市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

消防本部が観光スポット!?…バス会社とコラボしたツアー企画の背景についての公開質問とその回答

2021-07-13 23:14:00 | オンブズマン活動
■群馬県の渋川地区広域市町村圏振興整備組合は、群馬県渋川市、北群馬郡吉岡町及び榛東村の1市1町1村が設立している一部事務組合で、主な業務は常備消防事務、ごみ処理施設、し尿処理施設、火葬場・斎場、夜間急患診療所、職業訓練センター、臨海学校、運動場などの設置及び管理事務に携わっています。このうち、常備消防事務は渋川広域消防本部が担当しています。


地元バス会社の新聞折込チラシ
 最近、地元のバス会社のHPや新聞折込チラシを見た複数の市民の皆さんから、渋川消防本部が有料の観光ツアーコースに組み入れられていることに違和感を感じるとして、「行政機関として、特定の一部企業との癒着があるとすれば好ましくないのではないか」との指摘が寄せられました。なぜなら、行政機関としては住民からの信頼が何よりも重要だからです。

 そこで当会は、7月5日付で、地元バス会社と渋川広域消防本部あてに公開質問状を提出しました。その結果、7月12日付で消防本部から回答がありました。


↑渋川広域消防本部(渋川市渋川1815-51)。管内面積288.86km2、職員定数163名、消防署1カ所、分署4カ所。主力機械(2019年4月1日現在)は、救助工作車(救助II型)×1、水槽付消防ポンプ自動車(水I-B型)×3、小型水槽付消防ポンプ自動車(CD-I型)×1(※水850L積載)、梯子付消防ポンプ自動車(24m級)×2、化学消防ポンプ自動車(化学II型)×3(うちA-1級ポンプ搭載×1)、指揮車(支援IV型)×1(※ドローン積載)、災害対応多目的支援車(支援II型)×1、資機材搬送車×1、人員搬送車×1、高規格救急自動車×7、連絡車×9(うち火災調査車1、雪害対策用車1)↑
※渋川広域消防本部組織図 ZIP ⇒ alhgd.zip

 渋川地区広域市町村圏振興整備組合は、定数17人(内訳:渋川市11人、吉岡町3人、榛東村3人の)の組合議会と、執行機関では管理者が渋川市長、副管理者が吉岡町長、榛東村長及び渋川市副市長のうち管理者が指名した者、会計管理者が渋川市の会計管理者、そして監査委員2人で構成されています。

 ちなみに、渋川地区広域市町村圏域は、群馬県のほぼ中央に位置し、北緯36度30分、東経139度付近を軸として、半径12kmの円内にほぼ包含され、中心部を北から南に利根川が貫流し、さらに西側から吾妻川が流れ込み、中心の渋川市でV字状に合流し、圏域内を三分割しています。また、JR東日本の上越線、吾妻線が両河川沿いに走っていて、関越自動車道が南北に縦貫し、3ケ所のインターチェンジが設置されているほか、東西に国道353号線、南北に国道17号線が縦貫し、交通の要所ともいえる場所を構成しています。



■当会が渋川広域消防本部と地元バス会社に送った公開質問書はそれぞれ次のとおりです

*****7/5渋川広域消防本部あて公開質問書*****ZIP ⇒ 20210705alhj.zip
                           令和3年7月5日
〒377-0008 群馬県渋川市渋川1815-51
渋川地区広域市町村圏振興整備組合
渋川広域消防本部消防長 殿

           〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
           市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
           TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
              090-5302-8312(代表・小川)
           FAX: 027-224-6624

           公開質問書
  一部観光企業らとコラボしたバスツアー企画について

拝啓 御庁益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。活動の対象は行政の他、事案によって、公益的な事業を営む第3セクターや企業・団体に及ぶことがあります。
 さて、この度、地元バス会社HPを拝見したところ、「しぶかわ魅力再発見!バスツアー」と銘打って、「再発見1 渋川広域消防本部に潜入!~おもちゃと人形自動車博物館と氷の彫刻アイスワールド~」と題する企画を拝見しました。7月31日(土)・8月8日(日)・8月20日(金)に先着20名を対象に大人3,900円、小学生2,000円の旅行代金(交通費・食事代・入場料・旅行保険料)との内容が記されています。
 このことについて、公務多忙のところ誠に恐縮ですが、以下の質問があります。

【質問1】
 地元バス会社HPの広告(別紙参照)として、貴渋川広域消防本部がツアーコースに組み込まれており、一部観光企業とコラボするかたちで掲載されています。貴渋川広域消防本部では災害出動などがないかぎり、見学が予定されているようですが、貴渋川広域消防本部の施設内での見学とは具体的にどのような内容を想定していますか?

【質問2】
 当日は、一般住民を対象にした消防啓蒙イベント(たとえば出初式の類や、梯子乗りなど古式消防演技、渋消式火災防御戦術デモンストレーションなど)が予定として組み込まれていますか?

【質問3】
 ツアー客が貴消防本部を訪れた際、案内をする職員はどの部署から何名が選任されるのでしょうか?それとも、ツアーの催行会社の添乗員によって案内させるのでしょうか?あるいは自由見学として、誰も案内者は付かないのでしょうか?

【質問4】
 この企画は、貴消防本部からツアー催行会社や他の一部観光企業に持ち掛けたのでしょうか?それともツアー催行会社や他の一部観光企業側から貴消防本部に持ち掛けられたのでしょうか?

【質問5】
 貴消防本部として、これまでに、消防本部見学をツアーコースに含める形で実施したことはありますか?今回が初めてですか?

【質問6】
 このツアー参加者を貴消防本部が受け入れることについて、費用補填や謝礼など、対価として何らかの金品等の授受を伴いますか?

【質問7】
 貴消防本部として、ツアー催行会社の提案ないし申入れを承諾した結果、このような企画が実現したのかどうかは定かではありませんが、貴消防本部側はどなたが、どのような理由や根拠に基づいて承諾の決裁をなさいましたか?

 なお、貴ご回答については、大変勝手ながら、書面で2021年7月16日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                               以上

=====別紙=====

https://kan-etsu.net/publics/index/162/detail=1/b_id=1985/r_id=71/
**********

*****7/5地元バス会社あて公開質問書*****ZIP ⇒
                          令和3年7月5日
〒377-0007 群馬県渋川市石原303-1
関越交通株式会社
観光部(渋川営業所内) 御中

           〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
           市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
           TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
              090-5302-8312(代表・小川)
           FAX: 027-224-6624

           公開質問書
  渋川広域消防本部とコラボしたバスツアー企画について

拝啓 貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。活動の対象は行政の他、事案によって、公益的な事業を営む第3セクターや企業・団体に及ぶことがあります。
 さて、この度、貴社HPを拝見したところ、「しぶかわ魅力再発見!バスツアー」と銘打って、「再発見1 渋川広域消防本部に潜入!~おもちゃと人形自動車博物館と氷の彫刻アイスワールド~」と題する企画を拝見しました。7月31日(土)・8月8日(日)・8月20日(金)に先着20名を対象に大人3,900円、小学生2,000円の旅行代金(交通費・食事代・入場料・旅行保険料)との内容が記されています。
 このことについて、業務多忙のところ誠に恐縮ですが、以下の質問があります。

【質問1】
 貴社HPの広告(別紙参照)として、渋川広域消防本部がツアーコースに組み込まれており、一部観光企業とコラボするかたちで掲載されています。渋川広域消防本部では災害出動などがないかぎり、見学が予定されているようですが、渋川広域消防本部の施設内での見学とは具体的にどのような内容を想定していますか?

【質問2】
 当日は、一般住民を対象にした消防啓蒙イベント(たとえば出初式の類や、梯子乗りなど古式消防演技、渋消式火災防御戦術デモンストレーションなど)が予定として組み込まれていますか?

【質問3】
 ツアー客が消防本部を訪れた際、貴社の職員が案内するのでしょうか?それとも、消防本部の職員が案内するのでしょうか?あるいは共同で案内するのでしょうか?または、自由見学として、誰も案内者は付かないのでしょうか?

【質問4】
 この企画は、貴社から消防本部や他の一部観光企業に持ち掛けたのでしょうか?それとも消防本部側から貴社に持ち掛けられたのでしょうか?

【質問5】
 これまでに、こうした形で消防本部見学をツアーコースに含めた事例はございますか?

【質問6】
 このツアー参加者を消防本部が受け入れることについて、費用補填や謝礼など、対価として何らかの金品等の授受を伴いますか?

【質問7】
 貴社として、自ら提案ないし申入れをし、一部観光企業や消防本部が承諾した結果、このような企画が実現したのかどうかは定かではありませんが、貴社はどなたが、どのような理由や背景に基づいて(たとえばコロナ禍による旅行・観光への影響を打破するためとか、参加者の防災意識の向上の一助とするため、など)、この企画実行の決定をされましたか?

 なお、貴ご回答については、大変勝手ながら、書面で2021年7月16日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
以上

=====別紙=====

https://kan-etsu.net/publics/index/162/detail=1/b_id=1985/r_id=71/
**********

■回答期限を7月16日(金)としておりましたところ、7月12日に渋川広域消防本部から普通郵便で回答書が当会事務局あてに郵送されてきました。

*****7/12渋川広域消防本部からの回答*****ZIP ⇒ 20210713ah.zip

                      渋広消総第40号
                      令和3年7月12日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様

                   渋 川 広 域 消 防 本 部
                   消防長 石 坂 勝 義
                         (公印省略)

   公開質問書の回答について(回答)

 拝復、貴団体におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 また、平素から消防行政につきまして、ご理解ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、この度、公開質問書によりいただいたご質問について、下記のとおり回答させていただきます。
 つきましては、本バスツアーは、新型コロナウイルスの影響が不安視させるなか、長期化するウィズコロナ期において、観光産業が生き残っていくための1つの方法として渋川市と渋川伊香保温泉観光協会が連携して行っている「マイクロツーリズム推進モニターバスツアー」事業であることをご理解いただければ幸いです。

                 記

1 【質問1】の回答について
 (1)スライドにて、消防本部・消防署の組織の紹介及び仕事内容の説明。
 (2)消防車両の見学にて、資機材の説明では、どんな時に使うか説明し、火災予防及び事故防止の消防広報を実施する。
 (3)防火水槽・消火栓は見学、説明を行い緊急時使用するものであり、防火水槽消火栓のそばに車を止めないお願いなどの消防広報を実施する。

2 【質問2】の回答について
  現時点では、1のとおり実施予定ですが、時間に余裕があれば、日頃行っている訓練を展示する場合もあります。

3 【質問3】の回答について
  消防署所属の職員1~2名にて、案内及び説明を実施する予定です。

4 【質問4】の回答について
  観光業者から依頼されたものですが、依頼時に渋川市と渋川伊香保温泉観光協会の事業であることの説明を受けております。

5 【質問5】の回答について
  消防本部として実施したことはありません。

6 【質問6】の回答について
  金品等の授受はありません。

7 【質問7】の回答について
  本バスツアーの趣旨を理解したうえで、広く住民へ火災予防広報の啓発活動等を行うことができる場として承諾しました。

               〒3777-0088 渋川市渋川1815-15
               渋川広域消防本部 総務課
               担当:企画消防係長 石田正外
               TEL 0279-25-4191 Fax 0279-20-1203
**********

■これでは質疑応答のポイントがよくわかりませんので、質問と回答を対比させて並べてみました。

**********
【質問1】
 地元バス会社HPの広告(別紙参照)として、貴渋川広域消防本部がツアーコースに組み込まれており、一部観光企業とコラボするかたちで掲載されています。貴渋川広域消防本部では災害出動などがないかぎり、見学が予定されているようですが、貴渋川広域消防本部の施設内での見学とは具体的にどのような内容を想定していますか?

【回答1】
(1)スライドにて、消防本部・消防署の組織の紹介及び仕事内容の説明。
(2)消防車両の見学にて、資機材の説明では、どんな時に使うか説明し、火災予防及び事故防止の消防広報を実施する。
(3)防火水槽・消火栓は見学、説明を行い緊急時使用するものであり、防火水槽消火栓のそばに車を止めないお願いなどの消防広報を実施する。


【質問2】
 当日は、一般住民を対象にした消防啓蒙イベント(たとえば出初式の類や、梯子乗りなど古式消防演技、渋消式火災防御戦術デモンストレーションなど)が予定として組み込まれていますか?

【回答2】
 現時点では、1のとおり実施予定ですが、時間に余裕があれば、日頃行っている訓練を展示する場合もあります。


【質問3】
 ツアー客が貴消防本部を訪れた際、案内をする職員はどの部署から何名が選任されるのでしょうか?それとも、ツアーの催行会社の添乗員によって案内させるのでしょうか?あるいは自由見学として、誰も案内者は付かないのでしょうか?

【回答3】
 消防署所属の職員1~2名にて、案内及び説明を実施する予定です。


【質問4】
 この企画は、貴消防本部からツアー催行会社や他の一部観光企業に持ち掛けたのでしょうか?それともツアー催行会社や他の一部観光企業側から貴消防本部に持ち掛けられたのでしょうか?

【回答4】
 観光業者から依頼されたものですが、依頼時に渋川市と渋川伊香保温泉観光協会の事業であることの説明を受けております。


【質問5】
 貴消防本部として、これまでに、消防本部見学をツアーコースに含める形で実施したことはありますか?今回が初めてですか?

【回答5】
 消防本部として実施したことはありません。


【質問6】
 このツアー参加者を貴消防本部が受け入れることについて、費用補填や謝礼など、対価として何らかの金品等の授受を伴いますか?

【回答6】
 金品等の授受はありません。


【質問7】
 貴消防本部として、ツアー催行会社の提案ないし申入れを承諾した結果、このような企画が実現したのかどうかは定かではありませんが、貴消防本部側はどなたが、どのような理由や根拠に基づいて承諾の決裁をなさいましたか?

【回答7】
 本バスツアーの趣旨を理解したうえで、広く住民へ火災予防広報の啓発活動等を行うことができる場として承諾しました。

**********

■ところで地元バス会社あてに出した公開質問書の回答期限の7月16日(金)も間もなく迫っています。それまで待機したいと思います。

【7月17日追記】
 地元バス会社から7月16日午後にFAXで回答が当会事務局に送信されました。原本は郵送で送れらることになります。内容について、渋川広域消防本部からの回答と整合性がとれておりますが、コロナ禍でのソーシャル・ワークの重要性の観点から、マイクロツーリズムの対象として消防本部のほかにも、今後、警察、浄水場や、一般ごみ処理施設などもツアーコースに組み込むことが検討されてしかるべきかと、感じた次第です。
 なお、当会の質問書に対して、無視を決め込む企業・法人があるなかで、きちんと当会に対して誠実に回答していただいた地元バス会社の対応を率直に評価し感謝いたします。

*****FAX送付状*****ZIP ⇒ 20210716zfax.zip
21-07-15;15:38 ;関越交通(株)渋川営業所   :0279-24-5116  #1/4

     FAX送信のご案内
宛先:会社名:市民オンブズマン群馬
   部署名:
   担当者:小川
   郵 便:
   住 所:
   電 話:027-224-8567  FAX:027-224-6624  携帯:
発信:会社名:関越交通株式会社
   部署名:観光部
   発信者:若木 亮
   URL:http://www.kan-etsu.net
   Mail : wakakir@kan-etsu.net
   郵 便:〒377-0007
   住 所:群馬県渋川市石原字田中303-l
   電 話:0279-20-l900  FAX:0279-24-5116  携帯:
枚数:この用紙の他に3枚あります。
発信日時:令和3年7月15日
□至急 ■要連絡 ■要確認 □要回答 □報告 □お知らせ □重要
件名 公開質問害に対する回答について

平素は大変お世話になります。
7月5日付け貴団体からの公開質問書について添付のとおりご回答申し上げます。本通は、本日郵送いたしますが、明日の配送に間に合うかわかりませんので取り急ぎFAXにて送信いたします。
ご査収の程よろしくお願い申し上げます。

*****回答*****ZIP ⇒ 20210716zfax.zip
                      2021年7月15日
市民オンプズマン群馬
代表 小川 賢  殿

                 関越交通株式会社 観光部
                 渋川市石原字田中303-1
                 TEL 0279-20-1900
                 担当 副部長 若木 亮

        公開質問書に対する回答について

 標記について、2021年7月5日付け貴団体からの公開質問書について下記の通りご回答申し上げます。
               記

質問1
 貴社HPの広告(別紙参照)として、渋川広域消防本部がツアーコースに組み込まれており、一部観光企業とコラポするかたちで掲載されています。渋川広域消防本部では 災害出動がないかぎり、見学が予定されているようですが、渋川消防本部の施設内での見学とは具体的にどのような内容を想定していますか?
 同答
 渋川広域消防本部・消防署の組織紹介、仕事内容の説明、消防車両・資機材の説明です。


質問2
 当日は、一般住民を対象にした消防啓蒙イペント(たとえば出初式の類や、梯子乗りなど古式消防演技、渋消式火災防御戦術デモンストレーションなど)が予定として組み込まれていますか?
 回答
 時間が取れれば、日頃行っている訓練を見学できる予定です。


質問3
 ツアー客が消防本部を訪れた際、貴社の職員が案内するのでしょうか?それとも消防本部の職貝が案内するのでしょうか?あるいは共同で案内するのでしょうか?または自由見学として、誰も案内者は付かないのでしょうか?
 回答
 庁舎内の案内は、渋川広域消防本部の職員が行います。弊社職員はお客様の安全確保のため随行致します。


質問4
 この企画は、賀社から消防本部や他の一部観光企業に持ち掛けたのでしょうか?それとも消防本部側から貴社に持ち掛けられたのでしょうか?
 回答
 当該ツアーは渋川市マイクロツーリズム推巡モニクーパスツアー催行業務として一般社団法人渋川伊香保観光協会から業務委託を受け、弊社が旅行企画、旅行業務(募集、受付、手配等)を実施し、市内バス事業者3社にて運行するものです。
 よって募集型企画旅行商品として、弊社から持ち掛けた企画となります。


質問5
 これまでに、こうした形で消防本部見学をツアーコースに含めた事例はございますか?
 回答
 今回が初めてです。


質問6
 このツアー参加者を消防本部が受け入れることについて、費用補填や謝礼など対価として何らかの金品等の授受を伴いますか?
 回答
 見学に対する費用補填および謝礼の授受はございません。


質問7
 貴社として、自ら提案ないし申入れをし、一部観光企業や消防本部が承諾した結果、このような企画が実現したのかどうかは定かではありませんが、貴社はどなたが、どのような理由や背景に基づいて(たとえばコロナ禍による旅行・観光への影響を打破するためとか、参加者の防災意識向上の一助とするため、など)この企画実行の決定をされましたか?
 回答
 新型コロナウィルスの影響が不安視されるなか、観光産業が生き残る方法の一つとして提唱されている「マイクロツーリズム」の構築に向け、市内および広域町村の観光資源の再発見と磨き上げを行い「渋川市版マイクロツーリズム」の構策と観光産業の活性化を図ることが目的となっております。
 渋川広域梢防本部は、地域の消防、救急の要として日々地域住民の安心安全の為従事されております。一方で昨今の異常気象等により地域住民の防災意識は高まっていると考え、親子で消防を身近に感じてもらうこと、また、防災意識向上のきっかけとなれば との思いで弊社観光部職員が企画提案いたしました。
 当該企画について、渋川市広域消防本部へご相談したところ、災害等で緊急時には見学は中止となることを条件にお引き受け頂いたことから、見学施設として決定致しました。

**********

【7月17日追記】
 関越交通から当会事務局あてに郵送で送られてきた回答書↓
ZIP ⇒ 20210715z.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報「渋川広域消防本部に係る会計処理等不祥事の事実関係解明の経緯」
■渋川広域消防本部を巡っては、以前から問題が指摘されており、3年前の2018年12月20日にも事実関係を確かめようと渋川市長に情報開示請求をしたことがあります。このときは、内部通報が発端でした。
 それによれば、同本部の中間管理職以上の本部職員の不正及び隠蔽疑念、職員間での摩擦やパワハラ、徹底的な虐めや不当な異動、それらが起因する精神疾患や依願退職などの実態でした。
 そこで当会は、渋川広域消防本部にかかる次の情報を開示請求しました。
1 過去3年間(平成28年1月から現在まで)渋消式火災防ぎょ戦術勉強会において公務にも関らず会費等の収支書、領収書や金銭の流れのわかる通帳等が一切無い事が事実かどうかが分かる情報
2 この事についての監査担当者の氏名とその所属部署。
3 過去3年間の渋消式火災防御戦術に関する講演活動及び東日本大震災援助隊以降の講演活動の、旅費及び宿泊費等の領収書や資料等の情報とそれらの監査情報。
4 過去3年間の渋川広域消防の編著、監修した書籍販売に関する収支等の情報。
5 過去3年間のパワハラ、セクハラ、モラハラに関する職員からの報告事例と、消防本部の対応がわかる情報
6 平成30年12月4日に報道された渋川広域消防署西分署所属の職員の飲酒運転による書類送検の発表について、なぜ発表までに2ヶ月遅延したのか、また、飲酒運転にも拘らず停職3か月の懲戒処分について、その処分の重みの妥当性の理由がわかる情報。
7 組合職員による飲食店での代金踏み倒し事件の事実関係が分かる情報。

 このほか、「渋川広域消防の報道機関・ブロガーとの内容説明裁判の内容と結果」、「中間管理職のパワハラ、暴言、会議中の怒声の実態」、「前消防長時代からの内部告発に対する数回にわたる隠蔽と放置」なども問題視されましたが、これらは情報開示請求になじまないため、請求から除外しました。
 その結果、2019年1月22日部分開示されましたが、開示されたのは一部の文書のみで、内容を解析し真相を解明するまでには至らず、当会としてその後の追及を断念した経緯があります。
 当時、開示された資料は下記のとおりです。
○講師派遣申請記録 ZIP ⇒ l.zip
l.zip
l.zip
l.zip
○渋消式火災防ぎょ戦術出版契約書と出版本の表紙・目次 ZIP ⇒ ahpo_.zip
○酒気帯び運転処分通知書 ZIP ⇒ cm.zip
 渋川広域消防本部が編み出した「渋消式火災防ぎょ戦術」が全国の消防関係者の間で話題となり、各地の勉強会や講演会に引っ張りだこだった様子がうかがえます。内部通報はこうした派遣に伴う依頼元からの出張経費や謝礼の負担がきちんと経理上に反映されていないとの指摘でしたが、残念ながら当時、深く真相を究明するに至りませんでした。
(市民オンブズマン群馬)
**********消防訓練・勉強会2015年12月14日
渋消式火災防ぎょ戦術勉強会[群馬県]

 去る平成27年12月12日(土)~13日(日)の2日間にわたり、群馬県消防学校において渋消式火災防ぎょ戦術勉強会が実施された。
 この勉強会は群馬県・渋川広域消防本部が主催するもので、同本部が研究の末に生み出した渋消式火災防ぎょ戦術を学ぶという、全国でも珍しい消火技術に焦点をあてた数少ない勉強会である。
 消防専門誌での紹介やガイドブックが発刊されたことで、いわゆる「渋消式」は全国から注目される存在となっている。そうした中、同本部では全国の消防本部からの問い合わせに対し、個別受託研修を行って対応している。そして、同時に消防職員個人からの問い合わせや、自己研鑽の場を求める声も多い。これに応える形で、同じ志の者が集結して共に学ぶ場として「渋消式火災防ぎょ戦術勉強会」を年1回開催している。
 3回目となる今回は、北は青森南は沖縄まで全国70消防本部から132名の消防職員が参加。従来は同本部施設で実施されていたが、参加者が増加したことから今回は群馬県消防学校を舞台に実施されることとなった。

★唯一無二の渋消式★
 この勉強会は、単純に火災防ぎょ戦術という手技を学ぶのではなく、消防力の整備指針や、それに基づく一般住宅火災の対応全般について、同本部が研究した内容などを集まった消防職員と一緒に学ぼうというのが基本スタンス。つまり、消防の基幹活動といえる火災防ぎょに関して多角的に学べるのが特徴であり、国内でもあまり行われていない取り組みといえる。
 もちろん、手技としての渋消式火災防ぎょ戦術についても注目度が高い。
 渋川広域消防式火災防ぎょ戦術(略称・渋消式)と名付けられたこの新戦術は、わずか13~14名という限られたマンパワーで、いかにして素早く筒先配備を行うかという点を大きなテーマとしている。
 呼称40㎜のホースをベースとして耐火造建物に対して積極的な内部進入を行い迅速に火点を叩く「ヨンマル戦術」など、近年注目される火災防ぎょ戦術は「筒先側の動き」を中心に考えられているものが一般的なのに対し、いわゆる渋消式はその前段階、「指令から筒先配備までの間についての動きを最適化する」という発想で考えられている。さらに、既存の方法論や技術文献などを鵜呑みにすることなく、置かれた環境、車両、装備、人員、体制といったものを踏まえ、トライアル・アンド・エラーを繰り返し、その結果として生まれた戦術であるため、手技の一つひとつに至るまで「なぜそれが最適と判断したのか」という点が容易に理解できるのもポイントだ。

実技訓練は3グループに別れ、それぞれのブースで技術を体験する。訓練に先立って行われる説明を、記録をとりながら聞き入る参加者たち。

後部に吸管を収納した、いわゆるリア吸管仕様の車両。ロックを解除し吸管を担ぎ上げる。

吸管収納を容易にするひと工夫。吸管にビニールテープでマーキングを施し、ロック部分に収まる位置を明示している。

オールシャッター式の車両で、車体中央のポンプ室部分に吸管が収納されているセンター吸管仕様における伸長要領体験。
★目からウロコの連続!★
 勉強会は1日目の座学において消防力の整備指針、消防水利の基準などのおさらいが行われる。消防人にとって「いまさら聞けない」といえる基礎知識の部分だが、だからこそ奥も深く、改めて読み解いていくと多くの発見がある。
 消防力の整備指針における署所の設置基準数は「隣棟間隔が1~5mの火災では出動~放水開始が6.5分を超えると隣棟への延焼率が急に高くなる」というデータに基づく。そこから逆算していくと、出動から現地到着までを4.5分以内、放水準備から放水開始までを2分に抑えるというのが理想値になる。また、最先着隊による2口以上の放水が高い消火効果を得ているというデータもある。
 ならば、どうすればこの理想値に近づくことが出来るのかという発想で、渋消式の研究は始まっている。
 こうした経緯や考え方を知るということも、参加者にとっては大きな収穫なのだ。
 「渋川と自分の所属が守るエリアでは、地域環境も消防体制も異なる。この戦術をそのまま自分の本部に取り入れることは難しい。だが、全ての要素について、考え方について参考に出来る部分がある」
 失敗談といった経験も包み隠さず語られるのがこの勉強会。だからこそ、知識や手技そのものだけでなく、着目点や改善のためのアプローチ方法など、広い範囲にわたって発見が出来るのである。

勉強会では初披露となった前だしの実演展示。ヨリを解除しながら迅速に、そして華麗に吸管を延ばす。

吸管伸長要領の体験。単純な動作に思えても、簡単にはいかない。
★ひたすら延ばす★
 救助系や救急系の勉強会であれば、想定訓練を軸とした実技訓練がつきものだ。一方の渋消式火災防ぎょ戦術勉強会では、火点に向かっての放水といった想定訓練は行われず、ホースバッグによるホース延長や、吸管伸長といった部分を中心に行われる。
 渋消式のテーマは「6.5分以内の2口設定」の実現だ。そのためのキモになるのが、迅速な吸管伸長やホース延長なのである。したがって、勉強会2日目の実技訓練においても、これら技術を集中して学ぶのである。
 参加者は3グループに別れ、それぞれのブースで時間の限りこれら技術を体験する。
★「ナイス延長!」★
訓練に集中すると、どうしても声が出なくなる。確認呼称をしやすい雰囲気作りとして、運営側の渋川広域消防本部スタッフは大きな声かけで場の雰囲気を盛り上げる。いつしか参加者同士が互いに声援を掛け合い、実施時にはしっかりと確認呼称の声が出せる。ちなみに、渋川広域消防本部では指導者にあえて若手を充てている。教えることで自ら学ぶ機会を与えているのだ。

 渋消式は常に進化を続けている。したがって、勉強会の度に新要素に触れることができる。第3回の勉強会では、吸管伸長に「センター吸管車両における前出し」という要素が加わった。渋消式ではこれまで、車両中央のポンプ室に吸管を収納した車両において、吸管を車両後方へ伸長する方法が研究されていた。そして、次のステップとして、車両前方へ、1名で迅速に伸長する方法が編み出され、今回の勉強会で紹介された。
 止まるところを知らぬ渋消式。ゆえに、何度参加しても新しい発見があるということなのだ。
 ほかにも、渋川広域消防本部では日常の業務や現場活動を改善する大小さまざまなスゴ技を多く生み出している。こうした細部について説明を受けるだけでも、非常に勉強になるのだ。
 勉強会の最後には、参加者たちの中から選抜された隊員により、ホースバッグによる2線4口延長と一斉放水が行われ、充実した2日間を締めくくった。
 渋川広域消防本部では全国の消防職員と共に学ぶ中で、さらに学びを深め、今後も「渋消式」を育てていくことにしている。

勉強会の最後は、参加者たちの中から選抜された隊員によりホースバッグによる2線4口延長が行われた。

一斉放水。実火災ではこの筒先で火点を包囲する。
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IoT時代到来に伴う電磁波障害者への対応を問うため楽天モバイルに申入書提出

2021-06-26 22:53:00 | オンブズマン活動
■今、盛んに「5G」という言葉が取りざたされています。これは第5世代という意味で、戦闘機、暗視スコープ、ビデオカメラなどの軍事や映像分野でも使われますが、本稿では移動通信システムについて考えてみます。5G、つまり、第5世代無線通信システムを導入すると、超高速・大容量の通信が可能になり、約2時間の映画を僅か3秒でスマートフォンに取り込めたり、 ロボット等の精緻な操作をリアルタイム通信で実現できたり、スマホやPCをはじめ、身の回りのあらゆる機器がネットに接続できるようになり、自動車自動運転化や4K/8Kの導入が可能になり、さまざまなモノがネットにつながるIoT化が加速するなど、言いことづくしのような印象です。

 5Gに使われる電磁波は、ミリ波と呼ばれる非常に高い周波数の電波で、直進性が強く、エネルギーも高く、金属などの障害物に当たると反射する性質があります。そのために電波等の影になる鉄筋の建物の中には電波が入りにくくなります。そこでSub-6とよばれる6GHz帯未満の電波を併用します。ミリ波と比べると、Sub-6は遮蔽物や雨に強いという特徴があるからです。

 ただし、それでも遮蔽物に弱いという特性は克服できないため、ミリ波で5Gエリアを広げようとすると、従来よりも非常に多くの基地局を設置しなければなりません。このため、5Gの普及を目指して基地局があちこちで林立し始めています。


2020年4月1日から楽天モバイルが都内で運用を開始した5G基地局。同社がNECと開発したSub-6用アンテナ(右)と設置中のmmW用アンテナ(左)

■こうした中で、令和3年4月16日、前橋市は国(内閣府地方創生推進事務局国家戦略特区担当スーパーシティ班)に、スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募へ提案書を提出しました。

 この「スーパーシティ」構想というのは、医療や交通、教育、行政手続きなど、生活全般にまたがる複数の分野で、AI(人工知能)などを活用した最先端のサービスを導入することにより、便利で暮らしやすいまちを実現していく、というものです。

 そしてこの構想のもとに、前橋市は、デジタル最先端技術等を活用した「スーパーシティ」の実現により、日常の負担となっていることを軽減することで、日々の暮らしにゆとりが生まれ、そのゆとりで、豊かな自然、歴史文化に触れ、食や文化を楽しみ、自分らしく生き生きとした生活を送る「スローシティ」の構想を目指すとしています。しかし、スマートシティには5Gが必須となります。

■前述のとおり、5Gで使われる電波(電磁波)は高エネルギー・高周波であり、人体に対して熱作用を及ぼす可能性が指摘れされていますが、それ以外の影響についてはまだ未知の部分もあり、安全性が証明されているとはいえません。

 また、コロナワクチン接種によるアレルギーなどの副反応を起こす例があるのと同様に、電磁波過敏症の体質を持つ人が存在することも事実です。

 当会会員においても、そうした体質をお持ちの方がおり、日常生活でもいろいろな場面で電磁波障害に悩まされているとの報告がありましたので、ご紹介します。

■群馬県伊勢崎市内在住のAさん(61歳・女性)は電磁波過敏症ですが、昨年来、体調不良の原因が分からないでいた矢先、自宅近くに、楽天モバイルが基地局を建設したことを知ったのは2020年10月20日ごろでした。

 さっそく楽天モバイルに善処を求めたところ、同年10月27日に、楽天モバイルのS氏から電話が有り「楽天のせいで体調が悪いのであれば、客観的な証拠となる診断書を出してほしい。稼働していないのに楽天のせいだというのか?」と問われたAさんは「楽天は電磁波過敏症を病気と認めますか」と逆に質問しました。

 すると、楽天モバイルのS氏は沈黙してしまいました。

 そこでAさんは、S氏の上司のM氏に電話をしました。するとM氏は「楽天のせいで体調が悪いのであれば、客観的な証拠となる診断書を出してほしい。(最寄りの基地局が)稼働していないのに楽天のせいだというのか」と述べたうえで、「(部下の)Sが言ったことを文書にするかどうか、会社で話し合い電話をする」とし、さらにAさんに「要望書を出してほしい」と言ったものの、要望書の宛先や住所等はもとより書式についてAさんが尋ねても返事はありませんでした。

■2020年11月26日に、Aさんは2017年7月に電磁波過敏症を発症して以来、受診しているかかり付けの医院の医師に相談しました。するとその医師は「カルテに化学物質過敏症と書いていない」(当会注:電磁波過敏症は病名リストに載っておらず、リストにある化学物質過敏症の付随的な症状として記載されているため)と述べて、「診断書を携帯会社に出せば嫌がらせを受ける。家族が総務省から圧力を受けかねない」などとして、診断書の発行を拒否されてしまいました。

 その後、同年11月29日にAさんは楽天モバイルに内容証明郵便で善処を求めました。

 すると同年12月11日にM氏から「Sの言ったことは文書にしない。内容証明郵便に対しても文書で回答しない」と言ってきました。

 Aさんは納得できず、同年12月30日及び2021年1月10日に楽天モバイルに対して、2回目と3回目の内容証明郵便を送りました。さらに、かかり付けの医者がビビッて診断書を書いてくれないため、医師免許を持つ親族が書いた診断書を同年2月12日に楽天モバイルに提出し、同3月5日には、基地局撤去の要請を求める近隣住民172人やAさんの知人・友人ら312名の署名簿を楽天モバイルに提出しました。

■さらに同3月19日に、Aさんが楽天モバイルに電話をしたところ、同社T氏は「基地局が稼働していないと誰が言ったのか」と訊いてきたので、Aさんは「S氏とM氏です」と答えました。

 同4月1日に楽天モバイルからAさんに電話がありました。同社M氏は「家族の書いた診断書ではなく、第三者が書いた診断書を出してほしい。内容も楽天モバイルの基地局のせいで、具体的にこれこれの症状が出たと書いてほしい」というので、Aさんは「診断書は家族の関係でも足りるはずです。基地局の稼働について、M氏とS氏は稼働していないと言ったが、稼働していたのでしょうか」と質問しました。

 するとM氏はこの質問に答えず「診断書は第三者に書いてもらってほしい」の一点張りでした。Aさんは「あなた(M氏)が言ったことを文書にしてほしい」と申し入れました。

 その後、4月16日にM氏から電話があり、「文書は出せない」と連絡してきました。

 Aさんは、5月18日に、楽天モバイル以外の大手携帯3社に、楽天モバイルに提出した診断書の写しを同封して、診断書の取扱いについて各社の見解を問い合わせました。すると、5月31日付で携帯会社から「電磁波過敏症ということでお見舞い申し上げます」との内容の返事が郵送されてきました。家族の書いた診断書を有効と判断する携帯会社もありました。また、Aさんが相談した電磁波問題の専門家も「家族の書いた診断書を認めないのは不当だ。これまで聞いたことがない」とコメントしました。

■4月17日以降、楽天モバイル側からなんの応答もないため、Aさんからの要請を受けて当会は6月22日付で次の内容の申入書を楽天モバイル宛に特手記録郵便で提出しました。7月2日必着で楽天モバイルの見解を書面で求める内容としています。

*****6/22申入書*****ZIP ⇒ 20210622_rakuten_mobile_heno_mousiiresho.zip
                            令和3年6月22日
〒375-8601 東京都世田谷区玉川一丁目14番1号
楽天モバイル株式会社
代表取締役社長 山田善久 様
電話:050-5432-2890(楽天モバイル基地局設置)

         〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
         市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
         TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
            090-5302-8312(代表・小川)
         FAX: 027-224-6624

            申 入 書
 群馬県伊勢崎市太田町にある貴社基地局の撤去について

拝啓 貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。活動の対象は行政の他、事案によって、公益的な事業を営む第3セクターや企業・団体に及ぶことがあります。
 さて、当会に寄せられた情報によりますと、群馬県伊勢崎市に在住されている電磁波過敏症の■■■■様は、自宅近くに貴社が設置した携帯電話基地局による心身への影響が極めて深刻なため、同基地局の撤去を、令和2年10月から貴社に求めています。
 ■■■■様は、多数の署名を集めて、診断書を添えて貴社に提出していますが、貴社から誠意ある対応が未だにいただけておりません。
 当会は、住民の安心・安全な生活環境の保全を最優先とする観点から、貴社に、当該基地局の撤去を強く要請致します。
 また、このことについて、貴社の対応方針、およびその理由や根拠について貴社の見解をお聞かせくださるようお願いします。
 なお、貴ご回答については、大変勝手ながら、書面で2021年7月2日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                         以上
**********

■電磁波の問題は、コロナ禍対策のワクチン接種の場合に想定される感染リスクと副作用リスクの比較考量と異なり、公益事業であるだけに、事業者や認可機関には、電磁波過敏症の人たちへの配慮が求められます。

 楽天モバイルがこうした症状に悩む人たちのことをどのようにとらえているのかどうか、対応が注目されます。

■新聞などメディアでは、毎日のようにデジタルに関わる言葉を目にします。デジタル庁、スマートシティ、GIGAスクール、5G、AI……。これらを見ていると、世の中が「デジタル化社会」に向かって加速していることを実感させられます。

 しかし、社会には電磁波を発生するものに対して、頭痛やめまい、吐き気、動悸、胸の圧迫感などのさまざまな症状を呈する方々がいます。そのため、Aさんのように、スマートフォンやパソコン、テレビ、炊飯器などが使えなくなり、電線の下や携帯電話基地局の近くにいられない人たちが、不自由な生活を強いられているのです。

 Aさんの場合、症状の改善に努めていますが、発症から約4年が経過した現在も、ほとんど変化は見られません。

 Aさんのように電磁波に何らかの体調不良を示す人たちは、人口の2~10%いることが疫学調査や研究で判明しているとの報告もあります。また、子どもについては、頭蓋骨が薄く、免疫も未発達のために電磁波の影響を受けやすいとする考えも提唱されています。

 デジタル化社会は私たちの生活に便宜をもたらす面は確かにあるでしょう。しかし、その構築には電磁波の発生が付きまといます。政府や行政、そして事業者には、デジタル化社会の実現促進ばかりでなく、人体になんらかの影響を与える電磁波から住民の健康を守るための手法や技術開発も疎かにしてほしくありません。

■楽天グループのHPには「1997年の創業時より、イノベーションの力を信じ、大切にしてきました。今も、『イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする』という想いのもと、『グローバル イノベーション カンパニー』であり続けることを目指し、様々なビジネスを展開しています。」と自らを紹介しています。

 楽天グループとして、高速通信を核としたビジネスを今後も展開してゆくのであれば、電磁波障害で苦しむユーザーのことを楽観的に考えるのではなく、「楽天」の由来となった戦国時代の織田信長や豊臣秀吉など各地の戦国大名により行われた経済政策「楽市楽座」と明るく前向きな様を表す「楽天」の趣旨を重視して、誰にでもメリットのあるイノベーションを実践してもらいたいものです。

【7月12日追記】
 楽天モバイルからの回答期限日から1週間以上が経過しましたが、結局、なにも同社から応答が得られませんでした。当会のブログ記事を楽天モバイル社が閲覧していることは確認できましたので、ダンマリを決め込んでいても、反応を気にしている風情はあるようです。
 楽天モバイルの企業としてのCSR体質は所詮この程度であることが分かったのは収穫でしたが、今後、当会会員の電磁波過敏症に悩む親族の方の苦難と苦痛を思うと、暗澹たる気持ちです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報「Aさんの直面する問題を報じた記事」
**********日刊ゲンダイ2021年05月17日06:00
5Gスマホ戦争の盲点 基地局新設で電磁波過敏症の症状が…

運転中も電磁波シールドが欠かせない(提供写真)
体調悪化の原因は新設の「基地局」だった
 大通りに面した民家の駐車場に、先端にアンテナのついた、高さ7~8メートルほどの鉄塔が、天に向かって伸びている。基地局という。スマホや携帯電話と交換局とを結ぶ、電波の中継施設だ。
 群馬県某市――。
 付近に住む主婦のA子さん(61)が語る。
「去年の10月20日ごろに発見しました。少し前から頭痛や息苦しさ、胸の圧迫感など体調がすごく悪かったのですが、あれが原因だったようです」
 というのにはワケがある。学校教員だった彼女は、めまいに悩まされた末、定年を待たずに退職した。パソコン仕事がつらかったためだが、代わりに始めたパート先で電子レンジを使ったところ、「ヤリの束が頭にザーッと降ってきたみたいな、強烈な頭痛に襲われて。以来、パソコンやスマホはもちろん、テレビの画面さえ見られません。家の照明は部屋の端に移しました。外でも電線の下がダメなので、ヘルメットと電磁波シールドが欠かせないんです」。
 いわゆる電磁波過敏症(EHS)の症状が一気に噴き出した。それでも一軒家でひっそり暮らしていれば、一定の体調を保てもしたが、新しい基地局は直線距離で約130メートルの地点にあった。
 A子さんの夫は現役の保健所医師である。苦しむ妻を見かねた彼は駐車場の地主に相談。すると翌々日、基地局の主の側から電話がかかってきた。
 楽天モバイル。三木谷浩史氏率いる楽天グループの移動体通信部門だ。
 A子さんの話。
「専門家のSと名乗る男性が、その距離なら電磁波の影響はないはずだと断じました。それでも基地局のせいだと言うなら、医師の診断書を出せ、と」
■楽天モバイルは回答拒否
 実はA子さん夫妻と楽天との交渉は、半年以上も前のこの時点から、一歩も進んでいない。診断書はかかりつけの医師に、「楽天の嫌がらせや総務省の圧力が怖い」という、奇妙な理由で断られた。当初は好意的だった地主さんの態度が一変した。
 だが、このままでは生活できなくなる。次回で述べるように、電磁波による健康被害は過敏症でない人にも起こり得る。A子さんは三木谷氏やモバイルの社長宛てに、合理的な配慮を求める内容証明を送った。基地局から300メートルの範囲で撤去を求める署名活動を行い、この2月に169筆、3月には13筆を集めた。他に友人・知人らの272筆(2月)と40筆(3月)も。診断書は夫が医師として書いてくれた。
 だが一切が顧みられない。文書による回答さえ拒否されたままでいる。

「基地局」は7、8メートルの鉄塔の先端にアンテナ(提供写真)
日本は基地局の電波の安全基準が極端に甘い
 デジタル改革関連法案が、12日成立した。このままだと私たちは近い将来、わずかな利便性と引き換えに、監視社会の囚人となる。政府と巨大IT資本に支配されるだけの客体におとしめられていく。
 と同時に、電磁波過敏症(EHS)の人だけでなく、多くの人々の健康に悪影響があるのではないか。デジタル化で電波があふれ、高速で大容量の5G(第5世代移動通信システム)が広がれば何もない方が不思議だ。
 環境NGO「電磁波問題市民研究会」の大久保貞利事務局長が語る。
■諸外国では重大な環境問題
「電磁波はヨーロッパなど諸外国では重大な環境問題です。EUによる2007年の公式意識調査では、健康への影響を心配している人が76%を占めました。実際、その4年前にはフランスの国立応用科学研究所が、基地局周辺に住む530人を調べて、300メートル以内だと体調不良を訴える人が多いとする疫学研究を発表しているんです」
 特にEHSを対象にした調査ではない。それでも吐き気や食欲不振、視覚障害、かんしゃく、うつ症状、性欲減退、頭痛、睡眠障害など、多様な症状が報告された。これとは別に、精子への影響や自閉症、白血病との関連を示す研究もあるそうだ。
 あるいは、インドの最高裁が2017年に基地局の撤去を命じる判決を出している。他国に先駆けて5Gの商用化を実現したスイスも、昨年2月にその基地局の全面一時停止を決めた。安全基準策定のための調査が必要というのが理由だ。
「野放しなのは米国と日本くらいなもの。日本は基地局の電波を法的に規制する電波防護指針値が極端に甘い。諸外国とは比べものになりません」
 電磁波の問題は難しい。どれほど重い症状があり、疫学的には因果関係があると考えられても、少なくとも現状では病理学的に証明できないからだ。
 たばこの受動喫煙にも酷似した特徴だが、扱われ方は対極にある。日本では今や、たばこが絶対悪なのに、スマホは神様なのが興味深い。うかつに電磁波被害を語ると“電波系”の烙印を押されかねないゆえんである。
 とまれ、WHO(世界保健機関)は05年に公表した「ファクトシート」でEHSの用語を用い、彼らの日常生活に支障をきたす症状群を「確かに存在する」と認めている。電磁波との因果関係に「科学的根拠はない」とも述べているが、それは現状での話。
 時代は移りゆく。幾多の公害病も、当初は存在しないことにされていた。

1月、新携帯電話料金を発表する楽天の三木谷浩史会長兼社長(C)日刊ゲンダイ
楽天モバイルには誠実に対応しなければならない道理がある
 電磁波による健康被害や恐れを理由に基地局の撤去や建設中止を求める訴訟は、これまで幾度も提起されているが、原告側が勝訴した例はない。この国の司法は政府の意向に従うだけだから、と環境NGO「電磁波問題市民研究会」の大久保貞利事務局長は語る。
「法廷よりも、住民パワーを結集した運動で闘うべき。そうやって基地局の被害を食い止めた事例が、全国にはすでに約280件もあります」
 電磁波過敏症(EHS)に苦しむ住民には、2016年に施行された障害者差別解消法も味方になってくれるはずだ。役所や事業者は、障害のある人に「合理的な配慮」をすることと定めた法律で、障害者権利条約が提示した「障害の社会モデル」を基調としている。
 そこで内閣府の障害者施策担当官にEHSの場合を確認すると、「障害および社会的障壁により、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあれば、化学物質過敏症などと同様に、法の対象となり得ます」。とすれば、たとえば冒頭で紹介した群馬県のA子さんに対しても、基地局を建てた楽天モバイルは誠実に対応しなければならない道理だが、現実はどうか。
 中国のIT大手・テンセントと資本提携したりソフトバンクの機密を元社員から入手したカドで1000億円の損害賠償請求訴訟を起こされたりと、近頃やたら騒々しい楽天。参入して間もない携帯電話事業でも、この夏の全国回線エリアカバー率目標96%を急ぐあまり、基地局設置をめぐるトラブルが続出している。
■公共性の自覚が欠落
 創業オーナーの三木谷浩史氏が、4月の「日刊工業新聞」で、「1日100局前後を開通させている」旨を語っていた。身勝手きわまりない成長戦略の、A子さんは犠牲者なのだ。
 異様な会社である。取材を申し込もうと代表番号に電話したが、「フリーからの連絡は取り次がない」由。(日刊ゲンダイの)社員デスクにかけ直してもらい、ようやく広報と電話が通じたのも束の間、その後も門前払いの連続でメールでの説得を重ねさせられた揚げ句、「ご依頼の件、諸所の都合により大変恐縮ですが辞退とさせていただけますと幸いです」で強制終了。公共性の自覚が決定的に欠落した、いかにも政治権力に近い政商企業だった。
 あらゆる申し入れを無視され続けているA子さんは8日、楽天モバイルの山田善久社長に4度目の内容証明郵便を送付した。22日までの回答を求めているのだが――。
【斎藤貴男:ジャーナリスト。1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。】
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【御礼】当会のブログアクセス数が100万回を突破!

2021-02-24 20:44:00 | オンブズマン活動
■当会のブログは2021年2月24日午後8時43分29秒、アクセス数が100万回に達しました。履歴をご覧いただくとお分かりのとおり、最初の記事の掲載日は2007年2月16日でした。
 筆者が電子メールを使い始めたのは、1998年8月からサウジアラビアに滞在していた時からでした。その3年前、1995年1月17日の阪神淡路大震災や同年3月20日の地下鉄サリン事件で世相が騒然としていた最中、1995年5月18日に安中市土地開発公社で密かに発覚した事件は、同年6月3日に地元紙に初めて10億円規模の詐欺事件として報じられました。ところがたちまち51億円を超える地方自治体では史上空前の巨額横領事件として連日マスコミが報道することとなりました。

筆者の人生の転機となった1995年6月3日付け上毛新聞社会面記事。安中市で同年3月末まで都市計画課に所属し市土地開発公社の業務を担当していた職員が、公社の事業費用を金融機関から借り受ける際、金銭借入書を改ざんし懲戒免職になっていたことが、同年6月2日明らかになった。事件発覚後、県警は詐欺、公文書偽造、同行使の容疑で元安中市職員=当時(43)=を逮捕。元職員は公社の事業費用を金融機関から借り受ける際に公文書を偽造して金額を上乗せしていた。不正流用は総額51億円に上り、元職員には懲役14年の実刑判決が下った。事件から3年後、市と公社が銀行に24億5000万円を支払う和解が成立した。出典:上毛新聞ライブラリー https://jomo-news.co.jp/playback/data/?p=20180603

 筆者は当時、ちょうど設立を間近に控えた市民オンブズマン群馬の発起人の一人でしたが、この巨額横領事件で、急遽地元で立ち上げられた事件の真相究明のための市民団体「市政をただす安中市民の会」の関係者に声を掛けられ、事務局の一員として参加することになりました。

 そして、激動の5ヶ月間が経過し、当時の現職市長が群銀から巨額横領金として消えた借入金の返済を迫る民事訴訟が提起されたことを契機に市長の椅子を投げ出したため、1995年11月12日公示の出直し市長選に筆者が市民団体をバックに出馬しましたが、半年前の県議選で落選した人物が、4名で争われた選挙を制し、筆者は次点に終わりました。

 落選のショックがまだ癒えない中で、1996年1月に事件の真相究明と責任の所在明確化、再発防止のための活動をさらに進めるべく、市民団体を改組して「市政をひらく安中市民の会」を立ち上げ、筆者が事務局長を仰せつかりました。

 さらに市民オンブズマン群馬も1995年8月31日に正式発足し、全国的な行政情報公開のうねりのなか、官官接待、水増し出張、裏金問題にとりくみ、大きな成果を挙げました。この勢いで、筆者も安中市に情報公開条例制定を促すための直接請求などに取り組みました。

 そして史上空前の巨額横領事件の追及はその後も最優先で取り組み、歴代の安中市土地開発公社の理事や単独犯とされた元職員を相手取り、損害賠償請求など、行政関係者らを相手取り合計5つの民事訴訟を提起しました。

 筆者は、仕事のかたわら地元でこの巨額横領事件追及のための活動をしていましたが、選挙戦に出馬したことから、勤務先も公開されたため、1997年末頃、当時の勤務先である東京築地の大手造船会社の本社社長室に、自民党群馬県連幹部から電話で「お宅の社員(筆者のこと)を国内で活動できないようにしろ」と申し入れがありました。

 このエピソードは後で筆者の同僚で国内営業担当をしていた人物から聞いたのですが、当時、勤務先では、群馬県庁が導入を検討していた機械式駐車システムの売り込みをしていました。もともと海なし県の群馬県には造船案件など無縁ですが、国内の官公庁向け案件では、当然、自民党の影響力は甚大であり、官公庁営業への影響を懸念した勤務先が、自民党群馬県連の申入れを無視できなかったことは明らかでした。

 そのため、1998年3月に当時アフリカのウガンダでビクトリア湖の水草回収作業船の実証試験をするために1月中旬から現地にいた筆者に、2月のある日、「海外プロジェクト要員として4月から岡山県玉野市にある事業所へ転勤」という辞令が連絡されてきました。そして5ヵ月後の1998年8月からサウジアラビアの紅海沿岸にある工業都市ヤンブーの海水淡水化プラント建設プロジェクトでコミッショニング・エンジニアとして2000年4月まで派遣され滞在していました。


筆者が造成から試運転まで関与したヤンブーのRoyal Commission(王立委員会)造水プラント。手前の三菱重工製のボイラーから排出された余剰蒸気を利用して超大型の多段フラッシュ型造水機がならぶ。筆者が担当したのは、左奥から3番目と4番目のプラント。

 しかし、当時、電子メールは、現場でデジカメを使ってこっそり撮影したプラントの溶接部の拡大写真を、サウジ人に見つからないように現場事務所から工事記録として日本に数回送ったことがある程度で、毎週の業務進捗報告はパソコンに打ち込み、プリントアウトしたものをFAXで日本に送っていました。あわせて、当時、市政をひらく安中市民の会が毎月日本の地元安中で発行していた安中市民通信「まど」の原稿の送付や当会編集者らとのやりとりもすべてFAXを使っていました。
●2018年9月12日:タゴ事件発覚から23周年・・・地方自治体史上最高額の横領事件に安中市民はどう対処したか(まどの歩み)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2753.html

 サウジアラビアのヤンブーでは隣接する火力発電所のボイラーの余剰蒸気を利用した多段フラッシュ方式の海水淡水化プラントの造成工事から完成まで携わりました。この方式の造水装置としては当時世界最大級の設備でしたが、完成後も保証技師として10年程度現地滞在するよう派遣元から筆者に指示が出ていました。そのため、極暑と土漠と砂嵐の中、サウジの地に埋もれることも覚悟していた矢先に、まさかの出来事が勃発したのでした。

 それは、筆者が、プラントの試運転を終えて、2回目の安中市長選に挑戦する為、1999年11月に2週間ほど休暇を取って一時帰国をし、今度は1対1での勝負でしたが、またもや次点で落選に終わり、サウジアラビアに戻ったあとのことでした。実は、年2回の次の休暇で、あと10年サウジに居残るのだから、命の洗濯をしようとこの時ばかりは帰国せずに、あこがれだったスペインに行こうと思い、イタリアからスペインへと移動する休暇プランを練り上げました。ところが、台湾出身の妻の妹がドイツ系スイス人と結婚したが、まだ台湾の親族が誰も相手方の親族に挨拶していない、というので、この機会に筆者がファミリー一族を代表してスイスに行くように指示があったので、急遽スペインを泣く泣く諦め、イタリアのミラノからアルプスを越えてスイスのチューリッヒに行きました。スイスでの1週間は、土漠と砂嵐のサウジとは全くの別世界で、これであと10年間サウジで頑張ろうと決心してサウジに戻った直後でした。

 2000年初頭にスペインのマドリードにあるコンテナクレーンの現地法人で、総務部長による日本円換算で17億円に上る横領事件が発覚し、その立て直しのため、スペイン語の理解できる人材ということで、急遽、筆者は副社長の肩書で転勤を命ぜられて、スペインに赴任することになったのでした。灼熱のサウジアラビアから、情熱の国へのシフトは、日本には戻れませんでしたが、まさに干天に慈雨でした。


筆者が2000年5月から2002年7月まで勤務していたスペイン首都マドリードのアルベルト・アスコセール通りに面したオフィスビル。この4階にパセコ・エスパーニャ社の本社があった。同社はその後、ビルバオに本社をもつ鉄鋼会社URSSA社傘下の子会社となったが2018年8月に事業を停止した。写真は後年2006年9月にマドリードを再訪した際に撮影したもの。


当時、毎朝晩通勤で利用していた最寄りの地下鉄コロンビア駅。内部に巨大な黄色の飛行機の骨組みがあり、マドリードにおける地下鉄駅の巨大装飾の先駆け的となった。ここから国際空港まで直行できるので便利だった。


筆者が当時使っていた名刺。

 その後、2000年5月から2年2か月ほどスペインに滞在した際には、公私ともに電子メールを日常茶飯事的に活用していました。しかし部下からスペイン語の膨大な分量の文書がメールで送られてくることが珍しくなく、目を通しているうちにお昼になることもしばしばでした。なお、スペイン滞在中もずっと、市民団体「市政をひらく安中市民の会」の安中市民通信「まど」の発行は続けていました。


筆者が2003年後半から現地に赴いて建設工事に従事する予定だったインドネシアのスマラン郊外にある石炭火力発電所第2号機。このあと2017年から開始された5・6号機の建設でコントラクターが1510億円の巨額損失を計上し海外工事から撤退。

 2002年7月に4年ぶりに帰国したら、今度はインドネシア向け石炭火力発電所建設プロジェクトの要員として、現地工事前の準備で、1年ほど日本に滞在していました。日本に久しぶりに戻り、市民オンブズマン群馬の例会に顔を出したところ、代表がたまたま空席になっていたため、事務局から筆者に代表を引き受けてほしいという要請がありました。また、インドネシアに行ってしまうことになっていたため、固辞しましたが、名義だけでも構わないのでお願いしたいとの会員の皆様に声に押され、また、インドネシア行きのはずが、急転直下、アゼルバイジャンのバクーで、JETROによる現地Azneftkimyamash社の石油掘削装置の品質改善プロジェクトに従事することになり、現地と日本を行ったり来たりするため、ある程度オンブズマン活動もフォローできることになったのも、追い風でした。


バクー郊外にあるゾロアスター(拝火)教寺院。


筆者がバクーで長期宿泊していたアスコット・ホテルは現在でも営業中。



ゴブスタンの先史遺跡。↑



ゴブスタンにあるもう一つの奇怪な景観を呈する泥火山群。地下から噴き出す天然ガスにより、マグマがたぎるかのごとく、泥がボコボコッと噴出する様子は、あの人気番組「イッテQ!」のロケにも使われた。

 そして、2003年10月から2005年3月にかけて足掛け1年半に亘り、アゼルバイジャンと日本を6往復しましたが、1年半のうちの半分以上、現地のバクーに滞在していた際に、日本とのやりとりに電子メールを使用するとき、当時ダイアルアップサービスを提供していたAOLを使い始めました。そのAOLはホームページのサービスもしていたので、市民団体「市政をひらく安中市民の会」のHPも立ち上げました。当時のURLはhttp://hometown.aol.com/ogawakenpg でした。

 当時、次第に読者の高齢化等により安中市民通信「まど」の発行部数が減少してきたため、広報手段として、ハードコピー方式での効率に疑問が呈されたため、2006年から当時はやってきたAOLのホームページ方式に移行しました。さらに、2007年からは、AOLがホームページを閉鎖して、ブログサービス「AOLダイアリー」が開始されたため、記事更新が面倒なHPに代わって、日記形式で次々に記事が書き足せるブログ形式による広報手段に移行することにしました。

 ところが、すこしずつブログ操作に慣れてきたころ、突然AOLが2009年1月末日でブログサービスを終了すると宣告してきたため、2008年12月末までにAOLの提携先だった「AutoPage」のブログサービスに移動しました。以来、当会ではこのブログをもっぱら維持しております。

 また、AOLでは2009年2月末日を以って、国内ダイヤルアップサービスと海外ローミングサービスも打ち切りました。この結果、AOLメールサービスは無料になったものの、前述のとおり、ブログサービス「AOLダイアリー」は、GMOティーカップ・コミュニケーションが運営するブログサービス「AutoPage」に移行しました。それに伴い、それまで2年間で3万回ほどあったアクセスカウントはリセットされてゼロになりました。

 それから現在までの12年2カ月間で、当会のブログアクセス数100万回を達成することができました。単純計算で1日当たり平均225回のアクセスを頂いた勘定になります。これもひとえに読者の皆様のご支援の賜物であり、この場をお借りして厚く御礼申し上げますとともに、引き続き、次の目標である200万回に向けて精進を重ねて参ることをここにお誓い申し上げます。

 読者の皆様におかれましても、引き続き当会のブログご愛読いただき、当会の活動にご注目くださるよう宜しくお願い致します。

 2021年2月24日

  市政をひらく安中市民の会 事務局長
  市民オンブズマン群馬 代表
  群馬県台湾総会 書記
  小川 賢

コメント (2)
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職員の市内居住制限が骨抜き状態の桐生市を提訴した事件に前橋地裁が驚きの棄却判決!

2021-01-23 13:14:00 | オンブズマン活動

■2018年5月19日に開催された市民オンブズマン群馬の5月定例会で、桐生市在住会員から、市内居住制限が職員服務規則に明記されている桐生市に対して、市外居住許可申請書の「事由」と「居住年月日」にかかる情報に関して、同市の情報公開条例に基づいて同年2月に開示請求を行ったところ、黒塗りの文書が同年2月23日に開示されたため、行政不服審査法に基づく審査請求を同年3月15日に行っているという報告がありました。
 その後、この審査請求も棄却されたので、当会会員は改めて桐生市監査委員に対して、同年9月19日付で住民監査請求を提出しました。その結果が、同年11月9日に桐生市監査委員から却下通知が届いたので、当会会員は期限日の同年12月7日に前橋地裁に訴状を提出しました。
 以来,コロナ禍を挟んで2年余りに亘り、裁判所で争われてきたこの事件は、2021年1月22日に判決が言い渡されました。その内容は以下に示しますが、市役所のコンプライアンス違反を無視した驚くべき棄却判決でした。これでは行政の違法不当な事務事業の根絶を裁判所に期待することは望み薄です。

群馬県庁32階から見下ろした前橋地裁。1月22日午後2時32分撮影。この日もトンデモ判決が言い渡された。

 なお、この問題に関する関連情報は次のブログ記事をご覧下さい。
○2018年5月19日:市内居住制限を服務規則に明記する桐生市が市外居住許可申請の事由・居住年月日を不開示とするヘンな対応
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2644.html
○2018年11月15日:職員の市内居住制限が骨抜き状態の桐生市に監査請求をしたところ却下通知が到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2818.html
○2018年12月9日:職員の市内居住制限が骨抜き状態の桐生市に監査請求をしたところ却下されたため住民訴訟を提起!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2838.html

 当日は、午後1時10分前に前橋地裁に着き、本件の原告の当会会員と合流しました。ロビーで時間調整していると、桐生市職員ら4名もやってきました。

*****開廷表*****
第21号法廷(本館2階)開廷表
令和3年1月22日 金曜日
●開始/終了/予定/10:00-10:10第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(レ)第29号/損害賠償請求控訴事件
○当事者:岩村由美 外/小暮伸太郎
○代理人:篠崎幸治/星野公洋
○担当:民事第2部合議係 裁判長 杉山順一
             裁判官 松本有紀子
             裁判官 竹内 峻
             書記官 下城孝
●開始/終了/予定/13:10-13:20弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:平成30年(行ウ)第17号/市民税等市外流出防止訴訟事件
○当事者:長澤健二/桐生市長荒木惠司
○代理人: -  /青木紀夫
○担当:民事第2部合議係 裁判長 杉山順一
             裁判官 松本有紀子
             裁判官 竹内 峻
             書記官 下城孝

●開始/終了/予定/13:10-13:20弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和元年(レ)第36号、令和2年(レ)第2号/損害賠償請求事件、損害賠償請求付帯控訴事件
○当事者:上原雄一郎/村上誠 外
○代理人:根岸茂/下山順
○担当:民事第2部合議係 裁判長 杉山順一
             裁判官 松本有紀子
             裁判官 竹内 峻
             書記官 下城孝
●開始/終了/予定/13:10-13:20弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和元年(レ)第25号/損害賠償請求控訴事件
○当事者:株式会社ティーフィールド/高橋柊聖
○代理人:森田陽介/-
○担当:民事第2部合議係 裁判長 杉山順一
             裁判官 松本有紀子
             裁判官 竹内 峻
             書記官 下城孝
●開始/終了/予定/13:30-13:40弁論
○事件番号/事件名:令和2年(ワ)第381号/損害賠償請求事件
○当事者:神戸恵子/株式会社ベッツカンパニー
○代理人:吉野晶/高山雄介
○担当:民事第2部合議係 裁判長 杉山順一
             裁判官 松本有紀子
             裁判官 竹内 峻
             書記官 下城孝
**********

 同じ時間帯に3件、それも全部判決言渡しがありました。開廷表の順番かと思いきや、書記官にきくと、当会会員と桐生市との事件は3番目であり、最初の2件は判決言渡しと言うことで、当事者も弁護士もだれも出頭しませんでした。続いて3件目の本件について判決言渡しがありました。判決に先立ち、当会会員は原告席で判決を聞きましたが、桐生市職員ら4名は、書記官が指定代理人の2名に「中で判決を聞かれますか?」と案内しましたが、4名とも傍聴席で判決を聞くようです。

 そして、裁判長が判決の主文を読み上げると、4名の桐生市職員は一生懸命メモをとっていました。原告の請求を棄却した判決なので、わざわざメモを取るまでもないと、はたで見ていて思いました。事実、その後被告桐生市職員の皆さんも判決文を入手されたようです。

■それでは、さっそく原告の請求を退けた判決文を見てみましょう。

*****判決文*****ZIP ⇒ 20210122issozej.zip
<P1>
令和3年1月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 下城 孝
平成30年(行ウ)第17号 市民税等市外流出防止住民訴訟事件
口頭弁論終結日 令和2年11月6日
          判         決
  群馬県桐生市天神町3-14-30
       原       告     長   澤   健   二
  群馬県桐生市織姫町1番1号
       被       告     桐   生   市   長
                     荒   木   惠   司
       同 指 定 代 理 人      青   木   紀   夫
       同             金   子   敬   一
          主         文
       1 原告の請求をいずれも棄却する。
       2 訴訟費用は原告の負担とする。
          事 実 及 び 理 由
第1 請求
   被告は,西場守及び桑原昇に対し,連帯して7259万2320円及びこれに対する平成30年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を桐生市に支払うように請求せよ。
第2 事案の概要
 1 本件は,桐生市の住民である原告が,桐生市の職員による市外居住許可申請に対する許可(以下「本件許可」という。)について,桐生市の総務部長であった西場守(以下「西場」という。)及び人事課長であった桑原昇(以下「桑原」という。)が上記の各職に在職中に行った本件許可は,桐生市職員服務規則16条及び同25条の規定に違反して違法であり,これにより桐生市が7259万2320円(通勤手当分2083万8360円及び市民税分5175万

<P2>
3960円の合計額)の損害を被ったと主張して,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号本文の規定に基づき,西場及び桑原に対して上記の不法行為による損害金7259万2320円及びこれに対する平成30年3月31日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うように請求することを求めた住民訴訟である。
 2 関連法令等の定め(乙2,3)
   桐生市職員服務規則(昭和54年7月20日桐生市規則第21号。以下「規則」という。)には,次の内容の規定がある。
  1条(趣旨)
    この規則は,地方公務員法(昭和25年法律第261号)その他の法令,条例等に定めるもののほか,常勤の一般職の職員の服務について必要な事項を定めるものとする。
  2条(服務の原則)
    職員は,全体の奉仕者としての職責を自覚し,公共の利益のため勤務し,法令,条例,規則等及び上司の職務上の命令に従い,職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならない。
  16条(非常の場合の措置)
   1項 職員は,別に定めがある場合を除き,庁舎又はその付近に火災その他の非常事態が発生したときは,速やかに登庁して上司の指揮を受けなければならない。ただし,急迫の場合は,直ちに臨機の処置を講ずるものとする。
   2項 職員は,非常災害の場合においては,別に定めるところに従い勤務しなければならない。
  25条(居住)
    職員は,市内に居住しなければならない。ただし,市外居住許可申請書(様式第15号,乙3)を提出して許可を受けたときは,この限りでない。

<P3>
 3 前提事実(争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に 認定することができる事実)
  (1) 当事者等
   ア 原告は,桐生市の住民である。
   イ 被告は,桐生市の執行機関である市長である。
   ウ(ア) 本件許可の許可権者は,桐生市の職員のうち市長部局所属の者による申請については桐生市長,教育委員会所属の者による申請については桐生市教育委員会である。
      そして,桐生市職務権限規程(昭和49年8月1日桐生市訓令第1号)では,課長(課長相当職を含む。)の服務に関することについては部長が専決権者とされ,係長(係長相当職を含む。)以下の服務に関することについては課長が専決権者とされている (2条3号,同条4号,同条11号,22条,別表第1の2「人事,服務」の(2),(3)) 。
                 (以上につき,乙4,弁論の全趣旨)
    (イ) 西場は,令和元年10月1日に異動するまで桐生市の総務部の部長の職にあった者であり,課長(課長相当職を含む。)の服務に関する専決権者であり,桑原は,同じ頃,桐生市の総務部の人事課の次長兼課長の職にあったものであり,係長(係長相当職を含む。)以下の服務に関する専決権者であった(甲13,乙4)。
  (2) 桐生市外に居住している桐生市の職員の通勤手当及び住民税の納付額について
   ア 平成30年6月当時,桐生市の職員のうち292人が市外に居住しており,その内訳は,みどり市に150人,太田市に56人,前橋市に31人,伊勢崎市に27人,高崎市に9人,足利市に9人,その他に10人であった。そして,桐生市は,市外に居住居住(ママ)する同市の職員らに対し,同月分の通勤手当として,総額176万6530円を支給した(甲1の4)。

<P4>
   イ 平成30年度における市外に居住する桐生市の職員による住民税の納付額は,合計8625万6600円であった(甲1の2•3)。
  (3) 本件訴訟に至る経緯
   ア 原告は,平成30年9月19日,桐生市監査委員に対し,同日付け「桐生 市職員措置請求書(住民監査請求書)」と題する書面をもって,規則16条及び同25条に反して本件許可がされ,桐生市の職員のうち292人が桐生市外に居住しているため(以下,桐生市の職員が桐生市外に居住することを,単に「市外居住」といい,桐生市内に居住することを,単に「市内居住」という。),通勤手当及び市民税が不当に支出されているとして,被告に対してその返還を勧告することを求める住民監査請求をした(甲1の1)。
   イ 桐生市監査委員は,原告に対し,平成30年11月9日付け「桐生市職員措置請求について」と題する書面をもって,上記の住民監査請求を却下する旨の監査結果を通知した(甲2)。
   ウ 原告は,平成30年12月7日,本件訴えを提起した。
  (4) きりゅう暮らし応援事業(住宅取得応援助成)について
    住宅取得応援助成とは,桐生市外からの転入を促進し,同市外への転出を抑制するとともに,桐生市内への定住促進を図り,人口減少に歯止めをかけることを推進するため,居住目的で住宅の建築,購入を行う個人で一定の要件に該当する者に対し,住宅取得費用の一部を補助する制度である(甲19)。
 4 争点及び争点に関する当事者の主張
  (1) 本件許可の違法性の有無(争点1)
   (原告の主張)
    以下の点から,本件許可は,規則16条及び同25条の規定に違反している。

<P5>
   ア 規則25条本文は,桐生市の職員の市内居住を原則としており,本件許可は,その例外であるから,桐生市において,その許可基準を定め,職員を平等に扱う必要がある。よって,同基準を定めないことは,市外居住許可申請書を提出する一部の職員を優遇するものであり,不当・違法である。
   イ 一般的に,許可とは禁止された行為につきその禁止を解除する行政行為であるから,許可書を発行して正当な行為であることを示すのが原則であるにもかかわらず,本件許可は,これをするに当たって許可書を発行しておらず,違法である。
   ウ 桐生市の総務部長及び人事課長は,規則を厳格に運用し,その遵守を徹底させる責務を負う。本件許可は,市内居住をしている桐生市の職員において,やむにやまれぬ理由が発生してどうしても市外居住をしなければならない事由がある場合に限ってされるべきものであるにもかかわらず,実際には,全ての市外居住許可申請に対し,無条件でされている。こうした運用は,許可制を実質的に届出制とするものであり,違法である。
     被告は,桐生市の職員の居住の自由などに配慮しなければならない旨の主張をするが,そうであれば,そもそも規則25条自体が憲法違反となるはずであり, 被告において同条が憲法違反でないと主張している以上,その配慮が,本件許可を無条件としてよい理由にはならない。
   工 本件許可は,①市外居住許可申請書に記載の居住年月日よりも同申請書に記載の提出日及び受理日が後になっていること,②市外居住許可の申請ができるのは桐生市の職員のみであるにもかかわらず,市内居住しなければならない新規採用者に対してもされていることから,違法である。
     被告は,上記①について,軽微な瑕疵と主張するが,軽微な瑕疵では済まされない。
   オ 本件許可は,その許可を受け市外居住をしていた桐生市の職員が,桐生市内に家を新築し,住宅取得応援事業補助金を取得している可能性がある

<P6>
ことから,違法である。
   (被告の主張)
    否認ないし争う。本件許可に違法な点はない。
   ア 規則25条が制定された昭和30年当時の同条の趣旨については,文献や記録は残っていないが,災害等の非常時に職員がそれぞれの持ち場に駆け付けることの必要性が大きかったことから,当時の移動手段のもとでは,市内居住には一定の合理性があり,また,職員の郷上愛や帰属意識,統合意識を高めるといった精神的訓示を表す意味合いがあったことも考えられるが,同条は,今日もなお,桐生市の職員は市内に住み桐生市のために働くのが基本という考え方を示すものであるということができる。
     本件許可は,その後の時代の変化も踏まえ,移動手段の確保等の事情や, 憲法22条の規定に基づく居住の自由の趣旨を勘案しつつ,当該職員において市外居住が不合理で,職務に支障をきたす場合でない限り,市外居住を認める運用をしているものであって,何ら違法ではない。
   イ 桐生市の職員が,市外居住した後に市外居住許可の申請をしたことがあることは認めるが,それは軽微な瑕疵にすぎず,そのことをもって違法な手続とまではいえないのであって,本件許可が違法でないことに変わりはない。なお,現在は,桐生市の職員に対し,市外居住する前に市外居住許可の申請をするように促しており,上記瑕疵については,改善されている。
  (2) 損害の有無
   (原告の主張)
    違法な本件許可により,桐生市の職員のうち292人が市外居住しているが,その結果,桐生市には,通勤手当分の2083万8360円及び市民税分の5175万3960円の合計7259万2320円の損害が生じている。
   (被告の主張)
    争う。市外居住している桐生市の職員に対して通勤手当を支給しているこ

<P7>
と及び同職員が桐生市に市民税を支払っていないことに関し,桐生市に損害 はない。
第3 当裁判所の判断
 1 関連法令等の定め及び前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実等が認められる。
  (1) 規則25条の趣旨・目的について
    関連法令等の定め(第2の2)によれば,規則は,桐生市における常勤の一般職の職員の服務について必要な事項を定めることを目的とし (1条),職員は,庁舎又はその付近に火災その他の非常事態が発生したときは,速やかに登庁して上司の指揮を受けなければならないとした上で (16条1項),本件許可を受けない限り,桐生市内に居住しなければならないと規定している(25条)。
    上記の規則の文言並びに証拠(甲6,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,規則25条の趣旨・目的は,桐生市の職員は桐生市内に住み,桐生市のために働くのが基本という考え方を示すとともに,災害等の非常時において職員が速やかに登庁し,上司の指揮を受けてこれに対応できるようにする点にあると解するのが相当である。
  (2) 本件許可の運用について
   ア 市外居住許可申請書の提出
     市外居住許可申請書を提出する桐生市の職員は,規則の様式第15号の様式(乙3)に則り,作成日,所属,職員コード,職,市外居住の事由及び居住年月日を記入した上で,署名又は記名及び押印をして,同申請書を作成し,これに所属長(課長)の押印を受け,人事担当課に提出する。その後,人事担当課は,総務部長又は人事課長の決裁を受け,本件許可を行う。その際,被告において,同許可に関する許可書などの作成,交付等はしていない。(乙3,弁論の全趣旨)

<P8>
     なお,同申請書のうち,その作成日や受領日が,居住年月日後になっているものが複数存在する(甲7,14)。
   イ 本件許可の基準について
     本件許可に関する許可基準は,明文化されていない(甲6,乙1,弁論の全趣旨)。
 2 争点1(本件許可の違法性の有無)について
  (1) 原告は,本件許可 について,許可基準を定めていないことは,一部の桐生市の職員を優遇するものであり,違法である旨の主張をする。
    しかし,規則25条を含む規則の各条文をみても,本件許可に当たり許可基準を定めることとする旨を定めた規定は見当たらず,その他,本件全証拠によっても,桐生市において,本件許可に係る許可基準を定めなければならないと認めるべき根拠は見当たらないし,また,仮に桐生市において本件許可の許可基準を定めるべきであったとの前提に立って考えたとしても,そのことから直ちに西場及び桑原がした本件許可が違法と評価されるものとも認められないから,いずれにしても,原告の上記の主張は採用することができない。
    この点について,原告は,住宅取得応援助成を例に挙げ,その補助対象者として要件を明示しているのであるから(乙19),本件許可においても許可基準を作成及び明示しなければならないと主張するもののようであるが,他の異なる制度である住宅取得応援助成において,その対象となるべき要件を作成及び明示しているからといて,本件許可に係る許可基準を作成及び明示しなければならない義務が認められるといった関係にあるとは認められないから,原告の上記の主張は,上記で述べた結論を左右するものではない。
  (2) 原告は,許可とは禁止された行為につきその禁止を解除する行政行為であるから, 本件許可をするに当たって許可書を発行すべきであるところ,西場及び桑原は, これをしていないから,同許可は違法である旨の主張をする。

<P9>
    しかし,本件許可が規則25条ただし書の規定に基づき桐生市の職員の市外居住を許可する行為であることから直ちに,市外居住許可申請書とは別個 の書面として許可書を発行することが必要であるとまではいえないし,また,規則 2 5 条を含む規則の各条文をみても,本件許可に当たり許可書を発行することとする旨を定めた規定は見当たらず,その他,本件全証拠によっても,本件許可に係る許可書を発行しなければならないとする根拠は見当たらないから,原告の上記の主張は採用することができない。
  (3)ア 原告は,①本件許可は,桐生市の職員は市内居住をしなければならないという原則の例外に当たり,厳格に運用されなければならないにもかかわらず,実際には無条件でされていること,②本件許可について,桐生市の職員の居住の自由等への配慮をすることが無条件での許可を正当化するものではないことから,本件許可は,規則16条及び同25条の規定に違反し,違法である旨の主張をする。
   イ 前提事実及び前記1(1)のとおり,規則は,本件許可の可否に関し,具体的な基準を定めていないこと,また,同許可の可否の判断は,規則25条の趣旨及び目的,桐生市内部における人事に関する観点,桐生市の職員の基本的人権に対する配慮などの広範な事情を総合的に考慮してされるべきものであることなどに照らせば,同許可の可否は,同許可権者の裁量に委ねられているというべきであり,同許可は,許可権者の裁量権の行使に基づく処分が社会通念上著しく妥当を欠き,裁量権を濫用したと認められる場合に限り,違法となると解するのが相当である。
   ウ 原告は,本件許可は例外規定であり,厳格に運用されるべきであるにもかかわらず,実際には無条件でされていることが違法である旨の主張をするところ,証拠(甲6,7,14,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,遅くとも西場が総務部長となった以降の市外居住許可申請については,不許可との判断がされたものはないことが認められる。

<P10>
     しかし,結果的に不許可とされた市外居住許可申請が存在しなかったとしても,そのことをもって直ちに西場及び桑原がした本件許可が裁量権を濫用したものであるとはいえず,本件全証拠によっても,西場及び桑原がした本件許可が社会通念上著しく妥当を欠き,裁量権を濫用したとまでは認められないのであって,違法ということはできないから,原告の上記の主張は採用することができない。
     この点に関し,原告は,本件許可に当たって,桐生市の職員の居住の自由などに配慮する必要があるのであれば,規則25条自体が憲法違反であるはずである旨の主張もするが,市外居住許可申請に対する判断が,上記で述べたような広範な事情を総合的に考慮してされるべきものであることは既にみたとおりであり,同許可の判断に当たって,当該職員における居 住の自由などに配慮することが,直ちに同条の憲法違反を招来する関係にあるとはいえないから,原告の上記の主張は,上記の結論を左右するものではない。
  (4)ア 原告は,市外居住許可申請書記載の居住年月日よりも同申請書に記載の提出日又は受理日が後になっていることから,本件許可は違法である旨を主張するところ, 市外居住許可申請書記載の居住年月日よりも同申請書に記載の提出日又は受理日が後になっているものが複数存在することは上記1(2)アで認定したとおりである。
     しかし,上記(3)イで述べたとおり,市外居住許可申請に対する判断が広範な事情を総合的に考慮してされるべきものであることに照らせば,仮に市外居住後に市外居住許可申請がされたという事情があったとしても,そのことをもって直ちに本件許可が裁量権を逸脱したものとまではいうことができないというべきであるから,原告の上記の主張は採用することができない。
   イ また,原告は,市外居住許可申請をすることができるのは桐生市の職員

<P11>
のみであるにもかかわらず,桐生市の職員として新規に採用された者による同申請に対しても本件許可をしていることは,違法である旨の主張をする。
     しかし,本件全証拠によっても,市外居住許可申請をすることができる者が桐生市の職員に限られ,新規に採用された者が同申請をすることはできないとすべき根拠は見当たらないから,原告の上記の主張は採用することができない。
     この点について,原告は,桐生市の職員は,規則2条の規定に基づき,少なくとも採用時において市内に居住する必要がある旨の主張をするが,新規に採用された者も桐生市の職員であることに変わりはないところ,規則25条も単に「職員」と規定していること,同条の趣旨・目的(上記1(1)参照)等からすれば,規則2条を踏まえたとしても,市外居住許可申請について,桐生市の職員として新規採用された者とそれ以外の桐生市の職員とを別異に取り扱うことが予定されているとまでは解されないから,原告の上記の主張は採用することができない。
  (5) 原告は,本件許可を受けて市外に居住していた桐生市の職員が,桐生市内に家を新築し,桐生市が支出する住宅取得応援事業に係る補助金を取得している可能性があることから,同許可は違法である旨の主張をする。
    しかし,仮にそのような事実が認められるとしても,上記の補助金の取得は,本件許可後の事情であって,同許可の違法性とは直ちに関連しない事柄であるから,上記の事実の適否について検討するまでもなく,原告の上記の主張は採用することができない。
  (6) 以上によれば,いずれにしても,本件許可について,許可権者の裁量権の濫用があるとまではいえず,違法性は認められない。そして,この結論は,原告のその余の主張によっても左右されるものではない。
第4 結論

<P12>
   よって,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。

  前橋地方裁判所民事第2部
    裁判長裁判官 杉山順一 ㊞
       裁判官 粟津 侑 ㊞
       裁判官 竹田 峻 ㊞

<P13>
これは正本である。
令和3年1月22日
 前橋地方裁判所民事第2部
   裁判所書記官 下城 孝
                        前橋10-001348
**********

■上記のとおり、赤字で示したように、いつもの言い回しです。すなわち、お決まりの「直ちに,・・・・とまではいえない」という表現で、行政の違法不当な不正行為を、些細なミスや瑕疵として軽視し、問題点を過小評価して行政側に有利な判断をしています。


本来市内居住を職員服務規程で義務付けている桐生市ですが、職員居住の職員に対しても転入を確認しないまま申請だけで市内居住を認め、住宅取得の補助金を無審査同然で支出している実態。こうしたインサイダー行政によるコンプライアンス違反を是正しようとしない絶望的な司法判断が今回も言い渡された。
※きりゅう暮らし応援事業(住宅取得応援助成)補助金  ZIP ⇒ izj.zip

 当会会員は、今後控訴を視野に入れつつ、判決文の内容を精査するとしていますが、もうひとつ当会会員が課題として重視していることがあります。それは、裁判の途中で、菅家裁判長から、損害賠償請求の対象者が複数名であることから、原告に対して「請求の趣旨の変更申立書を提出されたい」との訴訟指揮が為されたため、原告は、追加手数料の追納を余儀なくされたことです。

 住民訴訟では、平成13年の地方自治法改正以前は原因者の公務員を直接訴えることができました。しかし、改正後は、住民訴訟は自治体の代表者しか相手どることができません。自治体の代表者に対して、当該原因職員に損害賠償させよ、という間接的な形になったのです。なので、訴える相手は常に自治体なので、当該原因職員が一人だろうと、十人だろうと、百人だろうと連帯して損害額を弁済させればよいはずです。

■そのため、この事件の訴訟過程を精査するために、口頭弁論調書を入手することにしました。前橋地裁3階の訟廷受付できくと、すぐ手続きをしてくれました。担当民事部の書記官もまもなく本日の裁判を終えて、21号法廷から戻ってきたので、この事件の弁論調書の綴りが入手できたので、当会会員は廊下の向かい側にある謄写室で書記官とともに謄写作業を行いました。

 謄写した弁論調書によれば、これまでに9回行われた口頭弁論の模様は次のとおりです。

○第1回~第4回口頭弁論の調書 ZIP ⇒ 20210122p01to09_1st4thi30nse17j.zip
○第5回~第9回口頭弁論の調書 ZIP ⇒ 20210122p1018_5th9thi30se17j.zip

*****弁論調書*****
●第1回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        平成31年4月12日午後1時10分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    菅 家 忠 行
裁判官       粟 津   侑
裁判官       金 澤   康
裁判所書記官    下  城  孝
指定期日      平成31年6月14日午前11時30分
            弁論の要領等
原告
 1 訴状陳述
 2 回答書と題する書面(平成31年1月21付け)陳述
被告答弁書陳述擬制
その他の記載は別紙のとおり
             裁判所書記官 下  城  孝

(別紙)
裁判長
   被告に対し,
 1 証拠として,桐生市職員服務規則及び市外居住許可申請書の書式を提出された
い。
 2 市外居住許可の許可権者を明らかにされたい。
 3 桐生市における市外居住許可の申請から許可までの流れを具体的に明らかにされたい。
 4 被告が答弁書2頁3(3)において,認めるとしている金額の算定根拠を明らかに
されたい。
                    以 上

●第2回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        令和元年6月14日午前11時30分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    菅 家 忠 行
裁判官       粟 津   侑
裁判官       金 澤   康
裁判所書記官    下  城  孝
出頭した当事者等  原告 長澤健二
          被告指定代理人 青木紀夫
          被告指定代理人 金子敬一
指定期日      令和元年8月2日午前11時30分
            弁論の要領等
被告
  準備書面(令和元年6月7日付け)陳述
その他の記載は別紙のとおり
証拠関係別紙のとおり
             裁判所書記官 下  城  孝

(別紙)
原告
 1 総務部長西場守及び人事課長桑原昇がした市外居住許可の専決は違法であり, 桐生市は,両名に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有する。両名が負う債務は,連帯債務である。
 2 本件訴訟は,被告が上記両名に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実を問題とする訴訟である。
 3 請求の趣旨は,「被告は,西場守及び桑原昇に対し,連帯して7259万2320円及びこれに対する平成30年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を桐生市に支払うように請求せよ。」となる。
 4 市外居住許可の違法性について主張立証の補充をする。
被告
   市外居住許可は,年度毎に行われるものではない。職員に市外居住の必要性が生じたときに申請が行われる。
裁判長
   原告に対し,請求の趣旨の変更申立書を提出されたい。
                    以 上

●第3回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        令和元年8月2日午前11時30分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    菅 家 忠 行
裁判官       粟 津   侑
裁判官       金 澤   康
裁判所書記官    下  城  孝
出頭した当事者等  原告 長澤健二
          被告指定代理人 青木紀夫
          被告指定代理人 金子敬一
指定期日      追って指定
            弁論の要領等
別紙記載のとおり
             裁判所書記官 下  城  孝

(別紙)
裁判長
   本期日における録音は許可しない。
原告
   手数料の追納が必要であれば根拠を示されたい。
裁判長
   手数料の追納について,後日,補正命令を発するので検討されたい。

                    以 上

=====命令=====
平成30年(行ウ)第17号
市民税等市外流出防止住民訴訟事件
原告 長澤健二
被告 桐生市
            命     令
頭書の事件について, 期日を次のとおり指定する。
令和元年10月18日 午前11時30分 口頭弁論期日
       令和元年8月28日
          前橋地方裁判所民事第2部
               裁判長裁判官 菅 家 忠 行 ㊞
原告及び被告指定代理人に 即日電話で告知した。裁判所書記官㊞

●第4回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        令和元年10月18日午前11時30分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    菅 家 忠 行
裁判官       粟 津   侑
裁判官       金 澤   康
裁判所書記官    下  城  孝
出頭した当事者等  原告 長澤健二
          被告指定代理人 青木紀夫
          被告指定代理人 金子敬一
指定期日      令和元年12月13日午前11時30分
            弁論の要領等
原告
   準備書面(令和元年7月25日付け)陳述
被告
   準備書面(令和元年8月2日付け)陳述
その他の記載は別紙のとおり
証拠関係別紙のとおり
             裁判所書記官 下  城  孝

(別紙)
原告
   請求の趣旨を「被告は,西場守及び桑原昇に対し,連帯して7259万2320円及びこれに対する平成30年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を桐生市に支払うように請求せよ。」と訂正する。
被告
   請求棄却答弁
原告
   令和元年11月29日までに,主張立証の補充をする。
                    以 上

●第5回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        令和元年12月13日午前11時30分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    菅 家 忠 行
裁判官       粟 津   侑
裁判官       金 澤   康
裁判所書記官    下  城  孝
出頭した当事者等  原告 長澤健二
          被告指定代理人 青木紀夫
          被告指定代理人 金子敬一
指定期日      令和2年2月28日午前11時30分
            弁論の要領等
原告
   準備書面(令和元年11月28日付け)陳述
被告
   準備書面(令和元年12月12日付け)陳述
その他の記載は別紙のとおり
証拠関係別紙のとおり
             裁判所書記官 下  城  孝

(別紙)
被告
 1 準備書面(令和元年12月12日付け)1頁の2の「憲法22条(居住の自由)及び憲法第12条・第13条(公共の福祉)に基づく内在的制約の各規定を総合的に勘案しつつ」とは,これらの各規定が権利や自由を定めているとともに内在的制約も定めているからそれを総合的に考慮したという趣旨である。
 2 準備書面(令和元年8月2日付け)2頁「「第2答弁書に対する各反論」の部分について」について
 (1) 「1 第2の2の(3)のイの4段」とは,原告準備書面(令和元年7月25日 付け)の6頁下から10行目から同頁下から6行目までを指す。
 (2) 「2 第2の2の(3)のイの5段」とは,原告準備書面(令和元年7月25日 付け)の6頁下から5行目から同頁末尾までを指す。
 (3) 「3 第2の2の(3)のイの10段」とは,原告準備書面(令和元年7月25日付け)の7頁下から13行目から同頁下から8行目までを指す。
 (4) 「4 第2の2の(3)のイの11段」とは,原告準備書面(令和元年7月25日付け)の7頁下から7行目から同頁下から3行目までを指す。
裁判長
 1 被告に対し,令和2年2月14日までに,桐生市職員服務規則25条の趣旨を説明されたい。
 2 原告に対し,令和2年2月14日までに,被告の準備書面(令和元年12月12日付け)に反論されたい。
                    以 上

●第6回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        令和2年2月28日午前11時30分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    菅 家 忠 行
裁判官       粟 津   侑
裁判官       竹 内   峻
裁判所書記官    下  城  孝
出頭した当事者等  原告 長澤健二
          被告指定代理人 青木紀夫
          被告指定代理人 金子敬一
指定期日      令和2年4月24日午後1時30分
            弁論の要領等
当事者双方
   従前の口頭弁論の結果陳述
原告
   準備書面(令和2年2月13日付け)陳述
被告
   準備書面(令和2年2月14日付け)陳述
その他の記載は別紙のとおり
証拠関係別紙のとおり
             裁判所書記官 下  城  孝

(別紙)
裁判長
 1 原告に対し,令和2年4月13日までに,
  (1) 被告の準備書面(令和2年2月14日付け)に対し,認否反論されたい。
  (2) 文書提出命令の申立てにつき,民事訴訟法第220条及び第221条を踏まえて,訂正・補充を検討されたい。
 2 原被告に対し,令和2年4月13日までに,原告の準備書面(令和2年2月13日付け)に対し,認否反論があればされたい。
                    以 上

=====決定=====
平成30年(行ウ)第17号
市民税等市外流出防止住民訴訟事件
原告 長澤健二
被告 桐生市長荒木恵司
            決     定
頭書の事件について,先に指定した次の期日を取り消す。
取り消した期日
令和2年4月24日 午後1時30分 口頭弁論期日
        令和2年4月20日
           前橋地方裁判所民事第2部
                裁判長裁判官 杉 山 順 一
                   裁判官 粟 津   侑
                   裁判官 竹 内   峻
原告及び被告代理人に即日電話で告知した。裁判所書記官㊞

=====命令=====
平成30年(行ウ)第17号
市民税等市外流出防止住民訴訟事件
原告 長澤健二
被告 桐生市長荒木恵司
            命     令
頭書の事件について,期日を次のとおり指定する。
令和2年7月17日 午後1時30分 口頭弁論期日
       令和2年5月28日
          前橋地方裁判所民事第2部
               裁判長裁判官 杉 山 順 一
原告及び被告代理人に即日電話で告知した。裁判所書記官㊞

●第7回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        令和2年7月17日午後1時30分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    杉 山 順 一
裁判官       粟 津   侑
裁判官       竹 内   峻
裁判所書記官    下  城  孝
出頭した当事者等  原告 長澤健二
          被告指定代理人 青木紀夫
          被告指定代理人 金子敬一
指定期日      令和2年10月2日午後1時20分
            弁論の要領等
当事者双方
   従前の口頭弁論の結果陳述
原告
 1 準備書面(令和2年4月7日付け)陳述
 2 人証の申出をする。
被告
   準備書面(令和2年4月13日付け)
陳述証拠関係別紙のとおり
             裁判所書記官 下  城  孝

●第8回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        令和2年10月2日午後1時20分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    杉 山 順 一
裁判官       粟 津   侑
裁判官       竹 内   峻
裁判所書記官    下  城  孝
出頭した当事者等  原告 長澤健二
          被告指定代理人 青木紀夫
          被告指定代理人 金子敬一
指定期日      令和2年11月6日午後4時00分
            弁論の要領等
原告
   準備書面(令和2年9月18日付け)陳述
証拠関係別紙のとおり
             裁判所書記官 下  城  孝

●第9回口頭弁論調書
事件の表示     平成30年(行ウ)第17号
期日        令和2年11月6日午後4時00分
場所及び公開の有無 前橋地方裁判所民事第2部法廷で公開
裁判長裁判官    杉 山 順 一
裁判官       粟 津   侑
裁判官       竹 内   峻
裁判所書記官    下  城  孝
出頭した当事者等  原告 長澤健二
          被告指定代理人 青木紀夫
          被告指定代理人 金子敬一
指定期日      令和3年1月22日午後1時10分(判決言渡し)
            弁論の要領等
証拠関係別紙のとおり
裁判長
   弁論終結
             裁判所書記官 下  城  孝
**********

■入手した弁論調書をもとに、当会会員は、果たして手数料の追納は義務だったのかどうか検証し、その結果によっては、裁判所を相手取り、過誤納付手数料返還請求を行いたいとしています。

 当会は、書記官に「なぜ、このような手数料追納をしなければならなかったのか、根拠を教えてほしい」と申し入れましたが、書記官は「すべて裁判官の指示だから」と述べるのみでした。

 引続き本件について当会は当会会員をフォローしてまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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オンラインで9月20~21日に開催された第27回全国市民オンブズマン大会報告

2020-09-26 22:14:00 | オンブズマン活動
■恒例のオンブズマンの全国大会は当初、鳥取県の米子市で開催される予定でした。しかし新型コロナの感染拡大により、全国的な蔓延が止まらない状況で、これまでのような全国から多くの人が集まる大会の開催は困難だと、連絡会議事務局で7月に判断されました。しかし同時に、来年以降の市民オンブズマン活動の活発化と全国大会へのつながりを考えたとき、全国大会を中止するのではなく、いまの状況に合った新しい形の全国大会の開催とし、具体的には、主催者側のごく一部の人を除いて、参加者全員が地元からネットで参加し、意見交換はネットを介して行うことになりました。こうして、1994年に発足した我が国のオンブズマン活動で初めて、全国大会をオンラインで開催することになり、予定通り9月20日~21日にかけて、実施されました。9月30日まで、録画を見ることが出来ますので以下のリンクをクリックし、パスコードを入力してください。





オンライン大会開催の経緯を説明する、新海聡事務局長


基調報告を行う、土橋実代表幹事


「コロナであれはどうなった」を発表する、新海聡事務局長


政務活動費情報公開度ランキング・執行率調4査を発表する、児嶋研二代表幹事


領収書のネット公開。昨年は62議会がネット公開。今年度から、秋田県、福井県、さいたま市、熊本市、山形市、宇都宮市、前橋市、枚方市、東大阪市、倉敷市がネット公開


政務活動費 富山はどうなった?を発表する、青島明生氏


包括外部監査の表彰と説明を行う、浅井亮代表幹事


包括外部監査 市民オンブズ千葉 改善申込と成果を発表する、村越啓雄氏


かながわ IR住民訴訟の発表を行う、大川隆司氏


山形 私立学校財務書類公開の発表を行う、長岡昇氏


大分県教委 求償権訴訟勝訴の発表を行う、永井敬三氏


尼崎市政務活動費返還勧告拒否の発表を行う、丸尾牧氏


住民訴訟潰しに抗議する-高槻訴訟費用請求の発表を行う、北岡隆浩氏


持続化給付金 情報公開請求の発表を行う、井上博夫氏


「会計検査院に是正措置要請」提案を行う、宇部雄介氏


消防デジタル無線談合の発表を行う、内田隆氏


消防デジタル 千葉県催告書送付後の状況の発表を行う、吉村りよみ氏


活性炭談合の発表を行う、土橋実氏

●20/9/20 全国市民オンブズマン・オンライン大会2020 全体会録画 32分10秒~
 URL ⇒https://us02web.zoom.us/rec/share/E5FRzBRQ8JvNe-zZD-eB2dL8bltEdYyO0tCp_kQhqZ3uaTCZaoaCSiy93PINiwqU.goTsGjIb1VDQHL6Z
 パスコード ombuds2020!

●20/9/21 全国市民オンブズマン・オンライン大会2020 手口分科会 30分00 秒~ 全体会録画 3時間00分30秒~
 URL ⇒ https://us02web.zoom.us/rec/share/1OU9RXEeIK8raeUBd5ZlCTG09M4OgnUBkRuB_ginqzzQ_8vdjY-gsCceTBOxIzM.yCU4JY5h3NB4T54u
 パスコード ombuds2020!
 配付資料 http://www.ombudsman.jp/taikai/2020teguchi.pdf

●20/9/21 全国市民オンブズマン・オンライン大会2020 政務活動費分科会録画  27分35秒~
 URL ⇒ https://us02web.zoom.us/rec/share/iZWqA5bqlFIynZcIQHe9vRQ51LeR_2p2fhVxU0kuJjsovC9xJNSM6MG9utoPRweU.Y7ZwlE6k91Jd8u1M
 パスコード ombuds2020!
 配付資料 http://www.ombudsman.jp/taikai/2020seimu.pdf

●20/9/21 全国市民オンブズマン・オンライン大会2020 情報公開分科会録画  40分50秒~
 URL ⇒ https://us02web.zoom.us/rec/share/rPM3s2Y4UoL-Lr3ikI29ohGLFWR3Vc13MaqndAlh1JSmB_1PcNRpjU5sZgyFPDxi.TzyNBROZOjaxj2J3
 パスコード ombuds2020!
 配付資料 http://www.ombudsman.jp/taikai/2020jouhou.pdf

●第27回全国市民オンブズマン・オンライン大会 資料集 ダウンロード可能 (20/10/17まで)
 http://dtbn.jp/2drP8eC
 ・全体報告資料 184ページ
 ・地域活動報告 135ページ(※当会注:市民オンブズマン群馬の報告は10~15頁をご覧ください)

●追加資料
 ・尼崎市 政務活動費返還勧告拒否 
  https://www.ombudsman.jp/taikai/2020amagasaki.pdf
 ・大分県教委 求償権訴訟勝訴
  https://www.ombudsman.jp/taikai/2020oita.pdf
 ・「会計検査院に是正措置要請」提案
  http://www.ombudsman.jp/taikai/2020sendai.pdf
 ・活性炭談合事件に取り組もう
  http://www.ombudsman.jp/ taikai/2020kasseitan.pdf

●大会プログラム
 http://www.ombudsman.jp/taikai/200920-21.pdf

●「大会のまとめ報告」を発表しました。
 https://www.ombudsman.jp/taikai/200921.pdf
*****大会のまとめ報告*****ZIP ⇒
1 はじめに
 今年の全国市民オンブズマン連絡会議の全国大会は、世界中を巻き込んだコロナ禍の影響を受けて初のオンライン対会となりました。
  コロナ禍は、世界中の人のこれまでの社会生活のあり様を一変させました。市民オンブズマンがこれまで監視して来た自治体の運用はどうでしょうか。今回のメインテーマは「コロナで広報はどうなった?」と「コロナで議会はどうなった?」とし、アベノマスクの配布に絡んだ不透明な発注によって注文された随意契約の問題点を取り上げ「随意契約の闇」として報告するなど、内容面でもコロナの影響を色濃く反映したものにしました。コロナ禍対策は緊急性を要するものですが、首長の専決処分と随意契約がセットになったとき、巨額の不正取引が行われる危険が極めて高くなります。このようなときこそ、オンブズマン的視点から情報の透明性や支出の妥当性の検討が必要です。
2 「コロナで広報どうなった?」
 「コロナで広報どうなった?」では、コロナ禍に関連する記者会見が連日報道で取り上げられたことに着目し、都道府県知事の記者会見について調査しました。本来パンデミック対策として人々の社会生活に重要な影響を与える一定の規制や自粛等の要請を行うにあたり、行政機関としては丁寧な説明の周知徹底が不可欠です。その手法として自治体のホームページで説明が行われていますが、記者会見はそれがテレビで生放送されるなどすることから、記者会見による周知効果は極めて高いものと思われます。知事の記者会見が頻繁に報道される自治体は目立ちますが、報道されない知事はどう情報を発信しているのか。この点について実情調査を行ったところ、記者会見に積極的な知事と消極的な知事の人数は拮抗していました。積極的な知事はより積極的に、消極的な知事はより消極的になった印象を受けます。これは知事の住民に対する平時からの姿勢の反映と言えるかもしれません。
 定例記者会見から質疑応答について発信しないという知事やコロナ関連での会見では質疑応答は発信しないという知事も見受けられました。答えにくい質問もあるかもしれませんが、そうした質問への回答から、知事の姿勢を県民は判断するのではないでしょうか。
 いずれにしても、コロナ禍で首長の情報発信に注目が集まったことを契機として、市民、住民の側からもその情報発信の透明性について引き続きチェックをしていかなければなりません。
3 「コロナで議会はどうなった?」
 首長の存在がクローズアップされたのとは対極的に、地方議会では自粛ムードが蔓延し存在感は一層薄くなりました。
 今回の調査では、議会の期間の短縮や質問時間の制限、なかには議員の出席人数の制限をしている自治体もあることがわかりました。地方議会の開催においてもクラスター発生を防止するためのコロナ禍対応に万全を期するのは当然のことですが、議会活動の質を落とす方向での対応は議会自らの存在価値を大きく損なうものとなりかねず、執行機関のチェック役を果たせているとはいえません。
 本会議の傍聴についてもソーシャルディスタンスの確保を理由に傍聴者数を制限する議会が多数あり、傍聴の自粛を求める議会も多数ありました。傍聴の自粛の呼びかけは市民を議会活動への関心から遠ざけることになりかねず、上記のような議会の存在価値の減退と相まってより一層存在価値を損なう状況が生まれつつあります。
 一方で、コロナ禍での私たちの経験は、ポスト・コロナの議会の可能性への気づきを与えるきっかけも生じさせました。それはインターネットを活用した議会参加です。これまで議場という場に集まって議論をすることを当然の前提としてされてきましたが、オンラインでの議会参加の検討が本格化すると思われます。
 過疎自治体を中心に、議員のなり手が少なくなっていくなかで、オンラインによる議会参加は、日常生活との両立や移動時間の問題を解消することで、より多様な人々に議員として活躍する可能性を実感させるところですし、市民との関係でも傍聴の代替手段に止まらず議会活動への市民参加をよりリアルにする、市民の双方向での対話を可能にする方向性を期待したいところです。
4 市民オンブズマンとコロナ禍
 コロナ禍の影響は、私たちオンブズマンの活動にも大きな影響を与えました。
 普段の活動でも集まっての議論をすることができない状況が続き活動が停滞した団体も多かったと思います。また、この全国大会開催のための準備や包括外部監査班の検討のための会議なども開催できず、当初予定していた鳥取での全国大会についても中止を決断せざるを得なくなるなど、全国市民オンブズマン連絡会議の活動についても危機的な状況に陥りました。
 しかし、ポスト・コロナの議会と同様、Zoom会議などインターネットを活用した新たなコミュニケーションの方法を利用したことによって、これまで以上に頻繁に準備会議を開くことができ、会議の回を追うごとに議論が深まり、初めてのオンライン大会の開催に漕ぎつけました。
 このような開催形態は、例年全国大会の会場にお出でいただいている皆さんの中から、実際の集まったときの熱気に接することができない物足りなさやオンライン参加の技術的な困難さへの不安などの声をいただきました。また、多数の人々の参加によって例年行っている大会宣言や決議なども見送ることとなり、全国のオンブズマンの一体的な活動や方向性の確認なども十分行うことができなかったことは、今後の反省点としなければならないと考えています。
 他方で、オンライン開催であるからこそ初めて参加したという方々がいますし、遠方での参加に二の足を踏んでいた市民オンブズマンの方々に参加の可能性を広げることもできます。このような面からみると、オンライン開催は私たちの市民オンブズマン活動をさらに広げ活発にするよい機会になったといえるのではないでしょうか。
 来年の全国大会の時期にコロナ禍が収束しているかどうかはわかりませんが、全国大会は開催します。状況に応じて現地開催かオンライン開催かを考えなければならないでしょう。いずれにせよ、両方のメリットを生かした全国大会を模索していきたいと考えています。
 今回のオンライン大会に参加いただいた皆様、参加していただき、ありがとうございました。開催手法その他について意見・感想をお聞かせてください。
                             以上
**********

■このように、次回、来年の全国大会は、新型コロナ禍が終息したり、ワクチン接種などによる安全確保が為された場合には、鳥取県米子市で集って開催の予定ですが、それが困難な事態が続く場合は、今年と同様にオンライン方式で開催されることになりそうです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連報道記事
**********日経2020年9月17日16:34
外部監査、4県市に優秀賞 129自治体の「通信簿」
 全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)は17日、都道府県と政令市、中核市に義務付けられた包括外部監査の内容を評価した2019年度の「通信簿」で、山梨県、岐阜県、沖縄県、堺市の監査を「優秀賞」に選んだと発表した。最優秀の「オンブズマン大賞」は該当なしとした。
 山梨県は住宅事業、岐阜県は県立の高校と特別支援学校、沖縄県は観光施策、堺市は文化事業などを監査のテーマにしていた。報告書が分かりやすく担当部署が改善のために活用しやすい点や、問題点を厳しく指摘していることを評価した。
 優秀賞に次ぐ「活用賞」には青森県など24自治体の監査を選び、秋田県など17自治体の監査は欠点が目立つとして「改善要望」を出した。
 包括外部監査は、自治体の行財政を公認会計士らがチェックする制度。弁護士らで構成する連絡会議の評価班が、19年度に実施された129自治体の報告書を調査した。
 オンラインで記者会見した同班の浜島将周弁護士は「報告書は自治体の問題が分かる貴重な資料。市民や地元議会でもフル活用してほしい」と呼び掛けた。
 17年度の監査報告を受けて各自治体がどう対応したかも調べ、埼玉県など24自治体を最も高い「A」評価とした。最低の「E」評価はなかった。
 連絡会議は全国の市民オンブズマンが情報交換のため結成。現在は42都道府県の69団体からなり、通信簿は包括外部監査が義務付けられた1999年度分から毎年発表している。〔共同〕

**********東京新聞2020年9月21日 17:05
コロナ禍こそ情報の透明性検討を 市民オンブズマン全国大会が閉幕
 新型コロナの影響で初めてオンラインで開かれていた全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)の全国大会は21日「コロナ禍でこそ(行政を監視する)オンブズマン的視点から情報の透明性や支出の妥当性を検討する必要がある」との報告をまとめ、2日間の日程を終えて閉幕した。
 この日は政務活動費のチェック方法や情報公開請求の手法などをテーマに三つの分科会を開催。会議の新海聡事務局長は「市民オンブズマンの手口全部教えます」と題し、これまで調査してきたテーマや、情報の入手方法などを紹介した。
 会議事務局によると、大会には各地から150人以上が参加した。
(共同)
**********

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