TDS君、こんな写真でスマン
まず断っておかなければならないことがある。それは、今手許にある2万5千分の1に示されている登山道が、即「石堂越え」と重なると言っているわけではないということだ。千年以上も昔のこと、古道を偲ぶよすがとして「こんな当たりを歩いたのだろう」という程度の参考として考えている。
もっとも、北原のお師匠ほどになるとその道が正しく古道であれば、そこを行く「旅人の姿が見える」らしい。さすが古道に嵌ってウン十年のお人である。
高座岩を下から眺める
牧場から半対峠までは、2時間ほどで着く。行程の殆どは、山火事の延焼を防ぐ防火帯を通る平坦なコースだが、時々小さな登下降があって、単調さを救う。半対峠に下降する所は要注意で、気を付けないと三義から登ってくる林道に誘われる。この林道の入り口には、オフロードバイクが登山路に入ってこれないようにしたゲートと注意書きがある。草で下降路が判然とせず、標識も目に入らない(その位置がよくない)ときは、ユックリ一回りすることを勧める。
峠から小黒川までは意外と時間を要さず、2,30分ほどだが、下り始めてすぐに崩落場所をトラバースする。この箇所以外は、特に注意する所はない。要所に付された標識布に従っていけば、すぐに沢の音が聞こえてくる。
この標識布だが、まだ新しく、その表示場所も実に的確である。これに反して、「入笠トレッキング」と称する牧場から鹿麗高原までのコースのうちの半対峠まで、一時呆れるばかりの夥しい標識布がコースを汚していた。市の関係者の配慮だとは思ったが、苦情もあり、撤去した。こうした標識布は、本来は積雪期に使われるもので、登山路が安定したら取り去り、要所に小さなケルンを置くぐらいにした方がよい。
小黒川に出て、この日初めて休憩を取り昼飯とする。標識布は、しかし川を渡らず、上流に対して左岸を行けと教えている。徒渉して、対岸を急登すれば林道へ出ることも可能のようだが、そこからの単調な歩行を嫌い、素直に標識布に従ってみることにする。この時点では恥ずかしながら、これから行く河原の道が、地図上から消えた「幻の石堂越え」との認識はなかった。かつて道があったということを聞いてはいたが、それが遠い昔の「石堂越え」と結びつくには至らず、古道研究家北原厚翁の弟子を自称する者として面目なし。(つづく)
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