雨が降っている。作業日誌の雨の記録は、先月の14日以来だ。山道に散っているナラ、クヌギ、クリなど広葉樹の葉が一段と目立つようになってきた。きょうの雨で落葉が一挙に進み、来週の末ごろには初雪が、そしてここら辺りの森や林も程なく冬の眠りに就くだろう。
昨日「法華道」を下った。無雪期の古道を歩くのは初めてだったが、初冬の山の雰囲気が実に良かった。つい、忘れていた上越の山の、同じ初冬のころを思い出させてくれた。
一昨日も呟いたが、北原のお師匠は法華道の倒木のことをずっと気にかけていた。それについては、実は弟子は別な考えを持っていたのだが、一刻・一途なお師匠のこと、他人に頼んででも何とかしようとするだろうと思った。一応弟子を自称している立場上、師の案じている状況を見てみぬふりはできぬと、チェーンソーを首にぶら下げ、久しぶりの法華道に向かった。
幸い、山奥氏という同行者がいた。氏に一昨日、下山後の諏訪神社から牧場までの便を頼んだ際、それとなく誘ってみたら「いいねぇ」という返事が返ってきた。まさか、それが翌日の朝、急に言われるとは思っていなかったようだが、「やることが一杯ある」が口癖の氏を最終的には観念させた。
諏訪神社に氏の軽トラを残し、いったん牧場まで牧場の軽トラで上がった。簡単な準備を済ませ、御所平峠(本家)経由でイノシシの掘り起こした歩きずらい林道を下った。途中、目に付いた障害になるような倒木は除去した。山奥氏は初めての古道にすっかりご満悦のようで、また氏がどれ程山の熟達者であるかを、道中散々聞かされた。それも愉快だった。
結局、問題の倒木の多い個所というのは登り口から「龍立つ場」までの、歩いてたった2,30分くらいの間に集中していた。問題になる倒木はすべてを伐採したり、片付けたが、それは「歩いて通行する」という条件付きでのこと、それ以外の目的については関知しないどころか、承知してない。
伊那側は、富士見側と違い、行政の手がほとんど入っていない。その分、北原のお師匠や種平小屋などが個人の善意により、足りない点を補い整備しているのが現状である。しかし、二つの登路のある「法華道」は、どちらも味があり(種平小屋経由の赤坂口は無雪期にも歩いている)、特に初冬の山歩きには向いている。今回のことは、北原のお師匠ばかりでなく、山奥氏も喜んでくれた。
今冬の小屋の営業を希望される方は、今から連絡いただけるとさいわいです。営業内容についてはカテゴリー別「冬季営業のお知らせ(29年度)」を参考にしてください。