入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「冬」(12)

2023年11月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 小屋の戸を叩く音で目が覚めた。しばらくすると、また催促するかのように音がする。起きていって戸を開けようとして驚いた、また雪が降っている。しかも、本格的な降り方だ。
 それに、外には人の姿はなく、積もった雪の上にも足跡はない。錯覚だと思うにしてはあまりにもはっきりとした音で、それも2度も聞いた。雪女なら夕方か夜が相場で、こんな朝っぱらには来ないだろう。
 
 天気予報は晴れの予報だったし、普段利用している雨量・雲量を見てもこの辺りは晴れていることになっている。12月ならまだしも11月の半ばで、すでに2回も降雪を経験したことなど過去にもなかった、と思う。
 試みに積雪量を計ったら5センチ以上ある。そして、雪はまだ止みそうにない。

 小屋に留まるべきか、里へ下るべきか揺れる。さすがにこのまま雪に閉じ込められるとは思わないが、ここで何もしないでいては気が引ける。昨日伐り倒した木の何本かは、きょう始末するつもりでいたがこの雪ではそれももう無理になった。
 そういう現実的な事情とは別に、もう誰も訪れようとしないこんな山の中で、一人だけで雪の降るのを眺めながらじっとしているのも、なかなか贅沢で捨てがたい気がする。
 
 雪が、労ってくれているのかも知れない。一応、牧守としての7か月の責任は明日で終わる、もう果たしたと言ってもいいだろう。
 しかし、誰もそんなことは知らないし、頓着しない。その証拠に、来週のキャンプの予約を下から知らせてきた。
 しかし、それでいい。権兵衛山が「アイツ、里へ下ったか」と思ってくれればいいし、言葉を交わすことのできない入笠の動物、林や森が気付いてくれれば、だんだんと人間離れが進んだ身にはそれで充分だ、満足できる。

 以下はこの呟きにも時々登場した「O澤さん」の通信。長年ご苦労様でした。速購入します、読者第1番にしてください。
   
  「ようやく、次の要領で(出版が)実現する運びになりました。
   書 名:御料局測量課長 神足勝記日記 ─林野測量の礎を築く─
   編著者:大澤覚(おおさわ・さとる)
   出版元:日本林業調査会(株)
   発行年月日:2023年12月15日
   規格等:A5判 本体約700頁 
   ISBN978-4-88965-276-5
   定 価:22,000円(本体20,000円+税)(送料無料)」
   
 本日はこの辺で。
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