夫亡き後、700坪の敷地の真ん中に邸宅を建て替えたのです。
700坪と広い敷地も、この邸宅と、隅に趣味で経営している喫茶店があるだけです。それで、後は使い物にならない、つまり、きり売りも出来ないもったいない土地の使い方です。
「もう直ぐ年金がもらえる。生活は出来る。今もって居るお金を使っても大丈
夫。」
此れが彼女の計算です。彼女は年金の額を知りません。
夫は事業家。自宅のほかにも不動産を1000坪づつ2箇所にもっていました。
何れも更地です。
しかし保証も多く、不動産は全て担保になっております。
娘が二人、一人は40台に近く小学校の教師をしておりましたが鬱で学校を辞めて今喫茶店を手伝っています。娘が手伝い出してから喫茶店も漸く黒字になってきました。独身です。
もう一人は東京の短大を出たばかりで、偶然に同郷の青年と知り合って交際中です。
親戚付き合いは夫の関係ばかりでなく、自分の関係も殆どありません。
それだけに家族の結びつきは強いです。
こんな彼女がお金に追われだしたのは、夫が亡くなって5年を過ぎた頃からです。
夫の死後は会社のことなど一切関係が有りません。暫くの間、社長が交代しながらやって居る云うことを小耳に挟んだことがあるくらいです。
最初、大手の銀行から保証人である事と、相続のために彼女と子供が弁済の義務があると聞かされたのです
子供は資産を何も相続していないために、相続放棄が出来ますが、資産を相続してしまった彼女は負債まで引き受けざるを得ませんでした。
銀行の云うままに、担保の土地を売却し、それだけでは不足と云うので、預金の中から返済しました。
すると、今度は別の土地の抵当権者の地元銀行が、申し入れてきたのです。
幸い此れは、売却代金全部を弁済に回さなくても、自分の取り分が有りました。
此れが邸宅の建て直しのきっかけになったのです。
こんなことをして居る彼女が平穏で入れる筈がありません。
家を建て終わった時は彼女の手元にはお金は全然残っていませんでした。
其の頃から自宅を担保としていた、K公庫や地元信金の請求が本格化してきました。そう、公租公課類も2年くらい何も払っておりません。
喫茶店は今までは若干の黒字とは云え、この儲けに中から返済など出来る余裕はありません。
喫茶店は今後生活のために必要です。
担保を取られると、自分の生活もおぼつかなくなります。それに売っても残債の問題が残るだけです。
こんな時に次女がある男を紹介しました。本で知ったコンサルタントです。
男は冷酷にこのまま進めばどうなるかを説明したのです。
「不動産は全部とられる。時間の問題でしょう。それでも借金は残るから其れは払えなくても請求に来られます。当然、店もやってはいけません。」
後は今後どうして行くかと云う事と、細かい注意点です。
ころが其の説明を聞いた長女が自殺をしてしまったのです。
「此れでは私たちの将来には希望は無い。」と云うのです。
女は泣きました。
泣いたところで、よくはなりません。逆に人は寄り付かなくなります。
この時に力になったのが次女です。
落胆する母を励まし、力になったのです。
この頃から銀行の請求も本格化して、毎日、何処から電話があります。
「この頃が一番辛かった。」と云いますが本当だったでしょう。
知り合った男の云う通り動きました。全部電話での指示です。
逆に、この方が死んだ娘の事を思い出さなくて、良かったかも知れません。
「此れは破産しか無いかも知れないが、今自己破産だとお金も掛かるし、其処にも長く住んで居られないよ。
先ず、今後の生活する方法を決めることが先決だな。其れまでは出すものは最低にして、お金を少しでも貯めよう。」
「長く今のところで商売が出来るように、銀行には「直ちに任意売却をします。」といえば3ヶ月は待ってくれる。2回成功すれば6ヶ月は伸びる。
それから競売でも、立ち退きまでには1年以上時間が有るよ。
自己破産をするかはその時に決めれば良い。
その間にどこかで同じような商売が出来る処を探そう。
兎に角その間は残すことを考えよう。」
なんてすごいことを云うと思って居ましたが、やってみれば結構残ります。
「そう、今まで返済もして居たから、残らないのであって、商売だけならならば実際にはもっと儲かっていたんだわ。」
やがて、不動産は競売になり、落札されました。
しかしその間、何も知らなかった、もう65歳の女は、強くなっていました。
銀行に対しても、きっぱりと物が言えるようになりました。
次女が結婚の決まった男の手助けで住居つきの店舗を世話をしてくれました。
前の店より若干狭いですが、地理的には良いです。
有限会社を作って次女が表向きの社長です。当人の名義より債権者も責め難いでしょう。
ただ、こちらに越してからは、信金や公庫やH協会は何処も何も云ってきません。
上手くすれば自己破産もやらずに済みます。
此れも「女の一生」の1部でしょうか。
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700坪と広い敷地も、この邸宅と、隅に趣味で経営している喫茶店があるだけです。それで、後は使い物にならない、つまり、きり売りも出来ないもったいない土地の使い方です。
「もう直ぐ年金がもらえる。生活は出来る。今もって居るお金を使っても大丈
夫。」
此れが彼女の計算です。彼女は年金の額を知りません。
夫は事業家。自宅のほかにも不動産を1000坪づつ2箇所にもっていました。
何れも更地です。
しかし保証も多く、不動産は全て担保になっております。
娘が二人、一人は40台に近く小学校の教師をしておりましたが鬱で学校を辞めて今喫茶店を手伝っています。娘が手伝い出してから喫茶店も漸く黒字になってきました。独身です。
もう一人は東京の短大を出たばかりで、偶然に同郷の青年と知り合って交際中です。
親戚付き合いは夫の関係ばかりでなく、自分の関係も殆どありません。
それだけに家族の結びつきは強いです。
こんな彼女がお金に追われだしたのは、夫が亡くなって5年を過ぎた頃からです。
夫の死後は会社のことなど一切関係が有りません。暫くの間、社長が交代しながらやって居る云うことを小耳に挟んだことがあるくらいです。
最初、大手の銀行から保証人である事と、相続のために彼女と子供が弁済の義務があると聞かされたのです
子供は資産を何も相続していないために、相続放棄が出来ますが、資産を相続してしまった彼女は負債まで引き受けざるを得ませんでした。
銀行の云うままに、担保の土地を売却し、それだけでは不足と云うので、預金の中から返済しました。
すると、今度は別の土地の抵当権者の地元銀行が、申し入れてきたのです。
幸い此れは、売却代金全部を弁済に回さなくても、自分の取り分が有りました。
此れが邸宅の建て直しのきっかけになったのです。
こんなことをして居る彼女が平穏で入れる筈がありません。
家を建て終わった時は彼女の手元にはお金は全然残っていませんでした。
其の頃から自宅を担保としていた、K公庫や地元信金の請求が本格化してきました。そう、公租公課類も2年くらい何も払っておりません。
喫茶店は今までは若干の黒字とは云え、この儲けに中から返済など出来る余裕はありません。
喫茶店は今後生活のために必要です。
担保を取られると、自分の生活もおぼつかなくなります。それに売っても残債の問題が残るだけです。
こんな時に次女がある男を紹介しました。本で知ったコンサルタントです。
男は冷酷にこのまま進めばどうなるかを説明したのです。
「不動産は全部とられる。時間の問題でしょう。それでも借金は残るから其れは払えなくても請求に来られます。当然、店もやってはいけません。」
後は今後どうして行くかと云う事と、細かい注意点です。
ころが其の説明を聞いた長女が自殺をしてしまったのです。
「此れでは私たちの将来には希望は無い。」と云うのです。
女は泣きました。
泣いたところで、よくはなりません。逆に人は寄り付かなくなります。
この時に力になったのが次女です。
落胆する母を励まし、力になったのです。
この頃から銀行の請求も本格化して、毎日、何処から電話があります。
「この頃が一番辛かった。」と云いますが本当だったでしょう。
知り合った男の云う通り動きました。全部電話での指示です。
逆に、この方が死んだ娘の事を思い出さなくて、良かったかも知れません。
「此れは破産しか無いかも知れないが、今自己破産だとお金も掛かるし、其処にも長く住んで居られないよ。
先ず、今後の生活する方法を決めることが先決だな。其れまでは出すものは最低にして、お金を少しでも貯めよう。」
「長く今のところで商売が出来るように、銀行には「直ちに任意売却をします。」といえば3ヶ月は待ってくれる。2回成功すれば6ヶ月は伸びる。
それから競売でも、立ち退きまでには1年以上時間が有るよ。
自己破産をするかはその時に決めれば良い。
その間にどこかで同じような商売が出来る処を探そう。
兎に角その間は残すことを考えよう。」
なんてすごいことを云うと思って居ましたが、やってみれば結構残ります。
「そう、今まで返済もして居たから、残らないのであって、商売だけならならば実際にはもっと儲かっていたんだわ。」
やがて、不動産は競売になり、落札されました。
しかしその間、何も知らなかった、もう65歳の女は、強くなっていました。
銀行に対しても、きっぱりと物が言えるようになりました。
次女が結婚の決まった男の手助けで住居つきの店舗を世話をしてくれました。
前の店より若干狭いですが、地理的には良いです。
有限会社を作って次女が表向きの社長です。当人の名義より債権者も責め難いでしょう。
ただ、こちらに越してからは、信金や公庫やH協会は何処も何も云ってきません。
上手くすれば自己破産もやらずに済みます。
此れも「女の一生」の1部でしょうか。
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