緊急事態宣言の解除となった。
率直にいって不安である。一日当たりの新規感染者数をみると、とても解除が相応しいとは思わない。
だが、このままでは飲食店のみならず零細中小事業者が危ないことも理解できる。この半年、クライアントからの深刻な相談の大半が、コロナ禍による営業自粛からみのものだからだ。
相談してくれる方は、まだ余裕がある。気が付くと失踪している方もあるほど今の経済状況は悪い。バブル崩壊期やリーマンショックの時よりもひどいと感じている。
だから緊急事態宣言の解除を歓迎している。それでもコロナの新規感染者の増加は不可避だとも思っている。
おそらく誰も正解を持ち得ない。解除に反対の人が正しいように思えても、その後の失業者の増加は確実なので、なにが正しいのか私も確信は持てない。
更に付け加えるならば、本当に緊急事態宣言は有効であったのか、それさえ疑わしい。
昨年の春先の時の緊急事態宣言下の東京は、ほんとうに人出が減り、通勤電車さえガラガラであった。しかし、この冬の緊急事態宣言は、それほど人出が減っていない。電車も少し空いた程度であった。
多分、誰もが悪い意味で馴れてしまい、緊張感を失している。もはや緊急事態宣言にコロナ禍を終息させる効果は乏しいと判断せざるを得ない。
悲観的な予測だと思うが、ワクチン接種が一回りして、重篤な患者が出なくなるまで、このコロナ禍は終わらないと思う。
達観した言い方をすれば、古来天災とはそうしたものであり、か弱き人は神に祈り、すがるしかなかった。その一方で、このような天災は、新たな時代の転換の契機になることも少なくない。
中世ヨーロッパを襲った黒死病は、人口の3割を奪ったが、その結果既得権益を握る支配層が弱体化し、後のルネサンスや宗教改革、そして産業革命の土壌となった。
この恐るべき病魔から生き残った人たちが、新大陸を席巻し、帝国主義と植民地支配を築き上げた。この病魔に免疫を持たぬ新大陸では、鉄砲や馬に負けじと病疫が原住民に襲い鰍ゥったことも少なからず影響している。
今回の新型コロナも世界中を席巻し、経済活動を大きく損ない、不況の風をまき散らしている。この惨禍からしぶとく生き残った国が、21世紀の新たな先導となる可能性さえある。
その意味で、本当の緊急事態はこれからなのかもしれません。お覚悟のほどを。
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