市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

感染者がダラダラと続く我が国を尻目に、すでに28日間国内感染者ゼロを達成した台湾の状況

2020-05-12 23:34:00 | 新型コロナ問題
■ピーク時よりはだいぶ感染者数が減ってきた我が国の新型コロナウイルスの発生状況ですが、近隣諸国の実態はどうなのでしょうか。5月7日12時時点での新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数について、近隣各国政府の公式発表数字を見てみると、人口約2400万人の台湾の健闘が目立っています。
  国・地域 / 感染者 / 死亡者
 ○中国     82,885   4,633
 ○香港      1,041     4
 ○マカオ      45     0
 ○日本     15,463    551
 ○韓国     10,810    256
 ○台湾       439     6
 ○シンガポール 20,198     18

 その台湾では、既に国内での感染者数ゼロの日が28日を達成したと報じられています。
*********TAIWAN TODAY 2020年05月11日
台湾内部での新型コロナ感染者は28日連続でゼロ、陳指揮官は「全ての人の功績」

台湾では海外からの流入を除いて、新型コロナウイルスの感染者が28日連続で見つかっていない。中央感染症指揮センターの陳時中指揮官は台湾に住む全ての人々の功績だと称えた。写真は10日、日中最高気温が32度を超えた台北市(台湾北部)天母の公園で遊ぶ子どもたち。(中央社)
 台湾では海外で感染して台湾に入境した人を除いて、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が28日連続で見つかっていない。中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当)専門家諮問チームの張上淳召集人はさきごろ、28日間(新型コロナウイルスの潜伏期とされる14日間の2倍)を超えて台湾内部での感染例が確認されなかった場合、公衆衛生の見地から言えば台湾は大変安全なコミュニティだと言えると述べていた。
 中央感染症指揮センターの陳時中指揮官は10日午後の記者会見で、台湾内部での感染者が28日連続で見つからないという成果を台湾があげられたのは台湾に住む全ての人々の功績だと指摘、本国人か外国人かを問わず非常に努力し、中央政府と地方自治体が協力したからこそ全世界に胸を張れる成果をあげることが出来たのだと述べ、引き続き台湾が誇らしくいられるようにと願った。
 台湾は感染防止に成功しているほか、感染者の回復率も83%で世界平均の34%を大幅に上回る。人口100万人あたりの死亡者も0.3人と非常に少ない。世界平均は36人に達する。
 ただ陳指揮官は、台湾での感染拡大は勢いを弱めているが国際的には依然として大規模な流行段階にあり油断はできないと強調、今後も水際での警戒を強め、国内では感染症を防ぐ新たな生活方式を実行していくことで、「のんびりと感染症予防に努める」生活環境の中、楽しく戦っていこうと呼び掛けた。
 台湾では台湾内部での感染例が28日連続で見つかっていない。報道関係者が、28日連続で感染者が見つからなかった場合はデング熱に照らし、台湾での「国内疫情警示」(国内感染症警告)を解除するか尋ねたのに対し、陳時中指揮官はデング熱が全世界で起きている感染症ではないことを指摘、その上で、新型コロナウイルスに関しては海外での深刻な感染状況にかんがみ、防疫のための戦略を引き続き厳格に守っていかねばならないとし、感染状況が収まって来たならば関連の制限を継続的に緩めていく考えを示した。
**********

■こうした実績を背景に、台湾の副総統が「ウイルスに国境はない」として中共による圧力がWHOから締め出されている現状を訴え、早期に台湾をWHOに復帰させるよう国連でアピールをしました。韓国が「K防疫」と銘打って、独自対策の成果を自慢した直後、再感染が広がりメンツをなくしましたが、すでに4週間感染を完全に押さえつけている「台湾方式」について、日本のメディアももっと注目しなければなりません。

**********TAIAWAN TODAY 2020年05月11日
陳副総統「WHOは専門性と中立性堅持し台湾を総会に招待せよ」

陳建仁副総統(写真)が台湾時間8日、米スタンフォード大学フーヴァー研究所が開催した「台湾と全世界の新型コロナウイルス感染状況:世界への啓示」オンライン討論会に参加して基調講演を行った。陳副総統はその中で、世界保健機関(WHO)に対し、台湾をWHOの体系に加えるよう呼びかけた。(総統府サイトより)
 陳建仁副総統が米西部時間の7日午前9時(台湾時間8日零時)、米スタンフォード大学フーヴァー研究所が開催した「台湾と全世界の新型コロナウイルス感染状況:世界への啓示(Taiwan and The COVID-19 Pandemic:Lessons For The World)」オンライン討論会に参加して基調講演を行った。講演はあらかじめ録画されたものが使用された。陳副総統はその中で、重症急性呼吸器症候群(SARS)を経験して以降、台湾は「注意深い態度」、「迅速な対応」、「先手先手の配備」という感染症対策の3大原則を確立していると説明、さらに「台湾モデル」で最もカギになるのは、国民がオープンで透明化された情報を得られることの確保だと強調した。
 以下は陳副総統の講演の抜粋である。
 全世界で新型コロナウイルスに感染した人は4月30日までで320万人以上、それによる死者も22万人を超えている。この感染症が人々の生活や労働の活動に与えた影響は未曾有のもので、全世界の経済もそれによって大きな打撃を受けている。
 グローバル化した世界では、台湾もこの災難を逃れることは出来ない。しかし台湾はウイルスが最初に発生した場所から極めて近い位置にありながら、被害の程度が中国そして他の国々よりずっと軽くて済んでいる。これは台湾が2003年に流行したSARSから得た厳しい教訓を生かしたことが原因だ。過去17年間十分な備えをしてきたことで、今回のウイルスに適切に対処することが出来たのである。
 SARSは台湾の防疫体制に多くの欠点があることを明らかにした。そして流行が収まると、我々は防疫体制の再構築に乗り出した。我々は「伝染病防治法」ならびに関連法規を見直して改正。それにより、今では感染症が広がった場合、政府は特定の医療機関を感染症対応病院もしくは感染者の隔離用病院に指定する権限を持つ。同時に、入院患者、外来の患者、救急患者の出入り口を分けるなど、院内感染を防ぐための措置をとることも出来る。さらに感染症の監視と通報の標準作業手続きを制定、水際での検疫作業の流れも最適化した。
 我々はまた、感染者と接触があった人ならびに感染地域から台湾にやってきた旅行者に対する「在宅隔離」もしくは「在宅検疫」措置も強化。関係機関には常に十分な緊急医療物資を確保しておくよう要求した。一方、感染状況について事実と異なる情報を伝えた者には罰金処分を科す。我々はSARSの経験から感染症に対応する人材が不足していることを痛感し、感染症の専門医を多く集めている。
 SARSは様々な専門家によって構成される防疫チームを発足させた。また、行政院衛生署(現・衛生福利部=日本の厚労省に類似)には「国際合作組」(国際協力部)が設けられ、公衆衛生に関する国際的な協力と情報の共有を推進することになった。これにより我々は国際社会にいっそう貢献できるようになっている。
 系統立てて組織を再構築することは情報のオープン化と透明化、そして共有を促した。これもまた17年後の今日、台湾が今回の感染症に対して一定の備えが出来ていた原因であろう。
 台湾は現在、新型コロナウイルスへの対応で主に3つの原則を守っている。SARS流行後に定めたもので、「注意深い態度」、「迅速な対応」、「先手先手の配備」である。
 まず「注意深い態度」。昨年12月31日、衛生福利部疾病管制署(CDC)の関係者はインターネット上の書き込みに中国の武漢当局の公告があることに気付いた。それはSARSと似た症状の感染例について詳しく書かれたものだった。慎重に考慮した上で我々は国際保健規則(IHR)の仕組みを通じ、世界保健機関(WHO)に電子メールを送り、武漢におけるこの患者たちが隔離治療を受けていることを伝えた。
 次に「迅速な対応」だ。我々は昨年12月31日からただちに、武漢からの入境者全員に旅客機搭乗前の検温を行うことにした。同時に一連の防疫措置を起動。その後、疾病管制署に特別対策チームを設置し、感染状況の監視に努めると共に専門家2名を武漢での実地調査に派遣した。
 そして3つ目は「先手先手の配備」。1月21日に台湾で初めて感染者が確認されると、同日ただちに中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当。中国語では中央流行疫情指揮中心)を立ち上げて様々な措置を前倒しでスタート、政府全体で取り組む姿勢を打ち出した。また水際対策も強化、台湾に入境する全ての旅行者に自主的な健康状態の記録と申告を行わせ、海外からの感染者をただちに発見できるよう努めた。3月19日からは、海外から入境する全ての旅行者に14日間の「在宅検疫」を義務付けた。また、感染者と濃厚に接触した人には14日間の「在宅隔離」を課した。そして「在宅検疫」及び「在宅隔離」を終えた人にもさらに7日間の自主健康管理を義務付けた。
 人々に防護物資を行き渡らせることも極めて重要だ。我々にはSARSが広がった時、感染予防に有効なN95マスクが足らなくなった経験がある。今回我々はマスクの生産量を高めなければならないこと、そして必要な時にはマスクの配給制度を実施しなければならないことを知っていた。今、台湾では1日に1,500万枚以上のマスクを生産できる。この生産能力は1日2,000万枚まで引き上げる予定だ。
 こうした全ての措置の中で強調したいのは、「台湾モデル」の最も重要なカギが「透明化」であることだ。政府は新型コロナウイルスの感染が広がり始めた時、人々がオープンで透明な情報を得られるよう努力した。中央感染症指揮センターは1月から毎日記者会見を開いている。衛生福利部の部長(大臣)とそのチームが最新の感染者数を発表し、関連の防疫措置を詳しく説明する。メディアが根拠に基づいて正確な報道ができるようにするためだ。中央感染症指揮センターは当初からオープンで透明な情報提供に力を尽くしたことで権威を確立し、人々の信頼も得た。このことは社会の安定につながり、みなを政府の感染症対策に協力しようという気にさせた。フェイクニュースのもたらす影響を減らす効果もあった。こうしたことでプラスの循環が生まれた。人々の信頼の度合いが大きければ大きいほど、多くの人々が政策に従い、我々はこの難関を乗り越えることが出来るのだ。
 SARSが広がった時、台湾は孤立無援だった。そして今また、WHOから排除されている。しかし我々のつらい経験は、いかなる国も単独で感染症に向き合うべきではないことを告げている。国際的な協力こそが世界的な感染症に対抗する唯一の道なのだ。今回、「台湾モデル」は全世界から評価されている。我々は我々の知識と経験、専門能力を国際社会と喜んで共有したいのだ。「台湾がお手伝いします。そして今、手伝っています」。4月30日までに我々は様々な国に1,700万枚のマスクを寄付している。
 台湾で学術研究をリードする中央研究院も、欧州連合(EU)の政府関係者、チェコ、トルコの科学研究機関とそれぞれテレビ会議を開き、実現可能な国際協力について話し合っている。台湾の病院でもテレビ会議を用いて、助けを必要とする国々と感染症対策の経験と技術を分かち合っている。
 感染が広がっている間、世界各国は団結してこの問題を克服しなければならない。我々はこれからもマスクや医薬品、科学技術を提供して国際社会をサポートする。世界がグローバル化している今、感染を制御出来ない国があったならば、我々にも安全は永遠に訪れない。だからこそ、台湾は自からの力を尽くして感染症の蔓延を阻止しなければならないのだ。
 全世界が団結しなければならないのに、台湾が世界で最も重要な公衆衛生機関であるWHOから再び拒絶され、WHOの外に置かれることがあってはならない。台湾をWHOの体系から除外しておくことは台湾の2,300万人の権益を無視するばかりでなく、それによって生まれる抜け穴が全世界の防疫ネットワークのリスクを高めるのである。
 2009年から2019年までの間に我々はWHOに対し、187回の技術会議への出席を申請した。認められたのはそのうちわずか57回である。拒否される率は70%だ。最新の情報が欠落した交流は、全世界の公衆衛生体系の潜在的なリスクとなるであろう。台湾のWHO参与は政治的な議題とみなされるべきではない。それは人々の生活と公衆衛生、人権に関わることなのだ。
 「台湾モデル」が新型コロナウイルス対策に有効なことを全世界は知っている。我々のストーリーは人々の耳に届かなければならない。台湾の感染症対策は見事な成果を上げており、経験を共有できれば、我々は国際社会が次の感染症のためにより周到な準備を整えるのを助けることが出来る。
 今回の感染がいつ収束するのか、また感染の次の波がいつ来るのか誰も知らない。最も重要なことは、全ての国々が今回の教訓を生かし、台湾が2003年のSARS以降に行ったように完璧な防疫措置をとることであろう。
 全世界の公衆衛生に責任を負うメンバーの1人として、我々はこれからも「台湾モデル」を他と分かち合い、全力で貢献していく。ウイルスに国境は無い。そしてウイルスは政治と無関係だ。団結してこそ撃退できるのである。
**********

■しかし中共は、今回の新型コロナ禍の原因国としての自覚もなく、むしろ今回の惨事で、香港問題から国際世論の目をそらせることができたとして、さらには、新型コロナ禍で苦しむ国々に対して、「いち早く感染を沈静化できた」などと強権国家ならではの防疫手法を自画自賛し、医療援助を通じて、自国の権益を広めるチャンスとばかりに、攻勢に転じています。すでに、セルビアや隣国ハンガリーをはじめ、アフリカ諸国には、その破廉恥な手法に同調した国々もあらわれています。

 その矛先は、当会がこれまで6回にわたり取材をした南米パラグアイにも向けられています。

**********フォーカス台湾2020年05月08日18:46
パラグアイで台湾支持派への圧力増加か 外交部「関係は密接で友好的」

中華民国、パラグアイの国旗小旗を振るパラグアイの学生たち=2018年8月14日、アスンシオン
(台北中央社)米誌アメリカズ・クオータリー(電子版)は7日付の記事で、経済や新型コロナウイルスの影響を背景に、パラグアイ内部で台湾支持勢力に対する圧力が強まっていると指摘した。外交部(外務省)の欧江安報道官は8日、台湾とパラグアイの関係は長年にわたり密接で友好的だと説明し、今後も各分野で引き続き外交や協力関係を深化させていくと述べた。
 パラグアイは1957年に中華民国(台湾)と国交を樹立。台湾と外交関係を結ぶ南米唯一の国となっている。
 欧報道官によれば、パラグアイで3月末、中国との即時国交樹立を政府に求める提案が野党議員7人から連名で提出され、先月17日の上院臨時議会で反対25、賛成16、欠席4の反対多数で否決された。
(陳韻聿、楊育銓/編集:名切千絵)

**********Taiwan News 2020年05月08日14:08
Paraguay could loosen ties with Taiwan in favor of China: Americas Quarterly
Paraguayan beef and soy exporters eye the Chinese market


Paraguayan President Mario Abdo Benitez (right) with President Tsai Ing-wen in Taipei in 2018 (CNA photo)
TAIPEI (Taiwan News) — Paraguay's Senate defeated a motion to switch recognition from Taiwan to China just last month, but pressure for a change is mounting from farmers and businesses in the Latin American country, according to an article published in Americas Quarterly Thursday (May 7).
In their article, Tom Long and Francisco Urdinez note how the recent vote was pushed by politicians arguing that China is better situated to help Paraguay weather the Wuhan coronavirus (COVID-19) pandemic. Taiwan’s supporters won the vote 25 to 16, and the island has donated 280,000 face masks and other items to the South American nation.
However, the enormous appeal of the Chinese market for Paraguay’s beef and soy industries may yet lead to a switch. At present, the products might reach China through an indirect route but without the return of loans, credits, and investments.
Until now, the links between Taiwan and Paraguay produce mutual but asymmetrical benefits, the authors argue. The island’s only remaining South American ally backs its case at international bodies, such as the United Nations General Assembly and the World Health Assembly, and it sympathizes with Taiwan because of its own history of being bullied by larger neighbors.
As Taiwan’s only ally in the region, Paraguay can play a unique role that it could not if it were one of China's many diplomatic partners, according to Long and Urdinez. In the end, China is succeeding in fracturing Paraguay’s once-unified elites, making some wonder why they should ignore the most populous nation in the world when it offers great financial and economic benefits, the authors said.
(By Matthew Strong, Taiwan News, Staff Writer)

**********フォーカス台湾2020年05年11日13:01
「台湾とパラグアイに外交危機はない」=呉外相

呉ショウ燮外交部長(ショウ=刊の干を金に)
(台北中央社)南米パラグアイで中華民国(台湾)との外交関係を巡り生じている不穏な動きが米誌で伝えられたのを受け、呉ショウ燮外交部長(外相)は11日、「台湾とパラグアイに外交危機はない」と述べ、危機出現を否定した。立法院(国会)外交・国防委員会への出席前に報道陣の取材に応じた。(ショウ=刊の干を金に)
 米誌アメリカズ・クオータリー(電子版)は7日付の記事で、パラグアイ内部で台湾支持派への圧力が強まっていると指摘。パラグアイ上院で先月、中国との国交樹立に関する採決が行われたことなどを例に挙げた。
 呉部長は取材に対し、パラグアイ政府は一貫して台湾を支持していると説明した上で、民主主義国家において様々な意見が出るのは普通のことだと言及した。
 外交部によると、パラグアイでは3月末、中国との即時国交樹立を政府に求める提案が野党議員7人から連名で提出され、先月17日の上院臨時議会で反対25、賛成16、欠席4の反対多数で否決された。
(游凱翔/編集:名切千絵)
**********

■こうして、筋金入りの反共国家であったパラグアイは、おなじく反共政策を掲げた台湾の国民党政府とはかつてのストロエネル大統領(1954年~1989年まで通算8期35年間)時代から好関係ですが、互いに民主国家体制になった現在、台湾では国民党が親中政策をとる始末となりました。幸いにも、中共の覇権主義を警戒する民進党が、ストロエスネル時代からパラグアイの与党であり続けるコロラド党との関係を維持しています。

 他方で中共の圧力により、今回の台湾排除動議の背景となった農業国パラグアイの輸出産品である大豆や牛肉の買い付けをはじめ、Huaweiをはじめとする中国製品の輸入は目覚ましいものがあります。したがって、今後、とくに新型コロナ禍のあとの経済社会動静にもよりますが、中共の甘言に弄されたパラグアイの政治家や経済人らが、不穏な動きを見せる事態は常にあります。

【群馬県台湾総会理事】

コメント (2)
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国策マスク・行政マスクを巡る不透明感からあらためて痛感させられる情報開示・説明責任の重要性

2020-04-29 22:51:00 | 新型コロナ問題
■新型コロナの感染拡大が世界規模で展開されているなか、原因国の中国がマスクを戦略物資として捉え、自らの責任を棚に上げ、世界各国に恥知らずの外交攻勢をかけています。我が国では、国策のアベノマスクの配布を巡り不透明な調達方法が話題になっていますが、政治家にとっても、今やマスクは格好のPR材料にされています。高崎芸術劇場の官製談合が注目されている全国トップクラスの談合体質を有する高崎市でも、先月ベトナム製とみられるマスクの配布を行いました。ところが、このマスクの調達担当部署を高崎住民が確認しようと4月22日に「配布したマスクの購買は何課が担当ですか?」と尋ねたら、たらい回しにされた挙句、同日夜7時30分になって、曽根総務部長から電話があり、「高崎保健所の総務課」がマスクの購買担当ということが分かりました。しかし、配布されたマスクに同封されていた送り状を見ると、連絡先は福祉部長寿社会課福祉施設担当とあり、どこの部署のどのような予算でいくら税金を投じたのかが曖昧です。よく確認する必要がありそうです。


 高崎市が4月23日にHPで公表したマスク配布に関する情報は次のとおりです。

*****マスクの配布について*****高崎市HP 2020年4月23日
https://www.city.takasaki.gunma.jp/info/corona/0204/020422.html
マスクを約70万枚確保。子どもや高齢者などに配布しました
 市は、市内の小中学生や高齢者の他、福祉・介護施設や放課後児童クラブの職員などを対象に、使い捨てマスクを配布しました。
 これは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うマスク不足を受け、入手できたものを活用するもの。市内の小中学生などの子ども、高齢者、妊婦、学校や施設の職員など、計約17 万人に配布。市はこれからも、マスクの確保に努めます。
○保健医療総務課
電話: 027-381-6111
E-mail: hoken-soumu@city.takasaki.gunma.jp
**********

■高崎市のマスク40万枚配布について最初に報じられたのは4月14~15日でした。

**********共同通信2020年4月14日 18:32
高崎市がマスク40万枚無償配布 群馬、小中高生や妊婦などに
 群馬県高崎市は14日、市内の小中高生、妊婦、保育園と幼稚園職員、高齢者福祉施設の職員などに不織布マスク計40万枚の無償配布を始めた。マスクはベトナム製で3月下旬から市内の企業を通じて発注し、さらにホームセンターから寄付も受けた。
 小中高生全員に各10枚、それ以外には1人に3枚ずつ配る。2019年度から繰り越した予備費約2千万円を充てる。
 富岡賢治市長は「マスクの確保は困難だったが、緊急に必要な方に配布できてよかった」とコメントした。今後さらにマスクが入手できれば、高齢者世帯への配布も検討するという。(共同通信)

**********高崎新聞2020年04月15日
マスク40万枚を配布

★6万4千人が対象★
 高崎市は、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、使い捨てマスク40万枚を市内小中学生や教職員、障害者施設、介護・高齢者施設職員などに配布する。
 小中学生には一人10枚、職員には一人3枚を配布する。対象者は6万4308人、配布数は40万1867枚。
 4月14日に、高崎アリーナで職員150人により仕分け作業を行い、順次配布する。
 高崎市の富岡賢治市長は「マスクの確保は困難だったが、これだけのマスクが入手できた。緊急に必要な方々に配布することができて良かった」とコメントしている。
 高崎市は、これまで新型コロナ対策として、備蓄マスクの配布を実施してきた。
<対象者>
小中学校(特別支援含む)の児童生徒全員(各家庭に郵送)
小中学校の教職員
公立・私立の保育園・幼稚園、認可外保育園、病児病後児保育の職員
放課後児童クラブ、児童館、子育て支援センター等の職員
高崎経済大学附属高校生徒と職員
障害者施設、介護・高齢施設の職員
妊婦、難病患者、在宅医療的ケア児・者
区長、民生委員・児童委員

**********東京新聞2020年4月15日
【群馬】<新型コロナ>高崎市、小中高生らにマスク40万枚

 高崎市は14日、市立小中高校の児童・生徒全員と公私立の幼稚園や保育園などの教職員らを対象に、マスク計約40万枚の配布を始めた。
 配布の対象は市内の小中学校(特別支援学校を含む)と、市立高校の児童や生徒計約2万9850人に1人当たり10枚。
 学校や幼稚園、保育園、放課後児童クラブなど子ども関連施設と、障害者や高齢者など福祉・介護施設の全職員には1人当たり3枚を配る。難病患者や妊婦、在宅医療ケア児、民生委員など行政委員にも同3枚を提供する。
 マスクの品薄が続いて入手困難な状況を踏まえ、市が独自に確保した。14日は同市下和田町の高崎アリーナで、職員が150人態勢でマスクの仕分け作業に追われた=写真(市提供)。児童と生徒の家庭には郵送し、施設などには順次配布する。(石井宏昌)

**********毎日新聞2020年4月15日
新型コロナ 高崎市、マスク40万枚配布 児童・生徒など6万5000人に /群馬

マスクを仕分けする市職員ら=群馬県高崎市で
 高崎市は14日、新型コロナウイルス感染防止対策として、市内小中学校の児童・生徒や教職員、幼稚園・保育園の園児と職員、障害者施設など約6万5000人を対象に、約40万枚の使い捨てマスクの配布を開始した。
 配布数は、児童・生徒には1人10枚ずつ、ほかの対象者には3枚ずつ配布する。
 市は使い捨てマスクを13日までに約40万枚入手。トラックなどで高崎アリーナ(同市下和田町4)に搬入。市職員150人が配布先への仕分け作業をした。郵送などで各家庭や施設に配布する。【佐藤伸】

**********産経新聞2020年4月14日18:55
使い捨てマスク40万枚配布 群馬・高崎市、児童生徒らに

新型コロナウイルス感染防止のためのマスクの仕分け作業を行う群馬県高崎市職員=14日、同市の高崎アリーナ(同市提供)
 群馬県高崎市は14日、新型コロナウイルス感染防止のため、市内の小中高生や妊婦、高齢者施設などに使い捨てマスク計約40万枚を無償配布すると発表した。さらにマスク確保に努め、入手でき次第配布する。
 市の計画によると、配布するマスクは小中学校の児童生徒向けが大半を占め、1人10枚ずつ計約29万枚を各家庭へ郵送する。高崎アリーナ(同市)では14日、市職員がマスクの仕分け作業を行った。
 富岡賢治市長は「確保は困難だったが、これだけのマスクが入手できた。緊急に必要な方々に配布することができてよかった」とコメントした。

■続いて第2弾として、高崎市は4月18日にマスク31万枚余りの配布を発表しました。

**********上毛新聞2020年04月19日11:00
65歳以上の市民 マスク3枚郵送 高崎市
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスク不足を受け、高崎市は18日、市内の65歳以上の高齢者約10万4千人に1人3枚ずつ、使い捨てマスクを配布すると発表した。同日から順次郵送する。
 市に住民登録した人が対象で、計31万枚超を配る。富岡賢治市長は「重症化の恐れがある高齢者の方々に配布できて良かった。皆さんの安心につながればうれしい」とコメントした。
**********

■以上トータルすると高崎市が今回配布した約71万2千枚のマスクの単価を約135円とすると、約9600万円余りとなります。このうちの一部はホームセンターからの寄付を当てているようですが、3月下旬から市内の企業を通じて発注したとされていることから、令和元年度末に余った予算を流用した可能性もあります。

 官製談合でならす高崎市役所の体質からすると、やはり調達の経緯を明らかにしてもらう必要がありそうです。

■一方、国策のアベノマスクについても、怪しげな調達の実態が浮き彫りにされています。

**********東京新聞200年4月29日
[こちら特報部]ナゾノマスク業者 遅れて公表ユースピオ
看板なし、公明党議員に寄付 社長の別会社は以前脱税

 安倍晋三首相が「1住所あたり2枚配布」とぶち上げ、「アベノマスク」とも呼ばれる布マスク。妊婦用を調達した4社のうち、国が公表を拒んできた1社が27日に明らかになった。「ユースビオ」。登記上の住所に看板はなく、どうやら過去にマスクを手掛けたこともない。発注のいきさつや契約の内容を質問しても、厚生労働省の説明は要領を得ない。何を隠そうとしているのか。

妊婦向け布マスクを受注した「ユースピオ」の会社事務所。社名の記載はなく、窓には公明党のポスターが貼ってあった=福島市内で
 福島駅西口から高湯街道と呼ばれる県道を西へ約三キロ。そこから住宅街に少し入ったところに「ユースビオ」がある。平屋で横長に六つの事務所が並ぶ。長屋のような造りになっている。住所で見ると、ユースピオはその一室になる。
 外付けの郵便受けには白いテープが貼ってあり、何も書いてない。ガラス戸や建物壁にも社名の記載はない。目に付いたのが、窓ガラスに貼られた一枚の公明党のポスター。ガラス越しに見えた室内にも、山口那津男代表が笑顔を見せる公明党のポスターがあった。
 会社の所在地周辺には昨日の今日で見物人が訪れていた。千葉県柏市から車で来た自営業男性(四一)は「表札も出ていないし、何の会社かもわからない。怪しいですよね。それでよく、国は億単位の取引を決めたと思う」と語った。
 どんな会社なのか。
 近所の人に聞いても「社長一人でやっていて、従業員はいない。何をしてるかはわからない」「社長が出入りしているけど。うちは関係がないから」とはっきりした話は出てこない。
 午後二時半前。黒いワゴン車が止まり、社長の樋山茂氏がやってきた。青いジャケットに黒っぽいズボンに長めの髪。「今日はやらない(取材に応じない)」とひと言残すと、事務所から荷物を取り、すぐ車で立ち去った。
 電話でも樋山氏に話を聞こうとした。「電話では誰だかわからないので対面じゃないと話さない。(対面は)きのう大手新聞社に話して一日費やしたから、今日はしゃべらない。以上」と言うだけだった。
 仕方ないので二十七日に配信された共同通信の記事を参照する。それによると樋山氏は五十八歳。樋山氏は「ユースビオはベトナムに駐在員を置き、木質ペレットを輸入販売している。ベトナムでマスクを調達できることを県議らに話し、国に一枚約百三十円で約三百五十万枚を納入することになった」という趣旨の説明をしている。
 樋山氏は以前、地元新聞に掲載されたことがある。樋山氏と、樋山氏が社長を務める会社「樋山ユースポット」が消費税などを免れたとされる脱税事件。福島地裁で二〇一八年に有罪判決を受けている。
 「今の政権を考えると、また『お友達』的につながっているのではないかと疑ってしまう」という福島市の丹治尚武さん(七九)のように、政権との近さで調達業者に選ばれたのではと疑う人もいる。
 調べたところ、一五年に公明党の若松謙維(かねしげ)参院議員(比例)の政治資金管理団体に十二万円、妻とみられる女性も同額を寄付していた。それ以上の政界とのつながりは、これまでの取材では浮かんでいない。

覆い隠さず説明を
取り扱い実績なく不自然 税金投入 透明性が必要

★今月、登記に「貿易」加え★


(上)厚生労働省が入る中央合同庁舎第 5 号館=東京・霞が関で。(下)郵便局に搬入された政府が配布する布マスク=東京都世田谷区で
 実は「登記手続き中」という理由で、二十七日はユースビオの法人登記を見ることができなかった。手続きが終わったのか二十八日は閲覧できた。
 登記によると、設立は二〇一七年八月で、 資本金一千万円。事業内容に変更があった。 再生可能エネルギーの生産システムやバイオガス発酵システムの研究開発と販売▽発電や売電に関する事業―。これらは従来通り。新たに、企業の売掛債権を買い取る「ファクタリング」、貿易や輸入代行業などが加わった。貿易は今回のマスク輸入に向けて加えたようにみえる。
 国税庁のホームページで調べると、ユースビオの住所に計十一の法人がある。樋山氏はユースピオと樋山ユースポットで社長を務めている。その他の会社との関係は不明。問い合わせに「長屋のような建物なので、同じ住所になる。ユースビオとは無関係」と答えた会社もあった。
 民問信用調査会社には、樋山ユースポットの記録だけがあった。〇五年三月設立で資本金三百万円、従業員は四人。樋山氏は大学を中退して自衛隊に入隊。その後いくつか会社を設立し、現在に至る。電気通信機器やネットワークシステムの保守を手掛け、大手と取引があって経営基盤は安定していた。東日本大震災以降は復興事業にも乗り出した。経済産業省の復興関連の補助にも社名があった。
 どうやら、樋山氏は過去にマスクを扱ったことはないようだ。ではなぜ、国が白羽の矢を立てたのか。納期を守り、不良品はなかったとのことだが……。
 布マスクの経費には、予備費で二百三十三億円、本年度補正予算で二百三十三億円を見込んでいる。厚生労働省マスク等物資対策班によると、「不良品」が問題になった今回の配布は、予備費を使い、妊婦と介護施設に用意した分だ。
 班の原田浩一氏は「競争入札ではなく、(特定の業者を指名する)随意契約で決めた。広くメーカーなどに声をかけ、応じた社の中から供給力などを考慮して選んだ」と説明する。複数の見積もりを取り、安い会社と契約する「相見積もり」は行っていない。
 各社別の契約金額とマスクの枚数については、原田氏は「どういう数字にするか決めていない」「分からない」「非公表」と繰り返した。樋山氏は報道各社に「一枚約百三十円で約三百五十万枚」と答えた。厚労省側は認めていなかったが、二十八日にようやく「五億二千万円の緊急随意契約」と加藤勝信厚生労働相が国会で説明した。
 一社だけ社名公表が遅れたことに原田氏は「妊婦分の業者はどこかと尋ねられ、三社は調達先として確認できたので公表した。この会社については確認が遅れた。」ならば手間を掛けなくても調達先を全社、公表すればいいのではないか。
 法政大法学部の五十嵐敬喜名誉教授(公共政策)は「緊急事態なので随意契約はやむを得ない。それでも選定経緯や契約内容について説明することは欠かせない。官公庁は長年の実績をもとに随意契約する業者を選ぶはずだ。ユースビオは三年前の設立で実績もない。こういう企業を選ぶのは不自然だ」と疑問を示す。
 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士も「随意契約に透明性の確保は当たり前。どこにどれだけ税金を投入したのか説明するのは政府の義務。業者側に迷惑がかかるのを恐れたとしても、非公表は税の使い方に責任を持つ立場の行動から外れている。国民の疑念に対して自分の言葉で説明し、納得させる能力が首相や政府にないことがあらわになった」と切り捨てた。
[デスクメモ]
爆発した原発建屋の上から水を注いだ生コン圧送機。誰も相手にしなかった業者の声を公明党が拾って政権中枢に知らせ、原発は危機を脱した。マスクでも人肌脱いだのかもしれない。それとも「オトモダチ」優遇か。そもそも無関係か。いずれにせよ厚労相の対応は不可解だ。(裕)
2020・4・29
**********

■このように、緊急事態を口実に、ドサクサ紛れに情報開示や説明責任を怠る国や地方自治体ですが、平時でも情報秘匿や説明放棄の体質のため、納税者・住民としては、このような時こそ余計に行政の秘密主義に警戒する必要があります。

【5/3追記】
**********毎日新聞2020年5月2日 20時57分(最終更新 5月3日 05時06分)
アベノマスク「国策」随契2社、深まる謎 業務分割し発注 契約書に合計金額なく

政府が配布した布マスク。表裏の差は見られない=米田堅持撮影
 政府が全国に配布を進めており、妊婦向けのものを中心に不良品が相次いで発覚した布マスク。納入業者の中で、政府が当初会社名を公表せず、他社と比べて事業規模や知名度が大きく違う点で注目されているのが、福島市の燃料輸入販売業者「ユースビオ」と、千葉県富里市の切り花輸入商社「シマトレーディング」の2社だ。社民党党首の福島瑞穂参院議員が、厚生労働省と2社が結んだ契約書を入手し、ツイッター上で2日公開した。大規模な「国策」の随意契約で、なぜこの2社が選ばれたのか。契約書を見てもなぞが深まるばかりだ。【上東麻子、山口朋辰/統合デジタル取材センター、渡部直樹/福島支局】

公開されたユースビオと厚生労働省の契約書(1枚目)=福島みずほ事務所提供

公開されたユースビオと厚生労働省の契約書(2枚目)=福島みずほ事務所提供↑」

公表されたシマトレーディングと厚生労働省の契約書(1枚目)=福島みずほ事務所提供

公表されたシマトレーディングと厚生労働省の契約書(2枚目)=福島みずほ事務所提供
★大手企業ばかりの中で…… ★
 政府は妊婦向けマスクの納入業者は4社あり、うち3社は、医薬品などの専門商社・興和(名古屋市)▽大手総合商社・伊藤忠商事(東京都)▽総合アパレルメーカー・マツオカコーポレーション(広島県福山市)--と発表したが、残り1社は当初明らかにしていなかった。菅義偉官房長官が4月27日になり、ようやくユースビオだと公表し、他3社に比べて事業規模が小さく無名の会社であることから注目された。
 さらに28日には、加藤勝信厚生労働相が衆院予算委員会で、ユースビオに加え、関連の輸入業務についてシマトレーディングとも契約しているとした。契約額は両社合わせて合計5億2000万円としていたが、枚数や単価、契約時期は明らかにしなかった。
★2社に分けて発注 「マスク原料」を納入? ★
 厚労省が福島議員に示した契約書は2通あり、契約日はいずれも3月16日。ユースビオとは「生産原料調達一式」の契約を結び、「ベトナム産 抗菌布マスク原料」を「単価55円、350万枚」で発注。シマトレーディングとは「輸入業務一式」について契約し、「ベトナム産 抗菌布マスク」を「単価80円、350万枚」で発注するとしている。いずれも「履行期限又(また)は契約期間」は3月31日で、契約保証金は「免除」となっている。
 ユースビオの樋山茂・代表取締役は4月27日、毎日新聞の取材に対し、「ベトナムの工場と契約し、自社で生産管理をしてマスクを輸入した。枚数は3月分として350万枚、単価は135円」と説明。ユースビオ、シマトレーディングのそれぞれの契約単価を合わせた数字と一致する。
 シマトレーディングは取材に「9割9分9厘は花の輸入、加工の仕事をしており、マスクの輸入は今回が初めて。ユースビオの代表から相談があり、輸入の際の通関の部分だけを担った」と話していた。
 妊婦向けマスクを取り扱う他3社は製造、輸入まで一括して担うが、なぜユースビオの場合だけ、通関業務を他社に切り分けるのか。規模が小さいだけでなく、一括して事業を遂行できない会社と国が契約したことにも疑問が残る。
★取り扱い実績ないのに、巨額の契約★

ユースビオの入居する建物=福島市で2020年4月27日午後3時41分、渡部直樹撮影
 そもそもユースビオはどんな会社なのか。事務所は、JR福島駅から西へ約2キロにある平屋の小さな建物。
 樋山代表によると、燃料用の木質ペレットをベトナムから輸入するのが主な業務で、過去にマスクを取り扱った実績はない。ところが、厚労省と3月16日に契約を済ませて1カ月近く後の4月10日、法人登記の変更を法務局に申請し、事業目的に「輸入取り扱い業務」を加えた。これも不自然だ。
 契約の経緯について、樋山代表はこう説明した。「県会議員を通じて、『マスクが足りない』という話を聞き、『ベトナムから輸入できますよ』と福島県に伝えたところ、相当量を契約するということで話が進んだ。それが2月後半だった。3月上旬に『マスク調達は国が一括することになった』と連絡があり、経済産業省に話をすると、ぜひ国でも調達したいということになった」。その後、マスクの検査成績表やサンプルを提出し、契約が決まったという。
 国との契約後に登記を変更したことについては「これまでの定款では、マスク輸入ができるかグレーゾーンだったため、輸入できるよう定款を変更するためだった」と説明した。
★ユースビオとの契約「幅広く声かけした結果」 ★
 今回のマスク納入業者は、入札を経ない随意契約によって結ばれた。国の公共事業は、複数の業者による一般競争入札を経て契約相手を決めるのが基本とされるが、契約額が少額の場合や緊急を要する場合、国の政策上秘密にする必要がある場合は、随意契約ができるとされている。
 業者選定の経緯について、厚生労働省医政局経済課の担当者は「政府として、幅広く声かけを行った事業所のうちの一つが、ユースビオさんだったということです。マスクの品質、価格とか企業の能力、迅速に対応できるかどうかという観点で選定を行って、速やかにマスクを配布できるという観点から緊急随意契約を行った」と説明。契約の経緯については「私の方からは申し上げられない」とした。
 菅義偉官房長官も4月28日の記者会見で、「マスクの品質や価格、企業の供給能力、迅速に対応が可能かどうかといった観点から選定を行った」として適切な契約であることを強調。「国会議員や地方議員から個別の企業の取引を促すような口利きや紹介はなかった」としている。
★「極めて不自然」「通常はありえない」★
 契約書を入手、公開した福島議員は「これでは(2社合計で)マスク700万枚についての契約書なのか、350万枚のものなのか分からない。もし350万枚の契約ならなぜ2通あるのか、なぜ55円と80円で分けるのか、わからない」と首をかしげる。「詳しくは今後、調査をしていきたい」と話している。
 公文書に詳しい全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は、2通の契約書について「極めて不自然な契約書だ」と指摘する。「普通ならユースビオが輸入業務を委託したとしても、それはユースビオとシマトレーディングとの契約になるはず。国の公共事業として、わざわざ原料調達と輸入業務を別々に発注することは通常ではありえない。また、合計金額が書いていないことも不自然です」と話す。さらに「緊急性があるために随意契約としたことは理解できますが、その場合、実績のある会社に任せるのが通常。マスクを調達して納入することが目的なのに、輸入業務もできない会社に原料だけ発注していることの合理的な説明が必要です。利権のために競争性を排除したと思われてもしかたありません」と話している。
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【速報】群馬県台湾総会が県内の新型コロナ医療従事者の皆さんに台湾製防護服・ゴーグルを寄贈

2020-04-27 22:56:00 | 新型コロナ問題
■中共によって国連機関のWHOから排除されている台湾ですが、世界的に蔓延している新型コロナウイルス対策で顕著な防疫成果を上げているとして今や世界中から関心を集めています。そうした中、医療崩壊とは無縁の台湾では、新型コロナ対策の医療器材に余裕があるということで、群馬県台湾総会では、毎年7月に開催してきた台湾フェアで多くの県民の皆さんにご来場いただいたお礼と、今年7月に中止を余儀なくされた台湾フェア開催準備金の有効利用、および会員の皆さんの浄財を急遽募るなどして、台湾から防護服500着とゴーグル500個を調達しました。梱包の関係で、実際に日本に届いたのは防護服490着、ゴーグル600個でしたが、本日4月27日に無事、県庁に搬入されました。
 さっそく県から次のメッセージが群馬県台湾総会宛に寄せられました。
「今回のものをもちろん病院関係で使ってもらいますが、そのほかにコロナ患者さんに泊まってもらうホテル側の医療従事者にも使ってもらっていいでしょうか」
 これに対して当会から「勿論コロナに関する必要な方達にどうぞ使ってください」と返事をしました。群馬県内の医療関係者の皆様の役に立てれば何よりです。

4月27日に県庁に届いた台湾からの支援物資:防護服490着、グーグル600個。

 台湾政府からは先日4月21日に、日本に対してマスク200万枚が贈られました。

**********フォーカス台湾2020年04月21日14:34
台湾製マスク200万枚、日本に到着 菅官房長官「心から謝意」

親指を立てるポーズを決める古屋・日華懇会長(左)と謝駐日代表
(東京、台北中央社)新型コロナウイルスの感染拡大防止を支援するため、台湾から日本への寄贈が発表されていたマスク200万枚が21日午前、成田空港に到着した。菅義偉官房長官は同日の会見で「台湾側からの温かい声援と支援に改めて心からの謝意を表明したい」と述べた。外交部(外務省)の欧江安報道官は、日本との連携深化に期待を示した。
 感染状況が深刻な国などに提供されている台湾製マスク。この日、貨物機から降ろされたマスクには「Taiwan can help(台湾は手助けできる)」「台湾日本友好」と大きく文字が入った赤い横断幕が掛けられていた。
 外交部によれば、日本でウイルスの感染が広がる中、医療物資の提供を台湾に要請する声が超党派議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)などから寄せられていた。マスクの搬出に立ち会った日華懇会長の古屋圭司衆院議員は、横断幕の文字を見て非常に感動したと語った。謝長廷駐日代表(大使に相当)によると、マスクは学校や医療機関などに配布される。
 新型コロナウイルスの広がりを受け、台湾はマスクの増産に力を注いでおり、1日当たりの生産量は今月末にも1700万枚を突破する見通し。蔡英文総統は今月初め、国内の需要は十分にまかなえるとし、海外に提供する方針を表明した。
(楊明珠、陳韻聿/編集:楊千慧)
**********
 
 新型コロナ感染対策では、目覚ましい成果を挙げてきた台湾でしたが、実は先日、同国海軍がパラオへの練習航海から戻ったあと、艦内で新型コロナのクラスターが発生し、下船後、高雄市内をはじめ各所に大勢の実習生と軍人が分散したため、一時台湾中がパニック状態になりました。幸い、28名程度の新規感染者にとどまりましたが、規律を重んずる国防部で起きた失態に、蔡総統もおかんむりという一幕がありました。

**********TAIWAN TODAY 2020年04月20日
軍艦「磐石」の実習生・軍人、合計24人が新型コロナウイルス感染

 中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当。中国語の正式名称は中央流行疫情指揮中心)によると、台湾における新型コロナウイルス感染者は4月19日までに累計420人となった。写真は2019年3月、澎湖に立ち寄った「敦睦遠航訓練」の艦隊。(中央社)
 中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当。中国語の正式名称は中央流行疫情指揮中心)によると、台湾における新型コロナウイルス感染者は4月19日までに累計420人となった。( )内は累計感染者の通し番号。
4月18日(土)
 台湾では16日と17日、2日連続で新型コロナウイルスの新規感染者ゼロが続いた。しかし、続く18日、新たに3人の感染者が確認された。いずれも男性で、中華民国(台湾)海軍が毎年実施している遠洋練習航海艦隊「敦睦遠航訓練」のうち、軍艦「磐石」に乗船していた実習生及び軍人と発表された。3人は2月21日、軍艦「磐石」に乗船。軍艦はこの3人を含め合計337人を乗せ、3月12日から15日まで中華民国の国交樹立国であるパラオ共和国を訪問していた。また、パラオを離れてからは公海内を30日間近く航行。4月9日に台湾南部・高雄市の左営軍港に帰港したが、台湾での新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、艦内で6日間滞在した後、15日に下船した。新規感染者の内訳は以下のとおり。
(396)
 4月12日から頭痛と嗅覚異常の自覚症状があった。4月15日の下船後、帰宅して医療機関を受診した。症状が続いていたため17日に再受診。医療機関が検体を採取し、衛生当局に通報した。
(397)
 4月上旬から上気道の腫れと痛み、頭痛、鼻水、せき、嗅覚異常などの自覚症状があった。帰宅後、4月17日に医療機関を受診した。医療機関が検体を採取し、衛生当局に通報した。
(398)
 4月13日から嗅覚と味覚異常の自覚があり、17日に医療機関の急患センターを訪れた。医療機関が検体を採取し、衛生当局に通報した。
4月19日(日)
 中央感染症指揮センターは19日、新たに22人の感染が確認されたことを明らかにした。そのうち21人は軍艦「磐石」の乗組員で、内訳は20代から40代までの男性19人、女性2人。いずれも4月14日から18日にかけて発症した。残る1人は20代男性。昨年4月21日に留学のため渡米し、今年4月10日に米国で発症。17日の帰国時、空港で検体を採取し、感染が確認された。
 なお、軍艦「磐石」で発生したクラスター(集団感染)による感染者は、これで累計24人となった。中央感染症指揮センターはすでに、「敦睦遠航訓練」に参加していた軍艦「磐石」を含む、合計3つの軍艦の乗組員744人全員の検体検査を行っている。現在、感染が確認された24人はすべて「磐石」の乗組員で、ほか2つの軍艦の乗組員から陽性反応が出ていない。
 中央感染症指揮センターは、これら744人と接触した可能性がある市民の携帯電話端末にショートメッセージを送り、自身の健康に留意すること、体調不良がある場合は専用ダイヤル「1922」に電話することなどを伝えている。このショートメッセージを受け取った市民は2,000~3,000人程度と見られる。
 なお、国防部(日本の防衛省に相当)の史順文報道官は18日、即日より国軍及び国防部のすべての人員に対し、マスクの終日着用を求めることを明らかにした。マスク着用のほか、手洗い、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の維持、1日2回の検温なども引き続き求め、その徹底を図る。
 また、中央政府は18日より、国軍に対して1日18万9,000枚のマスクを支給することを決めた。これは、1人当たり1日1枚のマスクが支給されることを意味する。

*******AFP 2020年4月23日 13:18
台湾の軍艦で新型コロナ集団感染、対策に「重大な不備」と蔡総統が謝罪

台湾の蔡英文総統(2020年1月22日撮影)。(c)Sam Yeh / AFP
【4月23日 AFP】台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は22日、パラオでの親善任務を終えて帰還した海軍艦内で新型コロナウイルスの集団感染が発覚したことを受けて、軍の新型ウイルス対策に「重大な不備」があったとして謝罪した。
 台湾の軍艦「磐石(Panshi)」がパラオ遠征から帰還した後、これまでに乗組員28人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示した。パラオは、台湾を「国」と承認し外交関係を結んでいる15か国の一つ。
 蔡氏はテレビ演説で、「私は統帥(最高司令官)なので、わが軍の業務は私の業務であり、責任だ」「この任務中、海軍の(新型ウイルスの)パンデミック(世界的な大流行)対策に重大な不備があり、国民は今や新型ウイルスに感染するリスクを負っている。謝罪したい」と述べた。
 台湾は、中国と地理的に近く経済的結びつきが深いにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染者がわずか426人、死者が6人にとどまっており、その新型ウイルスへの速やかな対応は手本に挙げられてきた。
 さらに、マスクなどの保護具を欧州を含む海外に提供し、外交面で称賛を得てきた。
 しかし、磐石での集団感染によって、こうした台湾の素晴らしい業績に傷がつく恐れがある。
 台湾ではここ数日間、新型ウイルスのパンデミックにもかかわらず、海軍がなぜ任務を強行したのか、パラオ遠征中に一部の乗組員が発熱していた事実を当局が隠蔽(いんぺい)していたのかをめぐり、批判の声が高まっている。
 磐石は3月15日にパラオに到着。その3日後に出港した。
 4月9日に高雄(Kaohsiung)の港に帰還し、その6日後に乗組員の下船が許可された。
 先週末に最初の感染者が確認された。当局は、乗組員の立ち寄り先や接触した可能性のある人々の特定を急いでいる。(c)AFP
**********

■このような失態が生じたものの、台湾では4月27日は再び感染者ゼロを記録し、現在では落ち着きを取り戻しています。

**********毎日新聞2020年4月20日
「天才大臣」だけでない台湾の強さとは何か

総統選の投票日には早朝から投票所に有権者の行列ができた=台湾北部・新北市で2020年1月11日、福岡静哉撮影
 新型コロナウイルスへの対応を巡り、台湾の内閣が「専門家ぞろいだ」として日本でも注目が集まっている。台湾では、「鉄人大臣」の異名を取る陳時中・衛生福利部長(衛生相)や、IT担当で「天才」と称される唐鳳(オードリー・タン)政務委員らの活躍が目立つ。主に国会議員から閣僚を選ぶ日本で、パソコンをまともに使えないのにIT担当相に就任するなど専門性を度外視した人選が行われるのとは対照的だ。ただ、国会議員が閣僚になることを禁じる台湾の制度にもリスクはある。
 では何がポイントなのか。日常的な取材や政治学者の話を通じて私が感じた台湾の強さの源は、政治をチェックする有権者の力だ。
★台湾の制度は「お友達内閣」になる懸念も★

IT担当大臣の唐鳳(オードリー・タン)氏。マスク対策で日本でも一気に知名度があがった=台北市で2018年10月31日、福岡静哉撮影
 「台湾の執政制度が日本より良いとは必ずしも言えません。さまざまなリスクがあります」
 比較政治学が専門で台湾政治にも詳しい松本充豊・京都女子大教授はこう語る。執政制度とは、三権分立の民主主義社会の中で、行政のトップが立法機関や国民とどのような関係にあるかを定めた仕組みのことだ。主に三つのタイプがある。日本では国会議員から選ばれた首相が内閣を組織し、閣僚の過半数を国会議員から選ぶと憲法が定める。これを「議院内閣制」と言い、英国が典型例だ。二つ目は米国に代表される「大統領制」で、有権者の直接選挙で選ばれた大統領が国会議員以外から閣僚を任命する。三つ目は議院内閣制と大統領制の両方の要素を取り入れた「半大統領制」で、フランスが代表例だ。台湾も半大統領制に分類される。大統領に当たる総統が有権者の直接選挙で選ばれ、総統は首相に当たる行政院長を任命し、行政院長が組閣する。
 議院内閣制は、国会の多数派から首相が選出されるため、政治が安定しやすいとの指摘がある。だが内閣と国会の「なれ合い」が起きたり、閣僚が専門知識を持たなかったりといった弊害が生じることもある。一方、台湾やフランス、米国の憲法は「国会議員は閣僚になってはならない」と定める。行政と立法の独立を厳格にし、互いにチェックする機能が強い。
 だが半面、大統領と国会の多数派政党が異なる「ねじれ」による対立が起きやすい。知事や市町村長と議会が別々に選ばれる日本の地方自治体は大統領制に似ており、大阪府の横山ノック知事(当時)や長野県の田中康夫知事(同)は議会と激しく対立した。
 松本教授は「半大統領制や大統領制は民衆の直接選挙でリーダーを選べるが、ポピュリストがトップになる可能性もある。また、情実人事による『お友達内閣』が生まれる恐れも否定できない」と指摘する。総統や大統領が自身に示された民意を背に、取り巻きばかりを閣僚に選ぶことも可能な制度だからだ。松本教授は「ドイツは日本と同じ議院内閣制だが、メルケル首相のコロナ対策は評価されている。議院内閣制でも、政府内に専門家の組織を立ち上げ、素早いコロナ対策を取ることは可能だ。どの制度も一長一短があり、政治家がうまく運用できるかどうかが最も大切だ」と指摘する。
 コロナ対策本部のトップを務める陳時中氏は歯科医出身で感染症の専門家ではない。陳氏の下に結成された張上淳・元台湾大医学院長をリーダーとする専門家チームが、知見に基づいた迅速で的確な対応を支えている。日本の厚生労働省にも医師・歯科医師資格を持つ医系技官が約300人おり、こうした人材が活躍しやすい環境を作ることが先決だろう。

対策本部トップの陳時中氏(中央)は歯科医出身。記者会見には感染症対策の専門家も同席し、記者の質問に答えている=台北市で2020年2月28日、福岡静哉撮影
★発足当初は悪評だった蔡政権の内閣★
 蔡英文政権は2016年5月に発足した際、70%近い支持率があった。だが直後に急落した。最大の原因は「老藍男」と痛烈に批判された内閣の顔ぶれだ。「藍」は野党・国民党のイメージカラー「青」を指し「高齢、国民党系人脈、男性」という意味だ。国民党系の有識者らを登用しており、蔡氏としては野党に配慮したのかもしれない。経済学者出身の林全・行政院長を筆頭に専門家ぞろいだったが、清新さに欠いた。
 また当初は立法院(国会)との調整もうまくいかなかった。台湾では行政院長が立法院に法案を提出する。立法院は与党・民進党が過半数を占めているが、有権者の受けがよくない法案に対する与党議員の抵抗が頻繁に起きる。議員経験がない林院長は国会対策に不慣れだった。年金改革や労働法制改革などは世論の激しい反発を受け、国会審議は混乱した。台湾の世論は変化が激しい。蔡政権の支持率は20%を切り、民進党は18年11月の統一地方選で国民党に惨敗。蔡総統は民進党主席を引責辞任した。
 蔡総統は主席辞任時に「一番変わらなければならないのは私だ」と述べた。学者出身でパフォーマンスを好まない蔡氏は、失言を警戒し、記者会見ではプロンプター(原稿が表示される液晶画面)を見て読み上げるだけだった。だが主席辞任を機に、蔡総統は「変身」に努めるようになった。18年12月以降、プロンプター無しで記者の質問を受けるようになった。自分の言葉で語っているため、以前に比べて言葉や表情に迫力がある。その後もSNSなどを活用して積極的に情報発信するようになった。
 しかしこの時点で、20年1月の総統選で蔡氏が再選するとみる人は極めて少数派だった。ここで皮肉にも、中国の習近平指導部の強硬姿勢が蔡氏を「アシスト」した。習氏は19年1月の演説で「1国2制度」による台湾統一に強い意欲を示した。さらに同年6月には1国2制度下にある香港で大規模デモが起き、台湾人に「明日は我が身」と中国への強い警戒感を抱かせた。もともと中国に厳しい姿勢を取る民進党の背中に強い追い風が吹き、対中融和路線の国民党は逆風に見舞われた。蔡氏はこの勢いに乗って総統選に大勝した。

統一地方選での大敗後、記者対応に努力するようになった蔡英文総統。総統府の廊下で初めて記者団の取材に応じたが、表情は少しぎこちなかった=台北市の総統府で2018年12月6日、福岡静哉撮影
 台湾は中国に経済的に依存する構造から抜け出せていない。世論の対中姿勢は「強硬」と「融和」の間で揺れていることもあり、民進党と国民党は8年ごとに政権交代を繰り返してきた。コロナ問題は、ちょうど世論が最も「強硬」に傾いている時に起きたため、蔡政権は早期に中国人の入境禁止という厳格な措置を打ち出すことができた。「今がもし国民党政権だったら、中国に対し同様の厳しい対策を取れたかどうかは疑問だ」(台湾紙記者)と指摘する人は多い。
 また19年1月に就任した蘇貞昌行政院長が内政を下支えしたことで、蔡政権はスムーズに上昇気流に乗れた点も見逃せない。蘇氏は民進党の結党メンバーの一人で弁護士。国民党の独裁政権に抵抗して多くの民主活動家が逮捕された1979年の事件で弁護団に加わった。民主化運動を後押しした民進党の「レジェンド」の一人とも言える。蘇氏は立法委員、県長(県知事)、総統府秘書長(内閣官房長官に相当)、党秘書長(幹事長)、党主席を歴任した。松本教授は「台湾では立法委員の経験がある人物が行政院長になると長期内閣になる傾向がある。重鎮の蘇氏が行政院長になり、国会対策も安定した」と評価する。

蘇貞昌行政院長は民進党結党メンバーの一人だ=台北市の行政院で2019年1月15日、福岡静哉撮影
★民意を恐れる政権★
 18年までは悪循環で何をやっても裏目に出ていた蔡政権。しかし19年の習氏の演説がターニングポイントとなり、好循環期に入った。陳時中氏や唐鳳氏ら今になって高く評価されている閣僚は、政権初期から内閣の一員だった。かつて批判の対象だった内閣が、今では称賛されている。
 陳建仁副総統も当初はあまり目立つ存在ではなかった。しかし、陳氏は台湾大感染症研究所長も務めた台湾有数の防疫専門家。02~03年に大流行し台湾で37人が犠牲となった重症急性呼吸器症候群(SARS)問題では担当閣僚として現場を指揮した経験もあり、今回のコロナ対策で的確な助言をしている。

陳建仁副総統。感染症対策の専門家で、SARS問題では担当閣僚として現場を指揮した=台北市で2018年10月1日、福岡静哉撮影
 陳其邁・行政院副院長(副首相)は18年11月の高雄市長選に敗れた後の19年1月、副院長に就任した。当時は「選挙で負けた人がなぜ政府の要職に就くのか」と激しい批判を浴びた。陳氏も台湾大で公衆衛生学の修士号を取得した感染症対策の専門家で、今では政権の好感度を上げる存在に変わった。蔡政権が感染症の拡大を予想してこの2人を要職に就けたわけではなく「偶然の適材適所」と言える。台湾のコロナ対策の成功は、こうした一連の好循環の延長線上にある。
 では、こうした好循環の要素を抜きにした、台湾の強さはどこにあるのか。歯切れの良い政治分析で知られる台湾大の張佑宗教授に話を聞きに行った。
 張教授は私の疑問に対し、こう指摘した。「台湾民衆はいつも政権を厳しく監視しているが、日本ではこの監視の力が弱い。だから安倍晋三首相は思いのままの政治を進めてきた。台湾人は政治はどうあるべきかを熱く語る人が多いが、日本人は政治と自分たちの生活は関係ないと考えている人が多いと私には見える」

台湾と日本の政治の違いについて語る張佑宗・台湾大教授=台北市の台湾大で2020年4月13日、福岡静哉撮影
 私は張教授の指摘に膝を打った。台湾でタクシーに乗れば運転手が政治談議を始めることは日常茶飯事だ。日本に比べ「政治が自分の生活を左右する」ととらえている人が多いと感じる。蔡政権が大敗した18年の統一地方選で投票所の取材をした際は、多くの有権者が私にこう言った。「今の政権に失望したら、私たちの1票で新しい人に代えればいいだけだ」
 20年1月に総統選と同時にあった立法委員(国会議員)選で、比例得票率は民進党34.0%、国民党33.4%で接戦だった。国民党は一定の支持基盤を維持している。政権の側は「失敗すれば政権を失うかもしれない」と民衆の目を恐れるため、民衆の生活や思いに必死で寄り添おうとし、政策の改善に生かす。陳時中氏が毎日、専門家と共に欠かさず記者会見を開き、記者の質問が途切れるまで答え続けるのも、民意重視の表れだろう。
 台湾ではデモが日常的に起きる。民意は揺れ動きやすく、政治はしばしば混乱する。だが、こうした有権者の政治に対する熱い視線こそが、民主主義を前に進めるエネルギーだろう。SNSでは「日本にも、台湾のように優秀な専門家の大臣がほしい」という嘆きをよく目にする。しかし参考にすべき点はむしろ、政治を動かす民衆のチェック能力だと思う。
(福岡静哉・台北特派員)
**********

■他方、中共は今回の新型コロナ感染拡大の原因者であるにもかかわらず、世界の感染国に対して医療支援と称して再び勢力拡大の好機と捉えており、まさに放火魔と火事場泥棒の様を呈しています。

**********Reuter 2020年4月18日15:31
中国が「コロナ対策」積極輸出、新たな外交カードに
[シンガポール/ベオグラード13日ロイター] - セルビアの首都・ベオグラードの空港で今年3月、中国の医療専門家6人がレッドカーペットに降り立った。閣僚らとともに6人を迎えたブチッチ大統領は、握手の代わりに腕をぶつけ合う、新型コロナウイルスに配慮したあいさつを済ませると、セルビア国旗に続いて中国国旗にキスをした。
 中国は、欧州で最も親密なセルビアのほか、複数の友好国に対し、新型コロナとの闘い方を助言するための人員を派遣している。
 米国その他の国々から、感染拡大への初期対応に失敗したと批判を浴びている中国にとって、こうした支援は新型コロナとの闘いにおける世界的指導力をアピールする手段の1つだ。
 西側諸国はかねて、巨大経済圏構想「一帯一路」などを通じた中国の世界的影響力の拡大を警戒しており、中国側は善意の姿勢を示すことでそうした懸念を鎮めようと努めてきた。
 「中国が新型コロナを利用し、国益にかなうと見なす活動を押し進めるのは間違いない」と語るのは、カナダの元外交官でカナダ・アルバータ大学中国研究所のディレクター、ゴードン・ホールデン氏だ。
 「そうした活動には、自国の統治モデルを推すことも含まれる。今回の場合は、疫学的な方法論だ」と指摘する。
 中国外務省はコメント要請に回答していないが、同省報道官は9日の記者会見で、医療チーム派遣の目的は統治モデルの輸出ではなく、新型コロナ対策の経験を共有することだと述べた。
 中国はセルビアの他、カンボジア、イラン、イラク、ラオス、パキスタン、ベネズエラ、イタリアの各国に医療チームを派遣した。前週はフィリピンに医療チームが到着している。
 中国国際発展協力署によると、同国はこの他、米国など対立関係にある国を含めて約90カ国に物資の寄付や販売を行い、ノウハウを共有するため、諸外国や国際機関とのビデオ会議も数多く開いたとしている。
<中国の専門家を信頼>
 カンボジアに前月派遣された中国医療チームの一員によると、チームは受け入れ国で臨時病院の建設や、症状の軽い人々の隔離、公共の場に入る人々の検温を幅広く実施することなどを助言している。中国は湖北省武漢で、病床1000床の病院を8日間で建設した。
 中国の助言に従い、セルビアは軽症者の隔離を開始し、そうした患者を収容する病院の建設を軍の動員によって行っている。同国高官らによると、こうした措置で感染拡大のスピードを抑える効果が出ているという。
 大統領府に近い人物は「中国の医師らは、セルビアが中国をモデルにした措置を採用したことを歓迎してくれた。できる限り多くの感染者を把握して治療するというモデルだ」と述べた。
 東南アジア諸国の中で歴史的に中国政府寄りなカンボジアでは、中国チームの助言を受けて海外からの渡航者向けのビザ(査証)発給を大幅に削減。中国チームの一員によると、カンボジアはホテルや学校を改修して帰国者向けの隔離施設とする助言についても、実行に移すことを検討中だ。
<ありがとう、習兄弟>
 こうした医療支援にもかかわらず、中国は米国その他の国々から、感染拡大の初期に情報を出さず、リスクの大きさを否定したとして非難を浴びている。
 米ブルッキングス研究所のライアン・ハス氏は「中国の初動ミスがウイルスの世界的感染拡大につながったことを、多くの国々がすぐに忘れるとは思えない」と言う。
ただ、セルビアのような国々の反応は、今のところ好意的だ。
 中国チームはベオグラードで、1999年の米軍機による中国大使館誤爆で犠牲になった人々を弔う記念碑を訪れた。
 チームの到着後、ベオグラード中心部に掲げられたプラカードには習近平・中国国家主席の写真の横に、中国語とセルビア後で「ありがとう、習兄弟」と大書されている。

(Keith Zhai記者 Aleksandar Vasovic記者)

**********日経2020年4月24日
自滅した中国コロナ外交

 米ウィスコンシン州議会のロジャー・ロス上院議長のもとに、中国政府から一通の電子メールが届いた。中国の新型コロナウイルス感染拡大に対する取り組みを称賛する決議案を議会に提案してほしいという依頼だった。同議長は、これはいたずらに違いないと考えた。
 メールには、決議の文案まで添付されていた。その内容は、中国共産党がいかに素晴らしく対応したかといった論点や信じがたい主張が羅列されており、決議にかけるには怪しすぎる内容に満ちた提案だった。
 「外国の政府が州議会に接触してきて法案の可決を求めるなど聞いたこともない。そんなことはあり得ない」とロス議長は4月中旬、筆者に語った。そして、そのメールはシカゴの中国総領事から送られてきたことが判明した。「びっくりした。それで、こう返信してやった――親愛なる総領事殿、ふざけるな、と」
 中国政府は新型コロナ危機に乗じて国際的な立場を高めようとして、逆に手ひどいオウンゴールを喫するということが続いている。このエピソードもその一つと言わざるを得ない。

中国が世界に輸出した新型コロナの検査キットなどには欠陥品が多いとの批判が多い(スイス・ジュネーブに届いた医療用品)=AP
 中国南部の都市にはアフリカの人が多く居住するが、そのアフリカ系住民が感染デマなどにより嘆かわしい扱いを受けていること、中国が各国に送った医療用品や医療機器に欠陥が多いこと、中国政府高官が感染は米軍から始まったとする陰謀説を公に認めるなど、世界における中国の評判をコントロールしようとする中国共産党の取り組みは、大半が裏目に出ている。
 欧米諸国による新型コロナ感染拡大への初期対応が混乱したことから国際的統治に空白が生じ、そこを中国が埋める機会を与えてしまったとする見方もある。データに疑いは残るが、実際、新型コロナに関する中国の公式発表では、中国の死者数は5000人未満で、米国の約4万人(19日時点)、イタリアとスペインのそれぞれ約2万人(同)に比べ少ない。だが中国政府がこの状況を利用しようとしたことは結局、危機の収束後、中国が世界で孤立し、信頼を失う可能性を高めている。
 北京大学の著名な学者、王緝思氏は、新型コロナがもたらした様々な事態により米中関係は1970年代の国交正常化以降、最悪の水準に落ちたと指摘する。米中間の経済、技術面の分断は「もはや回復不能」なところまできていると指摘する。
 英国でも変化は急激だ。保守党の有力議員たちは、首相に中国に対しもっと強硬な姿勢を取るよう求めている。英メディアは中国への批判を強め、英情報機関も中国政府からの脅威に重点的に備えると明言した。
 欧州やオーストラリアは、株価の下落など経済が混乱する中で中国企業が欧州や豪の企業を安く買収するのを阻止すべく対応を急いでいる。日本政府は、日本企業がサプライチェーン(供給網)から中国を外すことを促すため、7日に決定した緊急経済対策に2400億円超の予算を盛り込んだ。

中国が医療チームを派遣したセルビアの首都ベオグラードには「ありがとう、習兄弟」と書かれた看板が立つ=ロイター。
 中国に対して幻滅しているのは米国やその同盟国だけではない。中国の唯一の同盟締結国である北朝鮮は、新型コロナ感染拡大の初期段階で、中国政府が人の国際的移動の禁止に反対していたにもかかわらず中国との国境を封鎖した最初の国となった。ロシアもすぐに続いた。イランの政府高官でさえ、中国が感染の広がりを隠していたと非難した。
 これらの中には明らかに不当な批判もある。トランプ米大統領をはじめとする欧米のポピュリスト(大衆迎合主義者)の政治家たちは、感染拡大への自らの対応の不手際から国民の目をそらすために中国政府を攻撃してきた。「ぞっとするような生鮮市場」の閉鎖を求める声には差別的な要素も感じられる。
 しかし、もし中国政府が早くから透明性を高め各国との協調路線にかじを切っていれば、もっと世界から共感を得られていたはずだ。ところが中国政府は逆に、政府による感染の隠蔽を批判した国民を逮捕し、新型ウイルスの感染が中国から始まったとする見方は違うのではないかという宣伝活動まで展開した。そして、感染封じ込めには自国の独裁体制の方が優れているとさえ主張している。
 中国政府が3月に国境を実質的に閉鎖し、査証の効力を停止したため、多くの多国籍企業は大打撃を受けている。米メディア企業の記者の多くを3月に国外退去させたことも中国政府に対する国際社会の態度を硬化させた。中国の主要国営メディア(編集注、新華通信が運営するサイト「新華網」)は、「米国を新型コロナウイルスの地獄に投げ込めるよう」、米国への医療用物資の供給を停止し、医療関係の輸出を差し止めればよい、と脅しさえした。
こうした中国の言動は、米国をはじめ世界各国の政府に中国を自国の供給網から外そうとする動きを加速する結果につながる。なぜ中国がこのような明らかな自滅的な行為に走るのかは、中国国内の政治状況を考えるとわかる。
 今回の危機は、2012年に習近平(シー・ジンピン)が中国共産党総書記の座に就いて権力を握って以来、最大の危機だ。中国共産党支配の正統性は、感染初期段階の過ちとその後の強権的な抑え込みにより傷ついた。習氏は、今後始まる経済的危機で国民の支持はさらに失われることに気づいている。08年の金融危機の際は、中国政府は社会不安を封じ込めるには最低でも年8%の成長率が必要だと認識していた。しかし、20年1~3月期の中国の国内総生産(GDP)は前年同期比で6.8%減少した。
 他国を敵に回すようなナショナリズムを大いに強化することは、たとえ中期的に中国の世界における評価を落とすことになっても、中国国民の気をそらすことにはつながる。だからこそ中国の外交官は、ウィスコンシン州議会のロス議長のような、これまで中立的な立場に立ち、貿易や外交の面で味方に付いてくれたかもしれない人物を敵に回しかねない行動に出たのだ。
 中国政府は、外国の議会でのこうした決議を国内での共産党支配を正当化する宣伝に利用する狙いだった。
 だがロス議長は今、正反対の決議案を準備している。中国国民を称賛する一方で、「中国共産党を丸裸にし、その残忍な姿と中国が新型コロナ感染を隠蔽したことで全世界に与えた損害とを世界に明らかにする」決議案だという。圧倒的多数の賛成で可決されることだろう。
(アジア・エディター ジャミル・アンデリーニ:Financial Time 4月20日付)
**********

■このようにしたたかな中国ですが、我が国もその攻勢と無縁ではありません。どうやらアベノマスクの一部も中国製だからです。

 466億円の血税を投入して調達されるというアベノマスクについては、なぜか製造元の公表を厚労省が渋ってきました。最近になって、ようやく金額が次第に明らかにされてきました。それによると、興和株式会社が約54.8億円、伊藤忠商事が約28.5億円、株式会社マツオカコーポレーション(広島県福山市)が約7.6億円とされ、これらの合計が約90.9億円となることから、466億円との差額が、日本郵便(JP)の郵送料かとみられていました。

 そして4月27日の報道で、残る1社が株式会社ユースビオ(福島市)であることが判明し、取材に対して同社樋山社長は350万枚を1枚当たり135円で受注したと述べています。これが本当であれば、約4.73億円となります。

 製造国についても、中国、ベトナム、ミャンマーが取りざたされており、ユースビオの社長は全部ベトナムから輸入したと語っています。マツオカコーポレーションはOEM主体のアパレルメーカーで中国、ベトナム、ミャンマーなどに工場を持っており、縫製技術を生かして今回のマスク製造を請け負ったものとみられます。興和も中国とミャンマーに工場を持っており、そこで製造したものとみられます。最後に、総合商社の伊藤忠ですが、親中企業として名高いだけに、中国製を取り扱っている可能性が高いとみられます。

 厚生労働省マスク班は調達情報の公開に消極的な理由を次のとおり説明しています。
〈マスク枚数を開示した場合、契約金額との関係で、マスクの単価を計算できることとなり、今後の布マスクの調達や企業活動への影響(他の取引先との関係)を及ぼすおそれがあるため、回答は差し控えさせていただきます。〉

 しかも、不良品がかなりの数量見つかったことから、返品が相次いでいると報道されています。無理もありません。衛生管理が杜撰な国で、しかも新型コロナ発祥の国で作られたマスクを口に当てることは、誰でも嫌だからです。

 この点、ベトナムは今のところ新型コロナによる死者ゼロで、しかも4月16日から23日まで感染者ゼロであり、23日時点の累計感染者数は268人です。さらに検査数は我が国の2倍であり、新型コロナの感染抑制に成功している国と言えます。また、ミャンマーも24日時点の感染者累計は146人で、死亡者数は5人となっていますが、実態はこれ以上多いと思われます。

 したがって、ベトナムやミャンマーからの調達はまだしも、中国からのアベノマスクの買い付けは国民感情的にも、衛生面からもやめてもらいたいと思います。また、製造国が明記されていないことから、原産国が特定できないため、アベノマスクが配達されてきたら、返品するのが良策だと思われます。ネット情報によれば、返品のやり方は次のとおりです。

<アベノマスクの返品方法>
「未開封で、朱字で『親展・転送』」と記載すれば無料で返品してもらえます。
 返品先:
 〒100-0014
 東京都千代田区永田町2-3-1
 総理官邸気付
 安倍晋三総理大臣 殿



【4月28日追記】

群馬県が発行した群馬県台湾総会からの医療用物資寄贈についての確認報告。

寄附受納書の送り状。

寄附受納書。

【5月1日追記】
 4月30日に群馬県がHPで当会からの寄贈物資について公表しましたので紹介します。
**********群馬県HP 2020年4月30日
https://www.pref.gunma.jp/houdou/co02_00002.html
【4月28日】群馬県台湾総会からの医療用防護服・ゴーグルの寄贈について(地域外交課)
 群馬県台湾総会(伊勢崎市ひろせ町)から、医療用防護服490着、医療用ゴーグル600個の寄贈の申し出をいただき、令和2年4月27日に台湾から到着しました。
 当該物資は、群馬県内で台湾との国際交流活動を行っている群馬県台湾総会が、県内でコロナウイルス対策に役立ててほしいと、友好関係にある「財団法人 台南市台日文化友好交流基金会」の協力により台湾メーカーから購入し、現地から発送されたものです。
 群馬県台湾総会からの寄贈に心から感謝を申し上げ、医療機関等への配布用物資として活用させていただきます。
寄贈者:群馬県台湾総会
寄贈品:医療用防護服490着、 医療用ゴーグル600個
目的:群馬県内の新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴い、コロナウイルス対策を行う医療現場等において懸念される医療用物資不足に対応するため
[群馬県台湾総会概要]
<会長>頌彦真賢(うたさと・しんけん)
<所在地>伊勢崎市ひろせ町4084-6
<設立>1972年
<会員数>86名(令和2年4月現在)
<目的>
・台湾出身者の親睦交流及び情報交換
・日本と台湾との民間交流促進
・県内国際交流活動の協力、参加促進
<主な活動>
・台湾フェアin 群馬
・県内市町村の国際交流イベントへの出展
・日台学生交流の企画等
[寄贈物資]

医療用防護服

医療用ゴーグル
[このページについてのお問い合わせ]
知事戦略部地域外交課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-897-2982
FAX 027-223-4371
E-mail gaikouka@pref.gunma.lg.jp



【群馬県台湾総会理事】

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新型コロナ対策に見る非常時のリーダーシップ・・・成功のカギは女性リーダーの存在

2020-04-25 22:39:00 | 新型コロナ問題
■新型コロナの感染拡大が世界規模で広がり続ける中で、リーダーに女性をいだく国々が好調です。一方、最新の世論調査では我が国の安倍内閣の支持率は感染率とは逆に低下気味です。ネットを見ると、いくつか同じテーマで記事が掲載されていました。なにかヒントになるかもしれません。さっそく見てみましょう。

**********Forbes Japan 2020年04月16日12:00
コロナ対策に成功した国々、共通点は女性リーダーの存在

ドイツのアンゲラ・メルケル首相(Photo by Adam Berry/Getty Images)

 アイスランド、台湾、ドイツ、ニュージーランド、フィンランド、デンマークではいずれも、女性が危機の中で真のリーダーシップを発揮し、世界に対して模範を示している。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、女性には混乱に対処する能力があることを浮き彫りにした。
 これらの国は小国や島国であり、例外的存在だと反論する人も多いだろう。だが、ドイツは大国だし、英国は島国であるのにもかかわらず、大きな被害を被っている。冒頭に挙げた国々を率いる女性たちは、これまでのリーダーとは違う魅力的な方法で権力を行使している。彼女らに学べることは何だろうか?
★現実と向き合う★
 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は早期から、冷静かつ断固たる姿勢を持って、国民に対して新型コロナウイルスの危険性を警告。最大で人口の7割が感染する恐れがあるとし、「真剣に受け止めるように」と呼び掛けた。ドイツは他の国々のように現実を否定したり、怒りや情報隠しに走ったりはせずに、検査を即座に開始。同国での感染者数や死者数は近隣の欧州諸国よりはるかに低く、間もなく感染抑止策を緩和できる兆しが出ている。
★決断力★
 世界で最も早期かつ迅速に対応を始めたリーダーの一人が、台湾の蔡英文総統だ。蔡総統は、新型コロナウイルス流行の兆しが見え始めた1月、感染拡大防止に向けた124の措置を発表し、結果的に他の国々で取られたような封鎖措置を回避した。そして台湾は今、欧米諸国に1000万枚のマスクを提供している。CNNテレビは、蔡総統の対策を「世界で最も優れたものの一つ」と紹介。台湾は新型コロナウイルスの拡大が抑制できており、死者はわずか6人にとどまっている。
 ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、早期から封鎖措置を断行。国内に最大限の警戒態勢を敷く方針であることと、その理由を明確に示した。国内の感染者がわずか6人だった段階から入国者に対して自主隔離を課し、その直後には外国人の入国を禁止。こうした明確な姿勢と決断力が、ニュージーランドを守っているのだ。4月中旬の時点で、同国での死者は4人にとどまっている。他国では制限措置の緩和が検討されている中、アーダーン首相は追加措置として帰国者全員に指定の場所での14日間の隔離を義務付けた。
★テクノロジーの活用★
 アイスランドでは、カトリン・ヤコブスドッティル首相の指揮の下、国民全員に対し無料の新型コロナウイルス検査が提供されており、ウイルスの流行規模と致死率の実態を知る上で重要なデータが得られる見通しだ。多くの国では症状がある人のみに検査が実施されているが、アイスランドの人口に対する検査件数は韓国の5倍にも上る。また、徹底的な追跡システムも導入し、封鎖措置や学校閉鎖も回避してきた。
 昨年12月にサンナ・マリン首相が世界最年少の国家元首として就任したフィンランドでは、ミレニアル世代である同首相の陣頭指揮により、ソーシャルメディア上のインフルエンサーを新型コロナウイルス対策に動員。誰もがニュースを読むわけではないことを認識した上で、さまざまな年齢層のインフルエンサーに対して、感染拡大防止に向けた正しい情報発信での協力を要請している。
★慈しみの心★
 ノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相は、テレビを通じて国内の子供たちに直接語り掛けるという革新的なアイデアを実行に移した。その数日前には、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相が子供たちからの質問に答える3分間の短い記者会見を実施しており、ソールバルグ首相のアイデアはこれにならったものだった。
 ソールバルグ首相は大人の参加を禁じた記者会見を開き、全国の子供たちから寄せられた質問に答え、恐怖を感じるのはいけないことではないのだと時間をかけて説明した。その独創性と分かりやすさに、人々は感服。女性リーダーがもっと増えたなら、こうしたシンプルで人間味にあふれるイノベーションがさらに多く生まれることだろう。
 これらの女性リーダーたちが示した共感力や思いやりは、私たちに馴染みのある世の中とは別世界のものにも思える。米国のトランプ、ブラジルのボルソナロ、メキシコのロペスオブラドール、インドのモディ、フィリピンのドゥテルテ、ハンガリーのオルバン、ロシアのプーチン、そしてイスラエルのネタニヤフは対照的に、この危機を利用して恐ろしい強権体制を推し進め、他者に責任を転嫁したり、司法を手中に収めたり、ジャーナリストを悪者扱いしたり、永遠の権力を追求したりしている。
 女性が他とは異なる有益なリーダーシップスタイルを持っている可能性については、長年の研究によって示されてきた。だが現状として、非常に多くの政治組織や企業が、リーダー職や成功を求める女性に対し、男性的な振る舞いを要求している。しかし、ここで示した女性首脳たちは、男性が女性から学ぶべきリーダーの資質を示す模範例だ。私たちは今こそ、その価値を認識し、より多くの女性リーダーを選ぶべきだ。
(翻訳・編集=遠藤宗生)

**********毎日新聞2020年4月21日 16時14分(最終更新 4月21日 22時13分)
独メルケル首相、台湾・蔡総統…新型コロナ対応で株を上げた女性リーダーたち

首脳会談や記者会見などで常に余裕のある笑顔を見せるドイツのメルケル首相=ベルリンで2018年7月20日、ベルリン支局助手メルリン・ズグエ撮影
 パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナウイルスの累積感染者は、米ジョンズ・ホプキンズ大のまとめで20日に240万人を超え、死者も16万5000人以上に達した。国や地域によって対応に相当の違いがあり、評価を大きく上げた政治リーダーもいれば批判の集中砲火を浴び続ける国家首脳もいる。主な国、地域での現状を眺めると、「株を上げた」女性指導者の姿が目立っている。【和田浩明/統合デジタル取材センター】
★4分の3が対応に「満足」 ドイツ★
 「素晴らしい」「理性的」。ドイツのメルケル首相の新型コロナウイルス対応を、普段は辛口の欧米メディアも評価している。ドイツの国際放送ドイッチェ・ヴェレの記者は、感染抑止の必要性に関し物理学者でもあるメルケル氏が4月15日の会見で行った説明が優れているとして、英語字幕を付けた動画をツイート。AP通信も3月末の記事で「コロナウイルス危機対応で輝くメルケル」と評価した。英ガーディアンは4月2日付記事で、メルケル氏の支持率が3月末の世論調査で11ポイント急上昇し79%に達したことに触れ「驚くべき数字」と述べた。
 「ドイツ第2公共放送」が4月6~8日に1175人を対象に行った定例の世論調査では、74%が政府の感染抑止策を評価した。最大500億ユーロ(5兆8500億円)の中小企業や芸術家向け給付金などの経済支援対策も69%が支持した。
 多数の死者を出しているイタリア(2万3660人)、スペイン(2万453人)、フランス(1万974444人)、イギリス(1万6095人)に比べ、ドイツの死者数は4642人(いずれもジョンズ・ホプキンズ大調べ20日午前)と相対的に低い。
 メルケル氏の人気の背景には、危機の最中でも冷静に対策の必要性を説き、影響を受ける人々に手厚い経済支援を提供する一方、感染被害の抑止にも一定の成果を出している点がありそうだ。
 メルケル氏は15日、中小規模店舗の20日からの営業再開を認める一方、3人以上で集まることなどを禁じた接触制限を5月3日まで延長した。
★「専門家内閣」で奏功 台湾★

蔡英文総統=台北市の総統府で2020年1月1日午前8時51分、福岡静哉撮影
 台湾の累積感染者数は420人で、死者は6人と少ない。早期の水際対策と徹底した隔離対策が効力を発揮したとされ、「世界最高レベルの対応」(米CNN)と評価されている。
 3月19日に外国人の入港禁止措置を実施。海外から戻った人や濃厚接触者に14日間の隔離を義務づけ、違反者には最高100万台湾ドル(約360万円)の罰金を科した。マスク供給も政府が管理しており不足は報告されていない。
 また、歯科医でもある陳時中・衛生福利部長(衛生相)が連日記者会見を行い、記者の質問に徹底して回答。温かい語り口もあって「鉄人大臣」として国民の信頼を獲得した。また、唐鳳(オードリー・タン)政務委員(閣僚級)はIT担当として「マスク配布システム」を仕掛け、市民エンジニアらの協力でオンライン薬局在庫表示を推進した。台湾は16日、日本側にマスク200万枚を送ると発表している。
 こうした「専門家内閣」を率いる蔡英文総統の支持率は、3月末に地元TVBSテレビの世論調査(3月20~25日実施)で60%に達した。2月中旬の前回調査から6ポイント上昇している。防疫対策に満足だと回答した人は84%にも上った。
 蔡総統は4月16日、米タイム誌(電子版)への寄稿で「医療専門家や政府、民間と社会全体が防衛を固めた」などと述べ、社会が一丸となったことで成果が出たとの見方を示した。また、台湾では37人が死亡した2002~03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)対応の教訓が生きたとも説明した。
★「共感重視」アプローチが評価 ニュージーランド★

共同記者発表終了後、それぞれの国旗をあしらったラグビーボールを交換するニュージーランドのアーダン首相(左)と安倍晋三首相=首相官邸で2019年9月19日、川田雅浩撮影
 ニュージーランドの女性首相ジャシンダ・アーダン氏も感染対策で高い評価を得ている。調査会社コルマーバートンが4月3~5日に実施した調査では、3月23日に発表された全土での外出制限措置など、政府の新型コロナウイルス対応を支持する人が84%に及んだ。日本を含む主要7カ国(G7)の平均は54%だった。
 首相自身の支持率は13日に発表された世論調査では過去最高の51%で、2月の結果から7ポイント上昇した。
 米誌アトランティックは、アーダン氏が「世界で最も効果的な指導者かもしれない」と持ち上げた。同国のクラーク元首相は「説教をするのでなく、我々と共に立ってくれる」と指摘、39歳のアーダン氏の共感を重視したリーダーシップを評価したという。
 ニュージーランドの累積感染者数は20日現在1431人で、死者は12人だ。
★「不要な死もたらした」大統領に批判 米国★
 一方、世界の男性指導者の中には批判に直面する人も目立つ。

来日し、日本企業の幹部らを集めたレセプションであいさつするトランプ米大統領=東京都港区の米国大使公邸で2019年5月25日、手塚耕一郎撮影
 新型コロナウイルスの累積感染者が約76万人、死者約4万人で世界最悪となった米国では、野党民主党や一部主要メディアによるトランプ米大統領への批判が続く。
 「不要な死と経済的災厄をもたらした」。ペロシ下院議長(民主党)は14日、民主党下院議員あて書簡でトランプ氏の感染抑止策などを厳しく指弾した。米国では1月20日に最初の感染例が確認され、トランプ氏はパンデミック(世界的流行)化や多数の死者発生に関する警告を情報機関などから受け続けていたと報じられている。しかし、記者会見では「いずれよくなる」「完全に制御している」など楽観的発言を繰り返してきた。
 トランプ氏と激しく対立してきたニューヨーク・タイムズ紙は、11日付の長文記事でトランプ政権の対応を検証し、「リスク認識が遅く適切な対応を怠った」などと問題視した。
 トランプ氏が連日ホワイトハウスで行う感染抑止策の記者会見についても「事実上の再選活動」「事実に乏しい」との批判があり、主要テレビ局に生中継中止を求める署名は31万筆を超えた。
 だが、トランプ氏の支持率は底堅い。米政治分析サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による各種世論調査のまとめでは、16日段階で46%あり、不支持率(50.9%)よりは低いものの、昨年より上昇している。特に与党・共和党の支持者の支持率はロイター通信などの調査では88%に達した。
★当局抑え込み「自画自賛」反発も 中国★

安倍晋三首相と握手する中国の習近平国家主席(右)=大阪市北区で2019年6月27日午後7時34分(代表撮影)
 中国は新型コロナウイルスで3000人を超える犠牲者を出し、感染拡大が最初に発生した湖北省武漢市に対する2カ月半の封鎖を8日に解除した。しかし、ロシア国境に近い地域で新たな感染者確認が報じられるなど、完全制圧とは言いがたい状況だ。
 習近平指導部は封じ込め策が成果を出したとの立場だが、初動が遅れ情報公開も不十分だと国内外から批判が出た。習近平氏は3月10日に初めて武漢を視察したが、当局が収束前に「成果」を自画自賛して反発されたこともあり、武漢市民への「感謝」を繰り返すことで不満軽減を図った形だ。
★大統領と州知事が対立 ブラジル★
 「我々は新型コロナウイルスだけでなく『ボルソナロ・ウイルスとも戦っている』」。AP通信のインタビューでそう言い切ったのは、ブラジル最大の州で日系人も多いサンパウロ州のジョアン・ドリア知事だ。
 「ブラジルのトランプ」と揶揄(やゆ)されるボルソナロ大統領は、感染拡大阻止で厳格な外出規制を求めるドリア氏ら州知事勢と対立を続けている。新型コロナウイルス感染症を「ちょっとした風邪」などと主張して物議を醸した。
 こうした状況に、医師出身で外出規制を推進するマンデッタ保健相ですら「国民が混乱する」と地元メディアで苦言を呈したほどだ。同保健相は16日解任された。
 AP通信によると、直近の世論調査では国民の4分の3が外出規制に賛成している。大統領の対応への支持は3割に過ぎなかったという。ブラジルの累積感染者は約2万9000人、死者は1760人となっている。
★ハンガリー 首相権限強化 無期限に★
 ハンガリーは累積感染者約1600人、死者142人と感染被害は相対的には低い。しかし議会は3月末、新型コロナウイルス対策の名目で、議会の許諾を得ず政令による統治を無期限で可能にする権限を、強権的支配で知られるオルバン首相に与えた。
 議会が可決した法案は、新型コロナウイルスに関する「偽情報」の流布に最大5年の禁錮刑を科すことを可能にしている。このため、同国ですでに制約されている報道の自由がさらに悪化するとの見方が強まっている。
 これに関し、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は強い懸念を表明。感染防止措置は必要だが「期限を設定し民主的に行われる必要がある」と独メディアのインタビューで指摘した。新法の乱用があればハンガリーに対し法的措置を取る可能性にも言及した。
★安倍政権対応「評価しない」53%★
 さて我が国はどうか。20日時点で累積感染者1万219人、死者は161人だ。感染爆発への懸念がくすぶる中、安倍晋三首相の対策には批判も根強い。
 新型コロナ感染拡大を受けた経済対策では「減収世帯に30万円」の給付を決めた後、連立を組む公明党の強い突き上げを受け「1人あたり10万円」への転換を余儀なくされた。安倍首相は17日の記者会見で「混乱を招いたことは私自身の責任であり、国民の皆様に心からおわびを申し上げたい」と謝罪した。
 マスクを含む感染防止の保護具不足は続いており、安倍政権は「1住所に2枚」の布マスク配布を決めたが、費用が466億円に及ぶことや、防疫効果に疑念があるなどとして「アベノマスク」とSNSなどでからかわれる事態になっている。
 毎日新聞の電話世論調査(4月18、19日実施)では、安倍政権の対応を「評価しない」との回答は53%で、「評価する」の39%を14ポイント上回った。内閣支持率は41%で前回(3月14、15日)の43%から2ポイント下落。不支持率は42%で前回の38%から4ポイント上がった。
**********

■我が国の場合、「日本を取り戻す。」と母国愛を前面に押し出してきた安倍政権ですが、いざ国難になると、とたんに迷走しているようでは、3.11の時に福島原発事故対応で迷走した民主党政権を批判する資格はありません。



 もはや我が国の政治システムそのものが、世界に比して後進国になりさがっていることを為政者は十分に認識し、今回の新型コロナ禍を、災い転じて福となす契機にしなければなりません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報「非常時のリーダーシップとは」
**********東京新聞2020年4月24日
<こちら特報部>非常時のリーダーシップとは
安倍首相支持率低下
 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、安倍内閣の支持率が低下している。最初の世論調査では前回より5.1ポイント減の40.4%、不支持率は43.0%に上る。その反面、主要各国では首脳の支持率が概ねアップしている。安倍晋三首相の言動や行動、政策が国民の期待に沿っていないのだとしても、各国首脳と何が違うのだろうか。(榊原宗仁、中山岳)
★死者多い国でも★

 五輪イヤーとして迎えた今年の初め、共同通信の世論調査で安倍政権の内閣支持率は9.4 3 %に達した。 三月半ばでも約半数が支持したものの、そこから逆風が強まった。「オーバーシュート(爆発的患者増)」「ロックダウン(都市封鎖)」といった言葉が広まりだした同月下旬に45.5%になり、四月十~十三日の調査で40.4%に減った。

 一方で、 各国首脳の支持率は上がっている。企業や自治体にコミュニケーション戦略をアドバイスするコンサルタントの岡本純子氏が調べたところ、イタリアのコンテ首相の三月の支持率は71%と、二月から27ポイント上げた。英国のジョンソン首相は三月下旬で55%になり、二月比13ポイント増。フランスのマクロン大統領も―二月中旬に51%を記録し、二月から15ポイント伸ばした。いずれも感染が急拡大し、多数の死者を出した国であるにもかかわらずだ。
 欧州以外も同様。オーストラリアのモリソン首相の四月の支持率は、三月から18ポイント増の59%。韓国の聯合ニュースによれば、文在寅(ムンジェイン)大統領も二月末に42%だった支持率が四月半ばに59%まで上がった。
 特に目を引くのがドイツのメルケル首相の支持率だ。三月下旬に、同上旬から11ポイント増の79%になった。
「かねて論理的と評されてきたメルケル氏は新型コロナの対応でも自分の言葉で語り、国民に寄り添う姿勢を見せてきた」(岡本氏)
 その演説は各国からもたたえられている。「第二次大戦以来、最大の難局」と危機感を鮮明にし、「政治的決定を透明化し、説明することで行動の根拠を示す」と宣言。共産主義国だった旧東ドイツで育った経験を踏まえ「(外出制限などは)移動の自由を苦労して勝ち取った私のような者にとって、絶対に必要な場合にしか正当化されない。しかし今、命を救うために不可欠だ」と訴えた。
★国旗の下に集結★
 一般的に、有事に国のトップの支持率は上がるとされる。一九七〇年代に、米国の政治学者ジョン・ミューラー氏が提唱した「ラリー・ザ・フラッグ効果」といわれる考え方だ。
「国難では国旗の下に集結するよう、リーダーに支持が集まる。不安を抱く国民は自分たちを守ってほしいと思い、その役割を担うリーダーヘの支持を強める。団結や連帯が必要とも思い、象徴となるリーダーに期待を寄せる」(岡本氏)
 この効果が顕著に出たのが、共に米大統領を務めたブッシュ親子のケース。父親は九一年の湾岸戦争開始直後、支持率が20ポイント伸びて90%近くに達した。息子は、二〇〇一年の米中枢同時テロ前に50%強だった支持率が、発生後は90%まで伸びた。岡本氏は「危機に直面した国では指導者の支持率が上がるのが普通。上がらない方が例外」と話した。

<理念なき政策>
・布マスク配布
・動画で炎上
・給付策ドタバタ
・自分の言葉で語らず


緊急事態宣言の対象地域を拡大し、記者会見する安倍晋三首相=17日、首相官邸で

安倍首相が全世帯への2枚配布を表明し、郵便局に搬入された布マスク=東京都世田谷区で
★カギは国民との対話★
★日本の評価23%★

 支持率を下げたのは安倍首相だけではない。感染者が四万六千人を超えたブラジル。四月初旬の世論調査で、39%がボルソナロ大統領の対応を「悪い」「ひどい」と評価し、三月より悪化した。新型コロナ感染症を「ただの風邪」と呼ぶなど、対策を軽視してきた手法に批判が集まっている。
 世界最多の八十四万人以上が感染した米国のトランプ大統領も、三月上旬まで「米国民のリスクは低い」「暖かくなればウイルスはなくなる」と楽観論を繰り返していた。感染者が急増すると、中国からの入国制限に当初反対していた世界保健機関 (WHO)を「中国寄り」と言い始め、拠出金を停止すると表明。自らへの批判をWHOの責任に転嫁する姿勢を強めた。四月の支持率は43%と、三月下旬から6ポイント下がった。
★米も低迷 楽観視、責任転嫁要因か★
 調査会社「日本リサーチセンター」(東京)によると、オーストリアに本部を置く「ギャラップ・インターナショナル・アソシェーション」が三十力国・地域の約二万八千人に聞いた世論調査でも、米国民の見方は厳しい。「自国の政府はコロナウイルスにうまく対処しているか」との問いに、「とても思う」「思う」と回答したのは42%にとどまり、二十七位だった。
 日本政府への評価はさらに低い23%で、二十八位。その理由を元鳥取県知事の片山善博・早稲田大大学院教授(地方自治論)は「政策の理念が全く見えない。ピントがずれている」と分析する。迷走ぶりを象徴するのが、四百六十六億円をかけた「世帯ごとに布マスク二枚配布」と「全国民に一律十万円給付」という。布マスクは、安倍首相が「月六億枚以上(マスクの)供給を確保する」と強調しながらできなかったため、考案したとみる。一律十万円も、減収世帯に三十万円給付する案が「条件が厳しすぎる」と反発を受けて転換するなど思いつきぶりが際立つとする。
 片山氏は「 評判が良さそうなことをやろうという姿勢で、危機の本質を見抜いた対策を打てていない。国のリーダーは組織をうまく動かして自治体や企業と連携することも求められるのに、安倍首相に期待するのは難しい」と切り捨てる。
 東京工業大の西田亮介准教授(社会学)は、日本の死亡率は各国と比べて低く抑えられており「個々の政策がそれほど悪いとは言えない」としながら、「政策に通底する原理原則が見えない。安倍首相は強いリーダー像やメッセージを打ち出せていない」とみる。
 特に、記者会見で自らの言葉で語らない姿勢を問題視する。「批判的な質問にほとんど答えず、用意された回答を繰り返すだけ。民意と支持率ばかり気にし、言葉を尽くして国民に説明したり、反対する者を説得しようとしたりする意思が見えない」と解説する。
★真摯さに欠ける★
 メルケル首相の演説が評価される一方、安倍首相の話が人の心を打たないのは「真摯さに欠けているから」と指摘するのは同志社大の浜矩子教授(国際経済学)。浜氏は政治家に求められる資質に、人の痛みを想像して政策を考える「共感力」を挙げる。「安倍首相にはそれがなく、いかに得点を稼ぎ、減点を防げるかしか考えていない。ペットと戯れる動画を投稿して評価されると思っている姿勢からもにじみ出ている」
 浜氏は、国の首脳に必要なのは「分け隔てなく人々に尽くせる、賢いリーダーシップ」と説く。安倍首相はその点を理解すべきだと訴えつつ、賢明さは国民一人一人にも求められるとし、こう驚鐘を鳴らす。
 「しんどい時は『何でもいいから早く決めて』と思考停止に陥りがち。強権的な政治に慣れてしまうと、反対意見が言いにくい風潮になる。改憲などの議論が進めば、取り返しがつかなくなる」
【デスクメモ】
「組織はトップ次第」とよくいわれる。人間性や日ごろの態度から、「あの人のためなら」と周りがやる気になり、うまく回っていく。それは国でも同じだろうが、残念ながらそうはなっていない。今からでもいい。信頼に値する言動、行動で国民の期待に応えてほしいと切に願う。(千)2020.4.24
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ほんとに大丈夫?・・・ハラハラドキドキ、新型コロナ対策に対する一太知事の対応のお粗末さ加減

2020-04-19 19:52:00 | 新型コロナ問題
■山本一太群馬県知事がお友達だと慕う安倍首相が、ようやく4月7日に改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初の「緊急事態宣言」を発令しました。それを受けて、一太知事が4月8日の記者会見で、「なぜ、緊急事態宣言対象区域に指定されていないこの段階で、県民に(昼夜を問わず)不要不急の外出を控えるようお願いしたいのか?」と説明し、早急な対応ぶりをアピールしています。次いで4月16日、安倍首相が全国を対象に緊急事態宣言を出しまたのを受けて、17日、今度は県内の一部業種を対象に休業を要請しました。しかし、休業補償については財源不足を理由に言葉を濁しました。

「県単独限られる」休業補償を明言しないまま休業要請の臨時会見に臨んだ群馬県の山本一太知事=17日、県庁(柳原一哉撮影)©産経

**********上毛新聞2020年04月18日
《新型コロナ》緊急事態宣言で山本知事 7業種に休業を要請

 新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言の対象地域が全国に広がったことを踏まえ、山本一太群馬県知事は17日、改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づき、県内7業種・施設に休業を要請すると発表した。期間は18日から5月6日まで。医療や食品など生活維持に必要な業種は除く。県民の外出自粛についても同法に基づく要請に切り替えた。
 山本知事は17日の臨時会見で、これまで慎重な姿勢を見せてきた休業要請に踏み切った理由として患者急増に伴い逼迫する県内医療現場の厳しい現状などを挙げた。その上で「大変な負担と不便をかけるが、この危機を乗り越えるために協力をお願いしたい」と理解を求めた。
 一方、東京都など一部自治体が休業協力店を対象に支給する休業補償については財政面から県単独で可能な対応は限られると説明。「国の政策の中身を見極め、相談しながらしっかり対応したい」と述べるにとどめた。
 県が休業要請の対象としたのは(1)遊興施設(ナイトクラブ、カラオケなど)(2)大学・学習塾など(3)文教施設(小中学校、高校など)(4)運動・遊技施設(体育館、パチンコ店など)(5)劇場、映画館など(6)集会・展示施設(博物館、図書館など)(7)商業施設(古本店、ゴルフショップなど)―。
**********

 群馬県では3月7日に初めての新型コロナウイルス感染者が発見されてから今日までに確認された感染者が計120名に上りました。新型コロナに対するこれまでの山本一太知事の経緯を追ってみましょう。

■その前に、当初は新型肺炎とか武漢肺炎と呼ばれていた今回の新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)がどのように拡がっていったのかを見てみましょう。

 最初に発生が確認されたのは2019年11月、中国武漢でした。その後同12月、武漢で急性呼吸器疾患が集団発生しました。初期の症例は、主に武漢で海産物や生きた動物を売る市場にかかわりを持つ人たちの間で発生しました。そこでは多くの魚、爬虫類、こうもりをはじめ、その他の生きた、または死んだ動物が取り引きされていました。その後、疾患は患者から家族、医療従事者、武漢に住む地元住民を含む人々へと感染していきました。

 それ以来、このウイルスは中国全土へと広がっていきましたが、最初に世界保健機関 (WHO) に報告されたのは2019年12月31日でした。

 12月の時点で中国国内では、いち早く一部の医師らの間でSARSに似た奇妙な疾患が発生していることが話題となっていました。そのひとりが武漢中心医院の眼科医の李文亮氏(34)でした。

 李医師は2019年12月、2003年の世界的エピデミック(伝染病)を引き起こしたSARSに似た、とあるウイルスによる7つの症例に気が付いていました。そのため、同月30日、李医師はチャットグループに入っている同僚の複数医師に対し、「海鮮市場で7人のSARS感染が感染され、アウトブレイクが起きている」と警告するメッセージを送信し、防護服を着用して感染を防ぐようアドバイスしました。この時、李医師はこの病気がまったく新しいウイルスによるものだとは知りませんでした。

 すると翌12月31日、武漢市当局は27人がウイルス性肺炎を発症したと発表したのです。今から思えば2020年の世界を一変させるニュースの第一報でした。

 情報を発信した李氏のところには、僅か4日後に中国公安省の職員が李医師を訪ね、書簡に署名するよう求めたのでした。その書簡は、李医師を「社会の秩序を著しく乱す」「虚偽の発言をした」として告発する内容でした。

警察が李医師に署名を求めた書簡。「我々は厳粛に警告する。頑なに無礼な振る舞いを続けたり、こうした違法行為を続けるのであれば、あなたは裁かれることになるだろう。わかったか?」と記され、その下には、李医師の筆跡で「はい、わかりました」と書かれている。

 李医師は、警察が「うわさを拡散」したとして捜査を行ったとしている8人のうちの1人でした。

 2020年1月の最初の数週間、武漢市の当局者は「新型コロナに感染した動物に接触した人のみに感染する」と主張していました。そのため、医師らに対する感染予防措置の指導はありませんでした。

 警察が李医師を訪れて所管に署名を求めてから僅か1週間後、李医師は緑内障を患う女性患者の治療を行いましたが、この女性が新型コロナに感染していることは知る由もありませんでした。

 感染した李医師は、1月10日に咳をし始め、翌日には発熱し、2日後には入院することになったと、今年1月末、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」上で、警察の書簡のコピーを公開し、それまでの経緯を説明しました。その間、地元当局者が李医師に謝罪したが、遅きに失しました。


武漢中心医院の眼科医、李文亮氏。1月上旬に女性患者から新型ウイルスに感染。
 1月20日、中国政府は新型コロナのアウトブレイクについて、やっと緊急事態を宣言しました。病原体を調査している中国・国家衛生健康委員会 (NHC) 専門家の鍾南山グループ長が、広東省でヒトからヒトへの感染(ヒト - ヒト感染)が確認されたと発表したからです。これを受けて、1月23日に武漢市が閉鎖され、翌日24日に湖北省も閉鎖されました。しかし、その時にはすでに大勢の武漢住民を含む中国人が春節前の旅行がてらマスクを買いあさる為、海外渡航しており、日本もその主要な旅行先の一つでした。

 さて、新型コロナに感染してしまった李医師でしたが、当時コロナウイルスの検査を複数回受けた時は、そのいずれも陰性だったということです。

 1月30日、李医師は再び「微博」に投稿し「今日の核酸増幅検査で陽性反応が出た。一件落着した。やっと診断が出た」と書いていました。ところがその後容体が悪化し、2月7日未明に李医師は肺炎の為34歳の若さで死亡しました。

■この李医師の死亡をめぐり、またもや中共政府の介入がありました。

 李医師の死亡については、環球時報や人民日報、そのほかの中国メディアが当初2月6日午後9時30分に「死亡が確認された」と報じ、「微博」で大きな反響を呼び、人民日報は、李医師の死亡は「国民の悲しみ」を引き起こしたとツイートしました。

 ところがその後、環球時報などは「李医師には体外式膜型人工肺(ECMO)が取り付けられ、危篤状態にある」と報じました。

 現場に居合わせたジャーナリストや医師は、BBCやほかのメディアに対し、「政府職員の介入があった。国営メディアは、李医師が今も治療を受けているという報道内容に変更するよう指示された」と証言しました。

 そのため人民日報は後で、李医師の死亡時刻を修正し、「我々は、新型コロナウイルスに対処している最中、不幸なことにそのウイルスに感染した、武漢の李文亮医師の死を深く悲しんでいる。懸命な治療が施されたものの、2月7日午前2時58分に死去した」とツイートし直しました。



 2020年1月下旬時点での主要なアウトブレイクは中国大陸に限局されていましたが、1月31日、このウイルスの感染拡大が懸念されることから世界保健機関 (WHO) は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC) を宣言しました。

 しかし、WHOがパンデミック(世界的流行)相当の認識を初めて示したのは、すでに感染が拡大し世界で感染者数が10万人を超えてからの3月11日でした。4月2日には、世界全体の累計で100万人を超え死者も5万1000人を上回り、4月16日午前4時には感染者数が200万人を超えました。

■中国のテレビが「発症者から新型のコロナウイルスを確認した」と報じたのは1月9日でした。ところが世界保健機関(WHO)は新型かどうか判断を保留し、その後、武漢市は封鎖されました。

 日本で初めて感染が確認されたのは同1月16日で、武漢市に滞在歴のある30代の中国籍の男性でした。厚生労働省は「感染拡大の可能性は低い」との見方を示しましたが、中国では感染者が急増しており、武漢市に滞在していた邦人206人を乗せたチャーター機の第1便が同29日、羽田空港に到着しました。その後、1月30日に第2便で210人、1月31日に第3便150人、2月7日に第4便198人、2月17日に第5便を利用して65人が帰国しました。

 一方、2月3日に56か国・地域の乗客・乗員3711人を乗せた「ダイヤモンド・プリンセス」号(英国籍)が横浜港沖に入りました。「感染者が乗船している」として検疫が始まりましたが、さまざまな制約により関係機関との調整に追われ、3月1日の全員下船までに迷走を続け、結果的に乗船者の5分の1に当たる712人が感染し、死者は12人に上りました。

 3月24日、安倍首相とIOCバッハ会長が電話会談を行い、東京五輪・パラリンピックについて1年程度の延期での合意が決まった翌3月25日、都内の感染者が上昇傾向を見せ始めました。それまで1日1ケタ~10人台だったのが40人以上確認され、小池百合子都知事は「感染爆発の重大局面」と危機感をあらわにし、院内感染も続発し、医療崩壊の懸念も出始める中、タレントの志村けんさんが感染公表からわずか4日後の3月29日に死去したことで、社会はさらに衝撃を受けました。

 そして4月7日、安倍首相が改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく「緊急事態宣言」を発出し、対象地域を東京や大阪を含む7都府県とし、続けて4月16日には緊急事態宣言を全国に拡大しました。期間はとりあえず5月6日までですが、感染拡大の抑止が果たして図られるのか、経済的なダメージ、補償問題など課題はどうなるのか、すべては山積したままとなっています。

■こうした中で、台湾では、中国からの圧力に屈したWHOからは既に長期にわたり感染症を含むあらゆる情報が入手できなくなっていました。そのため米国から情報を得るとともに、独自に大陸中国の動静を監視していました。

 そうしているうちに、武漢で医師らによるチャットから、なにやら重大な感染症問題が発生していることをいち早く察知した台湾の医師の通報を受けた台湾政府は、2003年に蔓延したSARS対策で培った経験を以前から駆使して、防疫対策の構築に努めて来ていたこともあり、12月31日には、緊張感をもって未知の感染症に対処する方針を決め、なんとその日に武漢からの直行便が到着すると、搭乗者を全て防疫班が検査しました。

 そのころ台湾では1月11日投開票の総統選挙の真っ最中でしたが、防疫体制の構築には万全の対策を進めていました。幸い、現職の与党・民主進歩党(民進党)の蔡英文氏(63)が約820万票(得票率57%)を獲得して圧勝し再選され、総統選後、台湾政府は全力で新型コロナ対策に注力することができました。

 台湾で新型コロナ感染者の第1号は日本より遅く1月21日に武漢から戻った女性で帰国後感染が判明しました。いよいよ感染リスクが現実のものとなったため、台湾政府は1月26日に湖北省と武漢市からの入国禁止措置を取り、武漢をはじめ中国大陸から大勢やってきていた中国人旅行者らを急遽、チャーター機を手配して1月末までには帰国させ、2月6日までには中国全土からの入国を禁止しました。

 マスクの配布については、台湾では2月4日に一般の店でのマスクの販売を打ち切り、2月6日からITを駆使したアプリの指示に沿って、IDカード若しくは健康保険証番号の偶数・奇数で曜日を決め、指定の薬局でID若しくは保険証を提示すれば、誰でもマスク(最初2枚/週、現在は9枚/週まで)が購入できるシステムを実施し始めました。

 その後の台湾のCOVID-19への対応状況は当ブログで逐次紹介している通りです。

■翻って、我が国はと言えば、中国湖北省武漢由来の感染者は国内で1月中旬から確認されていましたが、安倍首相は習近平の国賓招聘ばかり念頭にしていたためか、政府の専門家会議は2月16日まで開催されず、感染が拡大していた中国と韓国からの入国制限強化は3月5日、特措法の施行は3月14日までなされませんでした。

 こうした政府の後手後手の対応には安倍首相の支持層である保守派の評価も厳しく、大阪府の吉村洋文知事らは「国が『瀬戸際』という認識であれば(緊急事態宣言を)出すべきだ。増え始めてからでは遅い」と警鐘を鳴らしてきました。しかし、安倍首相の危機意識は薄く、4月初めの段階でさえも「全国的かつ急速な蔓延という状況には至っておらず、ギリギリ持ちこたえている状況」と変わりませんでした。こうした対応の遅れの背景には「中国」「経済」のキーワードがあったものとみられます。

■その安倍首相や菅官房長官とのパイプを売りにしている我が群馬県の一太知事ですが、せっかく1億1700万円の県費を投入した動画スタジオに加えて、令和2年度2月補正予算で動画スタジオのある県庁32階のフロア整備費としてさらに約2億1千万円を計上しました。

 このため、せっかく県内の7業種の事業者に休業を要請するのに、「財政的に難しい」として休業補償を確約せず、休業は事業者の自己負担ということになりそうです。

 また、群馬県内では、3月7日に太田市で40代の女性が感染者第1号として見つかりました。
https://www.pref.gunma.jp/07/z87g_00013.html

 その後、感染者が現在までに120名迄急増し、医療崩壊のリスクも囁かれていますが、ノー天気にも2月12日に、武漢にマスク2万400枚と、非接触型体温計100本を送ってしまったのです。

 中共にマスクを送っても、末端の必要とする現地の人たちの手に届くはずがありません。中国共産党の幹部らが直ちに独り占めにして、身内だけで使うか、高値で転売するのは目に見えています。そんなことも分からずに中国にマスクを送った一太知事の国際センスは、お友達の安倍首相や菅官房長官から得たとしたら、妙に納得がいきます。

***********日経2020年2月12日18:30
群馬県、中国・武漢市に体温計やマスク輸送 新型肺炎で
 群馬県は12日、新型コロナウイルスの感染が拡大する中国湖北省武漢市に対し、県内企業などが開発した体温計と使い捨てのマスクを送ったと発表した。感染拡大の防止に役立ててもらう。同ウイルスによる新型肺炎の患者を県内の医療機関で受け入れたことも明らかにした。県は同ウイルスの対策本部を立ち上げるなど対応を進めている。
 政府が6日に武漢市に派遣したチャーター機で非接触型の体温計100本、マスク2万400枚を輸送した。体温計は日本精密測器(群馬県渋川市)と県立産業技術センターが共同開発した。群馬県の山本一太知事は「事態収束のためには中国での感染の広がりを防ぐことが重要」と述べ、中国のSNS(交流サイト)「微博(ウェイボ)」でメッセージを発信したことも明らかにした。
 山本知事は11日までに新型コロナウイルスの感染患者を県内の医療機関で受け入れたことも公表。人数や受け入れ先の名称は明らかにしなかった。
 県は10日に新型コロナウイルス感染症の対策本部を設置し、初会合を開いた。大曲貴夫・国際感染症センター長ら専門家で構成する感染症の危機管理チームも発足し、情報収集や分析に努めている。
***********

■その後、群馬県で第1号の感染者が現れる2日前に行った記者会見で、一太知事は「隣国への支援は品格」などと自己弁護に終始しました。

**********産経2020年3月5日19:14
群馬知事「隣国への支援は品格」 中国へのマスク支援で

会見に臨む群馬県の山本一太知事=5日、県庁(柳原一哉撮影)
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴いマスク不足が深刻化する中、群馬県の山本一太知事は5日の定例会見で、県が2月に使い捨てマスク約2万枚などを中国に支援物資として送付したことについて、「隣国が困難にある時は手を差し伸べるのが国としてのあり方だ。その意味で日本は品格のある国だ」と述べ、支援が適切だったとの認識を示した。
 山本知事は、東日本大震災の際に日本が台湾などから支援を受けたことを踏まえ、「中国に限らず隣国が困っているときに何もしないことはできない」とし、人道的な支援だったと強調した。
 ただ、国内でマスク不足が長引いている現状には「今ほど急激に減るという想定はなかった」と明かした。
 医療関係者らの間で懸念が強まる中、マスク不足の解消に向けては「国や卸売り業者の関係団体などに安定供給の協力を要請していく」と述べるにとどめた。
**********

■さらに一太知事の危機対応に疑問符の付く事態が続きます。かつて国際協力機構の職員としてニューヨーク駐在の経験が売りのはずの国際感覚はどこへやら、ブラジルなど南米出身者を多く抱える大泉町に対して、自らの記者会見が終わるまで、同町で見つかった感染者の情報提供に待ったをかけたのでした。大泉町長が激怒するのも当然です。

***********読売2020年03月17日15:56
感染注意喚起の放送「山本一太知事の会見まで待たされた」…町長が県対応を激しく批判
 群馬県大泉町の村山俊明町長は15日、新型コロナウイルス感染者の情報提供について「県は遅すぎる。1分でも早く対策を取らないといけない市町村の立場を理解せず、町と町民を軽視したのではないか」と述べ、群馬県の対応を強く批判した。
 村山町長は、町内の医師夫婦の感染が前日確認されたのを受け、町役場で記者会見を開いた。
 医師夫婦の感染は、山本一太知事が14日午後9時からの記者会見で発表した。村山町長によると、県からは「町内在住の2人感染」と同3時頃に伝えられたが、医師夫婦だったことは知事の会見直前まで知らされていなかった。さらに、防災行政無線による注意喚起の放送も「知事の会見まで待ってくれとストップがかかった」(村山町長)といい、20人以上の職員が待機を強いられたという。
 町内には外国人の住民も多く、ポルトガル語などに翻訳して啓発チラシを作るのには時間がかかる。村山町長は会見で、「こうした事情を県はまるきり理解していない。非常に不愉快だ」とも話した。
 町は無線やチラシを使い、手洗いの徹底、ハグやキスを控えることなどを呼びかけている。医師が勤める診療所近くの児童館では、放課後児童クラブを閉鎖した。
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■さらに感染者数が激増している4月5日には、「4月1日に電話相談窓口を一本化してから初の日曜日で、体制が十分でなかったの原因でPCR検査が1件も実施できなかった。今後検査や受診相談の体制を強化する」とツイッターで明らかにする始末でした。

***********共同通信2020年4月5日23:20(4月6日00:33更新)
群馬県、5日日曜検査0件

群馬県の山本一太知事=2019年11月
 群馬県の山本一太知事は5日、自身のツイッターで、「本日、県が実施したPCR検査が0件だった」と明らかにし、「ご心配されている県民の皆様に率直におわびします」と謝罪した。1日に電話相談窓口を一本化してから初の日曜日で、体制が十分でなかったことが原因とし、今後検査や受診相談の体制を強化すると明らかにした。
 県は1日から、新型コロナウイルスに関する受診や予防方法の相談を、全て「感染症コールセンター」で受け付け、さらに関係機関を紹介するなどしていた。
 県は、今後は夜間と休日も受診相談は全て保健所に電話転送するよう、体制を強化する方針。
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■こうした最中にあっても、約1億1700万円の動画スタジオに加えて、約2億1000円を費やしてフロア整備をする県庁32階についてはしっかりとPRに余念がありません。4月24日にオープニングの予定ですが、外出自粛の最中、閑古鳥が鳴くなかで、県職員だけでひっそりとセレモニーを行うつもりのようです。

**********上毛新聞2020年03月19日06:00
県の動画スタジオ 名称は「ツルノス」 総再生 年1500万回狙う

会見でロゴマークを掲げる山本知事
 群馬県庁32階に4月開設予定の動画・放送スタジオについて、山本一太知事は18日、名称を「tsulunos(ツルノス)」と決めたことを明らかにした。3年目に年間750本の動画を作成し、動画投稿サイト「ユーチューブ」上の県チャンネルの年間総再生回数1500万回を目指す。
 ツルノスは群馬県の形である「鶴」に、アイデアや情報を育むイメージの「巣」を組み合わせた。県職員178人が提案した203の名称案から原案を選び、山本知事が決めた。
 合わせて英語表記のロゴマークも発表した。小文字のエルが県庁、そのほかの文字が街並みを表現しているという。
 初年度目標は動画作成が平日に1日2本ペースの年間500本。再生回数が都道府県チャンネルの全国上位5都県(茨城、神奈川、東京、福島、岡山)の初年度平均値に当たる44万回。3年目に1500万回を達成すると、2018年度に全国最多だった茨城県の1485万回を上回る。
 スタジオ整備費は約1億1700万円。4月24日に開設し、山本知事と県職員がスタジオの概要などを紹介する動画撮影を行う。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、記念イベントは当面行わない。
 山本知事は「職員の研修も含めていいチームをつくり、トレンドも研究して魅力的なコンテンツをつくりたい」と強調した。
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■鳴り物入りで就任した山本一太新知事ですが、どうもその行政センスは、中央とのパイプの太さだけが売りで、リーダーシップに疑問符がついています。とりわけ、新型コロナを巡る対策は、スピード感が勝負ですが、日ごろから一太知事が強調しているスピード感は、まったく影を潜めております。いつになったら、公約にそった国際センスあふれる県政をリードしていただけるのか、筆者ならずとも、台湾より中共贔屓の一太知事だけに、県民の心配は続きます。

【群馬県台湾総会理事】

※お知らせ:
毎年7月上旬に県庁1階で開催してご好評をいただいている台湾フェアin群馬ですが、今年の開催は見送られることが決まりました。
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