらそれは南極大陸だと予想していたので、これは完全に予想外であった。また領土ではないがメキシコ湾をアメリカ湾に名称変更を強行しようとするなど、明らかに19世紀までのアメリカに復古したのではないかと疑わせる発言までしている始末である。

これらの動きは「強いアメリカ」への回帰として報道されているが、確かにそういった面はあると思う。元々は侵略により築かれた国であるアメリカ本来の姿に戻ろうとしているようにも思える。

日本にとって正面切って敵に回すには危険すぎる相手がアメリカだ。日本政府及び日本国民はどこまでアメリカに屈辱的媚びへつらいを我慢せねばならないのか。現時点では選択肢はない。しかし、21世紀後半にはアメリカの衰退する可能性が高い。それまで我慢できるかが、けっこう本気で心配ですね。

多分、幕末のように新たな尊王攘夷運動が起きると思いますよ。

コメント (3)
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