水しぶきに負けないくらいの嬉し泣き

誰がどう言おうと、だ、さぶろうは、ざんぶりざんぶり大滝の水しぶきに負けないくらいに激しく激しく泣きたい。泣き出したい。

どうしてだい、さぶろう？

そうしたら、いい気持ちだろうよ。そうやって嬉し泣きしたら、どんなにかいい気持ちだろうよ。

どうかしたのかい、さぶろう？

知るかい。真っ赤な夕日に抱かれていたら、そんな感情の高ぶりにいざなわれたんだい。さぶろうがこの場にいることが嬉しくなったんだい。

そうしろそうしろと言う夕日。さぶろうを嬉しくするために、ただそれだけのためにこれだけ空を広げて真っ赤にしているんだ、さぶろう思いっ切り泣くといいよ。夕日はそう言うとますます空を広げて真っ赤に輝きだした。

さぶろうは大滝の水しぶきに負けないくらい嬉し泣きをしだした。