民主主義国家である以上、そして議会制民主主義をとる以上、絶対に派閥はなくならない。
民主主義の要諦を一言で云えば、それは数は力であろう。仮に100の議席があったとしたら過半数である51議席をとれば、政権が取れるのが議会制民主主義だ。
だが現実にはその51議席のうち26議席を支配すれば、事実上政権運営は出来る。26議席を支配し、他の25議席を巧みに操る政治力があれば、議会を制することが出来る。そのための重要な手段が派閥である。
人々は政治力の強い派閥を支持することで、自分も権力のおこぼれに預かろうとする。そのための政治献金であるのだから、強い派閥に金が集まるのは必然だ。分かりやすく説明するため、簡単に書いたが、要は過半数を握る必要はなく、比較多数の内側で支配力を発揮すれば政治の頂点になれるわけだ。
いくら自身が正しいと信じえる信念に基づき発言しようと、議会制民主主義では過半数の賛意がなければ現実の政治に反映することは出来ない。だが過半数を握る必要はない、四分の一強で政治を支配することが出来る。
つまり自分に賛同してくれる議員を四分の一強集めることが出来れば、事実上首相への道が拓けるわけだ。それが出来ないのが今の野党である。いや、与党だって似たようなもので、辛うじて岸田首相が権力の座に引っかかった程度だ。
自民党内での立場が弱い岸田首相は、最大派閥の安倍派を切り崩して、なんとか権力の座にしがみつくのに躍起になっている。彼に残された道は、自民党内で四分の一強を確保することだ。だからこそ長期にわたり安倍政権から冷や飯を食っていた派閥との友好に力を入れざるを得ない。
昨年のLGBTへの好意的な姿勢はその一例であり、同時に安倍政権に煮え湯を飲まされた霞が関の官庁に媚を売ることも忘れない。首相就任当初に口にしていた「聞く力」なんざ、自分に好意的な意見だけを聞くことに他ならない。
率直に言えば唾棄したくなるほどの嫌悪感を感じるが、このように権力の座にしがみ付こうとする執念は侮りがたい。困ったことに自民党内に岸田以上に派閥を仕切れそうな悪はいない。麻生は少々舌禍が過ぎるし、二階は悪名が度を越している。
マスコミが盛んに持ち上げる石破、小泉、石原の三馬鹿は、党内でまったく人気が無いゆえに派閥を作れずにいる。これでは四分の一強は握れない。繰り返しますが、議会制民主主義においては、派閥を作り制することが出来ない政治家にトップは取れません。
なお相も変わらず幼稚な正義病に罹患している野党は論外。有権者が求めるのは正義の味方ではなく、生活を安定させ豊かにしてくれる現実的な施策を実現できる政治屋です。この本音があるからこそ政治献金はなくならない。
政治の清廉潔白さを求めるならば、まず違法な政治献金に対する罰則を受け取ったはずの政治家当人に負わせるべきでしょう。派閥を解消させるのではなく、派閥を如何に合法的かつ適用に活用させるようにした方が現実的です。
少なくとも私は派閥を作れず、派閥を御しきれない政治家を信用しません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます