天気:曇り、気温11度C(昼)
(フトノ峠の標識を目にしてから鹿嶺高原を折り返す間に、ずっと思案していたことがあった。それは、当初の予定を変えて、フトノ峠からは小黒川林道に通ずる古い峠道を下ってみようかということだった。
というのは、以前から名前だけは知っていたこの古い峠道には関心があったし、もしかしたら新しい登山のコースになるかもしれないという期待もあった。また、往路に要した時間からして、何かあれば夜道を行かねばならぬ可能性もあり、そうなればヘッドランプがなくても道に迷う心配のない、小黒川林道へ下りた方が安心だというふうにも考えたのだ。)
フトノ峠で小黒川林道に下る道を探すも、判然としない。もっとも、現在も通行する人などいるとは思えない。時間をかけたくなかったから、地形的にここら辺りだろうといい加減な勘を頼りにクマ笹の中に踏み込む。しばらくして、道と思しき踏み跡は獣道と区別がつかなくなり、仕方ないから最悪の場合は自力で行くしかないと覚悟を決める。
そうやってるうちに、「フトノ峠を歩く」なぞという当初の計画は霧散してしまう。が、ともかく先を急ぐしかない。どれほど歩いたことだろう、30メートルばかり下に林道らしきが見える。そのころには勾配も徐々に険しさを増してきていたから、躊躇なく林道を選ぶ。道は緩やかに下降していて、まだ新しい轍らしきも付いている。
以後は、この林道がはたしてどこへ通じているのかを気にしながら、とにかく歩く。体調は悪くなく、ヤマかっちゃんの握ってくれた塩だけの握り飯を歩きながら食べ、空腹感をいやす。
林道の行先が、期待から「あそこ、あそこしかない」という確信に変わるのは、遠くでするチェーソーのかすかな音を聞いてからだ。そこで初めて今いる位置を把握し、背中を押し続けていた焦燥感も和らぐ。1週間ばかり前に、はるか上空に架線を設け間伐作業をしている現場を、OZW夫妻と小黒川林道を下る途路に目にしていたからだ。
出ました出ました、ようやく小黒川林道へ。後はさらに馬力を上げて歩くだけ、歩くだけ、この谷の見事なまでの紅葉も、カメラにおさめるそのわずかな時間すら嫌って。それにしてもこの絢爛たる紅葉はどうだ、感服、平身!
かくも雑駁な記録とはいへ、考えることはいろいろとある山歩きで、そのことを次回に書きたい。
山田さん、冬季利用についてはもうすぐここにその詳細を載せます。お待ちください。
(フトノ峠の標識を目にしてから鹿嶺高原を折り返す間に、ずっと思案していたことがあった。それは、当初の予定を変えて、フトノ峠からは小黒川林道に通ずる古い峠道を下ってみようかということだった。
というのは、以前から名前だけは知っていたこの古い峠道には関心があったし、もしかしたら新しい登山のコースになるかもしれないという期待もあった。また、往路に要した時間からして、何かあれば夜道を行かねばならぬ可能性もあり、そうなればヘッドランプがなくても道に迷う心配のない、小黒川林道へ下りた方が安心だというふうにも考えたのだ。)
フトノ峠で小黒川林道に下る道を探すも、判然としない。もっとも、現在も通行する人などいるとは思えない。時間をかけたくなかったから、地形的にここら辺りだろうといい加減な勘を頼りにクマ笹の中に踏み込む。しばらくして、道と思しき踏み跡は獣道と区別がつかなくなり、仕方ないから最悪の場合は自力で行くしかないと覚悟を決める。
そうやってるうちに、「フトノ峠を歩く」なぞという当初の計画は霧散してしまう。が、ともかく先を急ぐしかない。どれほど歩いたことだろう、30メートルばかり下に林道らしきが見える。そのころには勾配も徐々に険しさを増してきていたから、躊躇なく林道を選ぶ。道は緩やかに下降していて、まだ新しい轍らしきも付いている。
以後は、この林道がはたしてどこへ通じているのかを気にしながら、とにかく歩く。体調は悪くなく、ヤマかっちゃんの握ってくれた塩だけの握り飯を歩きながら食べ、空腹感をいやす。
林道の行先が、期待から「あそこ、あそこしかない」という確信に変わるのは、遠くでするチェーソーのかすかな音を聞いてからだ。そこで初めて今いる位置を把握し、背中を押し続けていた焦燥感も和らぐ。1週間ばかり前に、はるか上空に架線を設け間伐作業をしている現場を、OZW夫妻と小黒川林道を下る途路に目にしていたからだ。
出ました出ました、ようやく小黒川林道へ。後はさらに馬力を上げて歩くだけ、歩くだけ、この谷の見事なまでの紅葉も、カメラにおさめるそのわずかな時間すら嫌って。それにしてもこの絢爛たる紅葉はどうだ、感服、平身!
かくも雑駁な記録とはいへ、考えることはいろいろとある山歩きで、そのことを次回に書きたい。
山田さん、冬季利用についてはもうすぐここにその詳細を載せます。お待ちください。