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エクスタシーに突入すると正義と不正義が双方溶けだしてしまう。エクスタシーだけになってしまう。大小長短高低、美醜貧富賢愚、もろもろの対立概念が対立もろとも瓦解する。ゼロになって溶けだして、双方とも海の藻屑と消えてしまう。
2
エクスタシーは、我見の消しゴムである。煩悩の火の火消し剤である。そしてそれを忘れる。これでいい。東西南北の尺度の壁がなくなるのである。「なくてよかったもの」を、わざわざ「なければならないもの」としてきた、それが崩れ去るのである。ゼロに戻るのである。「なくてもいい」という位置に戻ってきたら、そこに青空が青々として広がっているのだ。我見への囚われから解放されるのだ。