入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「冬」(5)

2023年11月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 群馬、福島、もう少し行けば山形という所まで、1000㌔以上を走る2泊3日の旅をして、昨日帰ってきた。
 
 訪れた先ではまだ落葉松や、イチョウの黄色、カエデやモミジの紅葉が見事だったが、4日ぶりに入笠へ戻ってきたら、もう、大方の広葉樹の葉は落葉し、ここから見える落葉松の木もかつての黄金の色を失い、わずかの赤茶けた葉を残すうらぶれた姿になってしまっていた。
 その中で、同じように葉を落としてしまっていたが、落葉松やコナシの樹々の中で白樺の白い樹幹がやたらと目立つ存在となって、17年間眺め続けた同じ秋のはずなのに、その本数の多さに改めて驚いている。
 とにかく、今年の秋は期待以上の好天が長く続き、旅も含めて、その豪勢な季節のもてなし方には恐縮を覚えるほどだった。

 水回りの中で、あまり利用せずに終わった風呂とシャワーをとりあえず今から冬支度にする。しかし、今週末も予約が入っているから、キャンプ場や小屋の水道はまだ利用できるようにしておくつもりだ。
 確か富士見のゴンドラも今月の12日で営業が中止され、点検の期間に入るはずだから、ようやく通行規制は解除されるだろう。しかし、やがて雪が降れば車で来ることはできなくなるから、その期間はそれほど長くないかも知れない。ゴンドラの営業が再開されるまでだが、山はもっと静かな冬の趣を深めるだろう。

 いやいやそれどころか、ここの牧を閉める日も今月19日だから、すでに10日を切ってしまった。にもかかわらず、まだ2件ほど撮影の仕事が残っているし、今年早々、12月も含めて年間予約をしてくれた人もいる。山は眠りに入るが、管理人はまだ眠れそうもない。

 ご無沙汰しています。今秋はまだ一度もお出掛けになりませんね。
 本日はこの辺で。
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     ’23年「冬」(4)

2023年11月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 先日、久しぶりにヒルデエラ(大阿原)からテイ沢を下った。もしかすれば、湿原を周回するコースから分岐するあの径を歩いたのは、今年は初めてだったかも知れない。大分クマササが繁茂していて、通れないほどではないにしても、その分径が細くなっていた。
 径が狭まれば同じ場所がより多く踏まれるようになるから、その跡はしっかりして来る。平均台のように細くてはいけないが、あのままにしておいても大丈夫だろうと思いつつ、また一方では手を入れた方がいいかとも迷った。
 同じ迷いが、沢の上流の最初と次の流失したままにしてある丸太橋にも言えた。今年は他にも1箇所が流され、その丸太橋は架け直したが、他は流れた丸太だけは回収したものの放ったままにしてあり、気にはしていた。
 好天が続き、渓を流れる水量が大分減っていたから、結構いろいろな人が歩いている。いろいろと言うのは年齢であったり、男女のこと、あるいは山慣れた人やそうとは思えない人、などを言ってるのだが、あのままにしておいても当面は大丈夫だと思い、帰ってきた。

 入笠牧場には山小屋があるし、キャンプ場もある。現状は、どこでも多くの山小屋が営業活動の一環として、周辺の登山道の整備を行っている。そうやっておかなければ登山者が足を向けなくなるからだ。
 そういう事情は承知しているが、必ずしもここへ来る人のためだけに丸太橋を架けたり、渓の倒木を処理したりしているわけではない。というよりか、テイ沢を通る人の大半はここを素通りしていく。きょうもそうだった。3連休のため、いつもよりか行き交う人が多い。
 もちろんここにも幾組かの人たちが訪れ、「混雑させないキャンプ場」にテントの花を咲かせ、小屋ではお馴染みの二人が来てくれている。

 もう、入笠とその周辺にしか興味はないと思っていたが、先日六兵衛山に行ってまた少し気持ちが変わった。そして、幾つかの山の候補が頭に浮かんできたので、これは来年の課題とするつもりでいる。登行の苦しさ、それを乗り越えていく思い、少しだけだが味わうことができた。
 
 突然ですが、8日まで、都合によりこの呟きを休みます。

 本年度の営業案内については下線部をクリックしてご覧ください。
 小屋の電話が不通でご不便をおかけしてます。予約、問い合わせは何卒JA上伊那東部支所組合員課、電話0265-94-2473にお願いいたします。

 
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     ’23年「冬」(3)

2023年11月03日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 
 
 暮色を深めつつも、澄み渡る秋の空はどこを目にしても美しい。同じように、色付いた今の季節の森や林もそうで、およそ所を選ばない。こんなにも好天の秋日和りが続く日々は、一体いつ以来だろうか。朝な夕な、溜息をつきながら眺めている。

 今朝7時半の気温は8度近かった。キャンプ場の草や落ち葉は濡れているが、日が昇ると気温は忽ち上昇したらしく、日陰にも白いものは見えてない。
 きょうも快晴。コナシは大分葉を落とし、そこへ餌を求めて冬鳥が来るようになった。
 
 囲い罠に鹿の接近した気配はない。罠の中だけでなく、入り口やその周辺にも誘引用の塩を置いてあるが、そこにも来ていない。どうも罠だけでなく、この辺りには近づかないようにというお触れが、鹿たちの間には出ているのだろう。
 捕獲と言うより、威嚇のために仕掛けてもらった第3牧区のくくり罠には昨日、1頭の雌鹿が掛かっていたが、すでに死んでいた。この場合は、死体を始末するだけで済むし、他の鹿たちも目の前で捕らわれの仲間を見たのだから、威嚇の効果もあった可能性はある。
 捕獲目的なら、獣道に仕掛けた方がはるかに効率はいいが、それで毎日のように見回りをして、捕獲していればその後始末をしなければならない。鹿との勝負に勝ったという一瞬の満足感はあっても、その労力を考えるとあまりやりたい仕事ではない。
 とにかく鹿の頭数が増え過ぎたのだ。

 最近クマの出没やその被害がよく報じられるようになった。これも、クマの頭数が増えたことが一因ではないかと疑っている。
 そもそも、クマにとって人は怖ろしい相手だということをどうやって知るのだろう。奥山で生まれ、育ち、餌が不足したため里に出てきたクマが、初めて人間と遭遇した場合、果たしてクマは人間を脅威の対象と見るのだろうか。
 クマも鹿のように、人は怖ろしいと長老から教えてもらい、それでも万一邂逅したなら、襲いかかれば丸腰の人間は簡単にやっつけられるなどと学んでいたとすれば問題である。
 動物園の動物のように、やがては人を怖れなくなるクマが増えてくるような気がする。そうなってから、あの役所はクマも有害獣に加えるのだろう。われわれのクマに抱く思いや関心が、実際よりか些か好意的に過ぎはしないか。

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     ’23年「冬」(2)

2023年11月02日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 高座岩へ行くと東南方向に見える山がある。標高は入笠山や、それより僅かに高い権兵衛山よりもさらに少々高く、2000㍍を若干だが超える。この山も名前がないのでとりあえず「六兵衛山」と勝手に呼んできた。
 何年か前に斜面の一部が皆伐され、山頂近くに伐り残された恐らくはダケカンバだと思うが今も、そのまばらな林が遠目になかなか印象的に見える。以前から一度は行ってみたいと、老いの思いを募らせていた山だった。クク。

 昨日も好天で、出発は10時過ぎとなったが、その前に握り飯を3個作り、おかか、梅干し、昆布の佃煮を入れ、さらには水まで持って出発した。
 登路に選んだ急な作業道をしばらく行くと、フェンスが行く手を阻み、さてどうしたものかと思案した。そして、これは皆伐した後に、気付かなかったがちゃんと落葉松を植林し、動物の食害から若い苗木を守るために設けた柵だと分かった。
 立ち入り禁止とはなっていなかったし、入り口は針金を巻いてあったが開いた。もっとも、こんな場所へ来ようとする人などいないはずだし、もしいたとしても、しばらく歩いただけで引き返すだろう。藪が生い茂り、しかもトゲのある灌木が密生していて、それを避けながら悪路の登行にずっと耐え続けなければならない。
 1時間以上もつづら折りの作業道で難渋を重ね、その挙句、頂上よりかなり手前でまたしても行く手を遮るように柵が現れ、左方向へと下っていった。仕方なく、出口となる扉を開けて出た。出るしかなかった。
 
 さて柵内から出たはいいが、目の前は背の高さを越えるクマササが待っていて、径らしきはまったく見当たらない。
 しばし途方に暮れたがようやく、10㍍ばかり先に1本の落葉松の大木に赤いビニールテイプが巻き付けられているのが目に留まった。いつ誰がしたものかは分からないが、そこまで人が入ったことは確かなのだ。
 猛烈な藪漕ぎになったが行ってみた。すると、またその先にも同じようなテープが行く手を示すように待っていた。しかし、人が通ったと思えるような足跡などはまったくなく、2,3本はその目印に頼ったが、それ以降はそれを探す手間も面倒になり、とにかく急な斜面をひたすら高度を上げることに専念した。
 ようやくにして古い作業道に出た。頂上に近かった。そこから眺めたら、ダケカンバだと思っていた林は、立ち枯れた落葉松だった。
 
 国土の7割を占めると言われる山林、それを守り育てる人の努力を、偉さを、今回ほど強く身に沁みて感じたことがあっただろうか。
 急な斜面を分け入って、たとえ1本であれあんな大木を伐り倒すことがどれほどの困難と危険を伴うことか。さらには深い藪の生い茂る中をあれほど広域にフェンス張り巡らし、木を育てようとした人たちがいたとは、久しぶりに尊いものを目にした。
 
 今回も登路の詳述は控えるが、もう二度と行くことはあるまいと思いながら山を下った。
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     23年「冬」(1)

2023年11月01日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 予定した通り昨日、チェーンソーを担いで高座岩へ行ったら、すでに登山者が2名いた。赤坂口から登ってきたようで、その後テイ沢、入笠山頂へ行くという地元の登山者だった。
 
 伐り残してあった実生木を始末し、少し片付けをしていたら、また北原新道を登ってくる人がいた。平日に今度は4人も、それにそのうちの2名はヘルメットを被っていて、県から委嘱された調査員だと言う。てっきり鹿対策のことかと思ったら、2年前に大崩落した「栗立川」の上部の調査だと話してくれた。
 この崩落で、流れ込んだ山室川の水が石灰質の水で濁り、近隣の水田に相当の被害を及ぼしたことはよく覚えている。現在は半対川から導水していて状況は取り敢えず一段落しているが、何度か現場を見ておきたいと思い出掛けてはみたものの行き当たることができず、ずっと気になっていた。
 是非一緒に行きたいと言うと、快く承知してくれた。

 それまでにも、ある人は高座岩から5,6分の場所だと言い、また別の人はもっと先だと言ったりして、その度に無駄骨を折っていた。実際の崩落地は高座岩から30分以上も防火帯にできた山径を進み、深いクマササの茂る山の中だった。
 現場はきょうの写真のように、聞いていたほどの急な斜面に起きた崩落ではなかった。ただ、調査員の中にいた森林工学を専門にする人の話では、地滑りというのは傾斜よりか土質だと説明してくれた。
 崩落した現場には、石灰質と思われる地層が剥き出しになっていて、あの土を含んだ水を水田に入れると土が固形化してしまう。その結果、稲作に深刻な被害を及ぼすとは大分前に耳にした話であった。
 いよいよ県で難しい工事が決まり、まずはその調査となったようだ。


 
 調査の邪魔をしてはいけないと思い、長居をせずに別れることにした。牧場の小屋に軽トラがあれば中にいるから、立ち寄ってくれれば茶ぐらい出すからと言い残し、クマササの茂る場所を避けようと帰りは尾根を選んだ。その途中で思いがけもしなかったこの岩と遭遇した。
 この奇妙な姿をした岩、どこかの美術館に陳列したら立派な芸術作品として扱われるだろう。名前を忘れてしまったが、以前に北原のお師匠から聞いていた「ナントカの岩」に間違いなく、それからかなりの時を置いて、こんなふうにして出会うことができるとは思いもよらなかった
 
 幾日か前から師が執心した法華道の草刈り、そして一昨日は関係者と高座岩周辺の整備をした。昨日はその続きをしていたらこんなふうにして、予定もしていなかった場所へ行くことができ、さらには記憶の端にあった岩とまで対面することができた。偶然とはいえ、お師匠との結び付きを感じてしまった。

 きょうからこの呟きの題名を「冬」に。こんなにもいい天気、誰も出掛けて来る人はいないのか。

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