ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「ダーティホワイトボーイズ」 スティーブン・ハンター

2006-10-17 09:28:59 | 
誤解を恐れずに書いてしまうと、やはり善人の話よりも、悪人の話を面白いと感じることは結構多い。

別に偽悪主義者を気取っているわけではないし、真似したい訳でもないのだが、悪い奴らの禄でもない所業という奴は、傍で見ている分にはたしかに面白いと思う。

犯罪大国でもあるアメリカの刑務所から始まる「汚い白人野郎ども」の暴れっぷりと逃げっぷりを題材にしたのが表題の作品です。

良識ある中堅階級のアメリカ人が眉をひそめて、その存在すら認めたがらない、下層階級の白人系アメリカ人。年々、社会格差が広がるアメリカでは、この下層階級における白人の占める割合が増えつつある。当然に犯罪者も増えてくる。いくら一生懸命に働いても豊かになれない下層階級の白人たちのなかから、必然的に犯罪に走る連中が増えるのは必然といっていい。

まともに働く気なんてなく、犯罪に手を染めることへの恐れもない、下層階級の白人系アメリカ人の若者たちの有様を直視して書かれたこの本は、ある意味とても挑戦的である気がする。作者のS・ハンターといえば、「ボブ・スワガー軍曹」ものが有名で、私も好きなシリーズなのです。でも、実直で誠実なスワガーという魅力的な主人公とは対極といっていい悪役を主役にもってきた表題の作品のインパクトが大きくて、ついこちらを取り上げた次第。

相変わらずひねくれているな、私は。
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7 コメント

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Unknown (jin rock)
2006-10-17 17:35:27
最下層とは 言っても 白人だから 黒人や スパニッシュ チャイニーズよりは 境遇が はるかに ましでしょう 日本でいうところの ニートかとも思います 本当に明日の心配もしなければ ならないほどではないと思います それにしても アメリカには まだ士農工商制度が いきづいてるんですね 
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Unknown (ヌマンタ)
2006-10-18 10:02:59
jin rockさん、こんにちは。最下層の白人たち、いわゆるプアーホワイトはアメリカではかなり肩身の狭い人たちだと思います。ニートとは程遠く、蔑視の対象とされているようです。もっとも最近は、プアーホワイト以下とされる階層(ホームレス)が大量に生じていることが新たな社会問題化しているのは周知の通りです。
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Unknown (アブダビ)
2014-07-22 00:35:14
ホワイト・トラッシュて、地方のタバコロードに出てくるような零細の農民とか思っていもした。
エミネムが出てくるまで。デトロイトとか衰退した都市に沢山いるそうてすね?
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Unknown (ヌマンタ)
2014-07-22 12:46:20
アブダビさん、こんにちは。南部に多いと聞いています。北部ですとデトロイトのように主要産業が衰退した町でしょうね。アメリカの産業界は栄枯の流転が激しいですから、そこから取りこぼされた人たちは少なくないと思います。
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Unknown (アブダビ)
2014-12-13 02:00:29
ボブ・スワガーを取り上げてください。
あれは王道です。
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Unknown (アブダビ)
2014-12-13 02:04:18
ホワイト・トラッシユていうと、私はエミネムです。黒人音楽としてのラップ好きには嫌われるみたいですが、下層の白人を唄い、黒人とは違うラップを作った時点で私は評価しています。
もちろん、標題作品も好きですが。
息子も入れたスワガー・サーガの方がやはり好きです。
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Unknown (ヌマンタ)
2014-12-15 12:12:18
ボブ・スワガーに関しては、たしか「極限射程」で取り上げた記憶があります。スワガー・サーガなんて呼ばれているようですが、たしかに読みごたえあると思いますし、私も好きですね。
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