間違いなく、来るべき未来で実現すると思った。
古来より人間は、ある種の残酷さを好み、愛し、熱狂した。有名なのは古代ローマ帝国のコロッセアムにおける格闘技興業であろう。
善意にとって古代ローマ人は、スポーツを愛したなどと解釈してはいけない。彼等は戦いの興奮に身を委ねたのだ。剣闘士同士が戦い、血を流し、悲鳴をあげ、そして訪れる残酷な結末にこそ熱狂したのだ。
別にローマだけではない。世界中至る所で、人々が争い、流血する残虐な場面を楽しむことは行われた。自らは傷つくことなく、他人の流す血と破壊される人体の残虐さを鑑賞して興奮する楽しみは確かにある。
人間という生き物の救いがたき愚かな性だと思わないでもないが、私自身子供ころからプロレスや相撲、ボクシングなどを見るのが好きだったのだから、到底非難することは出来ない。
表題の映画のなかでは、人間に代わってロボットがリングの上で殴りあう。ボディに鋼鉄の拳骨を叩きつけると、オイルが噴出して動きが鈍る。人間を凌ぐ破壊力を持つ拳骨が、スティール製のボディを痛めつける。
そして最後は強烈なアッパーカットで相手の首をもぎ飛ばす。観客はその壮絶な場面に興奮して、勝者を褒め称え、敗者は惨めにスクラップとされる。
人間同士の公開殺人が容認されない以上、ロボット同士の戦いによる激烈、残虐な格闘シーンが展開されるこの新しい競技が人気となるのも当然だろう。
そう遠くない将来において、このロボット同士の格闘技は実現されると思う。
ボディをぶっ壊し、首がもげるほどの迫力ある試合は、到底人間同士では出来ない。だから人間のボクサーはお払い箱となる。
そのお払い箱の駄目親父は、オンボロ・ロボットをトレーラーで運び、全米各地のロボット競技会で出場して稼ぐ。でも、失敗続きの人生で、最後のチャンスさえ棒に振ってしまう。
そんな彼の元に現れたのが、別れた元妻との間に設けた一人息子。親権を叔母に譲り渡す条件として、短期間息子と暮らす羽目に陥る。顔さえ忘れていた息子とだ。さて、どうする駄目親父。
この映画の主人公は、間違いなくこの駄目親父。迫力在るファイトを展開するロボットの格闘シーンは見事だし、健気な息子が不信感と隠されていた父親への憧れを垣間見せる場面も悪くは無い。
でも、やっぱり駄目親父が、息子の視線に耐えかねて立ち上がり、再起してみせるからこそ、この映画は面白い。お涙頂戴の感動作とは思わなかったけど、十分楽しめる作品だと思います。
家庭の大型TVでもいいけれど、やっぱり映画館の大スクリーンで観て欲しい映画です。年末年始、機会がありましたら是非どうぞ。
私もこの週末に見て、先ほど記事をアップしたばかりです。
予告で見た時には、実はあまり期待していなかったのですが…
思いがけなく、すてきな作品でした。
TBさせていただきますね。
わ~、「リアルスティール」見にいかれたんですね!
ロボット格闘技ものだから、ヌマンタさんにぴったり!
感想を読ませていただくとやっぱり良さそうですね!特撮映画であっても、結局映画の善し悪しは人間ドラマで決まるんですよね。見に行きたいな・・と思ってたので、お正月映画はこれにしようかな~。(*^^)v