其の人、命終わる時に臨んで、阿弥陀仏、諸の聖衆とともに其の人の前に現われて在(いま)せたまふが故に、是の人の(命)終わる時も心顛倒せずして、即(たちまち)にして阿弥陀仏の極楽国土に往生するを得べし。サーリプッタよ、我は是の利を見るが故に是の言を説けり。 「仏説阿弥陀経」より
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ここで<其の人>というのは阿弥陀仏の説いた教えを聞いて、たった一日であろうと、一心不乱に名号を執持して(称えて)いる人=念仏者を指している。
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人が(肉体の)命を終えて死に臨むときが来ると、そこに阿弥陀仏が多くの菩薩たちといっしょに目の前に現れて(お浄土行きを迎えて)下さるので、息を引き取るときも是の人は心が(死の恐怖などで)散乱することがないで落ち着いていられます。そしてその場でただちに阿弥陀仏の建設された極楽国土に往き、そこで其の人は(法性身として)生まれています。
サーリプッタよ、どうです、いいでしょう、素晴らしいでしょう。わたしはこのすばらしさを見て来たから、この阿弥陀経の経典をみなさんに説いて聞かせているのですよ。
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この後にこう続く。「だからみなさん、いますぐわたしも阿弥陀仏のお浄土に生まれたいという願いを起こしてください」ここが結論である。
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整理してみよう。1,死ぬ時が来ると阿弥陀仏が菩薩を従えてお迎えに来られる。2,死ぬ人の枕元にはっきりとした姿を伴って立たれる。(存在を現される)3,死の恐怖心が起きないようにしてくださる。4,心が散乱しない。5,その場でたちまち大転換が起こる。6,往生が決行されて来迎は終了する。7,生まれた先は間違いなく阿弥陀仏のお浄土である。8,そこまでずっと阿弥陀仏と多くの菩薩様がご一緒される。9,極楽浄土で往生成仏を喜んで下さるのもまた阿弥陀仏と多くの菩薩たちである。10,死が滞りなく新しい生に大転換するという奇跡が起こった。11,この奇跡の人をお釈迦様が見てこられた。12,あなた方も間違いなくこの奇跡の大転換を果たします。13,どうすればそうなるか。14,往生成仏を願って下さい。15,阿弥陀仏の御名を唱えたら願いが成就します。16、みなさん、安心して下さい。17,このようになっています。みなさんよかったですね、よかったですね。18,これが法です。ダンマです。宇宙全体の大きな大きな力がこうやって正しくあなたに働いています。
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来迎図という仏画があります。阿弥陀如来来迎図とも言われます。平安時代に多く書かれました。山越えの阿弥陀(来迎)図というのもあります。経典を聞いただけでは「ウッソー」という人も多かったはずです。耳で聞いて信じないならば目で見て信じて下さいという慈悲が働いているように思います。目で見て信じないならばどうするか。往生浄土の事実が身の上に起こったときに、ああそうだったのか、仏陀のお教えは本当だったのかということがここで納得されます。最後はみなこの納得で完了になります。
頑迷固陋なさぶろうのためにこれだけ細かく経典に説明をしてあります。頭が下がります。
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さぶろうが死ぬ時に死の恐怖心が起こらないで済むように、阿弥陀仏がみずからはるばるお浄土からさぶろうを迎えに来てくださいます。さぶろうは感激をしてたぶんその場で大声で泣きだしてしまうでしょう。生きているうちに死の恐怖心の克服解決ができている人には来迎は起こらないとも聞いています。